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【2025】電子帳簿保存法に対応した請求書とは?保存方法も解説


2025.10.03

事業者は、電子帳簿保存法に則って、国税に関する書類を、決められた形で保管しなければなりません。書類の中には、取引で発生した請求書も含まれます。複数の請求書ごとに、適切な方法で保存することが大切です。

本記事では、電子帳簿保存法に対応する請求書にはどういったものがあるのか、それぞれの保存方法や、おすすめの会計ソフトを解説します。

電子帳簿保存法に対応する請求書とは

電子帳簿保存法に対応しなければならない書類は数多くありますが、その中で請求書に限定した場合、3種類に分かれます。その内の2つは、取引において相手から受領した請求書と、自己発行した請求書で、いずれも分類は国税関係書類です。

自己発行の請求書は、控えとして保存します。そして、残りのひとつは、電子取引に関する請求書です。

いずれの請求書も、電子帳簿保存法に対応するのであれば、電子データの形式に統一することが大切です。しかし、ただ単純にデータ形式で保存すれば良いというわけではなく、いくつかの要件を満たす必要があります。

まず、一部の請求書には、原本であることを証明するために、請求書を作成したり、取引を行ったりした日付を、タイムスタンプとして付けなければなりません。タイムスタンプは、請求書が改ざんされていないことを証明するためにも役立ちます。そして、容易に検索ができるよう、データを付け加えなければならないこともあります。請求書の検索に必要とされるデータは、取引年月日、取引金額、取引先の3点です。

また、国税関係書類の請求書と、電子取引の請求書は、全て同じ形式で保存できるわけではありません。それぞれ要件が異なるため、違う形で保存する場合が多いです。

電子帳簿保存法に基づいて請求書を保存する方法

それでは電子帳簿保存法に対応した請求書の保存方法についていくつか紹介していきます。

紙の請求書を保存する方法

取引において、相手から受領した請求書を保存する場合、その請求書が紙に手書きされたものであるか、電子データであるかによって、保存方法が大きく異なります。電子帳簿保存法に対応するためには、書類を電子データ化する必要がありますが、一部電子保存が禁止されている例外があります。

取引先から受領した紙の請求書がそのひとつで、請求書に書かれている内容をパソコンに打ち込んでデータ化するという形での電子化は禁止です。データ化するための方法は、スキャンのみに限られています。

スキャンの方法は特に限定されておらず、高精度のスキャナーで読み取る必要はなく、スマートフォンなどのカメラで撮影したデータを用いても問題はありません。そして、データを会計システムにアップデートした後、2ヶ月と7営業日以内にタイムスタンプを付けましょう。もし、システムに請求書内容の訂正や削除を記録する機能が備わっていれば、タイムスタンプは不要です。

また、検索できるようにするという要件を満たす必要もあります。請求書の画像データから、取引年月日、取引金額、取引先の内容をテキストとして抽出し、検索に用いることができるシステムを使用するのが効率的です。そうでない場合は、手打ちするなどして、検索に必要な情報をデータに付け足さなければなりません。

電子帳簿保存法に対応するために、必ずしも電子データ化しなければいけないわけではありません。紙に手書きした請求書は、スキャン以外の電子化は禁止されていますが、紙のままで保存しておくことも可能です。

スキャンした場合は、原本となる請求書は処分できます。スキャンデータと紙を両方保管しておく必要はありません。

また、請求書を自己発行して控えを残す際も、基本的な方法は受領した場合と同じです。スキャンする、紙のままでの保存するかのいずれかを選択できます。タイムスタンプが必要である点など、求められる要件も変わりません。

電子発行した請求書の控えを保存する方法

電子データの形で保存されている請求書は、そのまま会計システムに取り入れて問題ありません。表ソフトで作成した請求書の控えや、取引で受領した請求書のPDFなどが対象となります。

電子取引ではない取引で、後から電子形式で発行される請求書も同様です。電子データを紙に出力して保存するという方法は、2024年の1月以降廃止となっているので、注意しましょう。原則として、電子化された請求書は、紙にできないと考えておいた方が無難です。

電子発行された請求書も、原本であることを証明しなければならないため、基本的にはタイムスタンプを付けなければなりません。ただ、会計システムそのものに、訂正や削除の履歴が記録されるのであれば、タイムスタンプは付けなくても問題ありません。

また、電子形式の請求書を発行する側がタイムスタンプを付けていれば、受領する側が改めて付ける必要はありません。発行する側がタイムスタンプを付けていない場合であっても、受領者側が利用している会計システムで、データの訂正や削除が自由にできないようになっているのであれば、タイムスタンプは不要です。

電子帳簿保存法の保存要件

電子帳簿保存法には、3つの保存要件があります。

  • 電子帳簿等保存
  • 電子取引データ保存
  • スキャナ保存

それぞれ解説していきます。

電子帳簿等保存

電子帳簿等保存では、仕訳帳や総勘定元帳、決算関係書類など、自社で電子的に作成した帳簿や決算関係書類を電子データのまま保存します。
たとえば、次のような対応が必要となります。

  • 訂正や削除の履歴が残るシステムを利用する
  • 必要に応じて速やかに画面表示・出力できる状態にする
  • 日付・金額・取引先などで検索できるようにしておく

電子取引データ保存

電子メールやクラウドサービスを通じてやり取りした請求書は、電子取引データとして保存しなければなりません。

たとえば、次のような対応が挙げられます。

  • 請求書にタイムスタンプを付与する
  • 保存したデータを必要に応じて容易に確認できる状態にしておく
  • モニターやプリンタを備え付ける
  • ⽇付・⾦額・取引先の3つの要素で検索できる

電子取引データ保存を利用するためには、「真実性の確保」、「可視性の確保」、「検索機能の確保」の3つの要件を満たすことが必要です。

スキャナ保存

紙の請求書や領収書をスキャンして電子保存する場合には「スキャナ保存」のルールを満たす必要があります。請求書は「重要書類」に分類され、次の条件が課されます。

  • カラーで一定以上の解像度で読み取れるスキャナやスマートフォンで撮影すること
  • 受領から一定期間内(2か月+7営業日以内など)にタイムスタンプを付与すること
  • バージョン管理ができる、または訂正削除の履歴が残る仕組みで保存すること
  • 帳簿との相互関連性を確保しておくこと

必要な対応を確認して、対策してみてください。

電子帳簿保存法における請求書の保存期間

請求書は、法人税法や所得税法などの税法上、一定期間の保存義務が定められています。電子帳簿保存法に基づいて電子的に保存する場合も、紙で保存する場合も、保存期間は同じです。
詳細は、以下の通りです。

パターン保存期間起算日
法人原則7年確定申告書の提出期限の翌日から
個人事業主原則5年確定申告書の提出期限の翌日から
副業収入
(前々年分の収入金額が300万円を超える場合)
5年確定申告書の提出期限の翌日から
インボイス(適格請求書)7年課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日

このように請求書の保存期間が決まっています。

法人の場合は基本的に7年、請求書を維持しなければなりません。欠損金の繰越控除を受ける場合のみ、期間が10年に延長されます。個人事業主は基本的に5年ですが、売上が1000万円を超えるなどの条件を満たした場合、7年となります。

売上などの条件によっては、保存期間が異なる場合もあるため、確認して対応することが必要です。

電子帳簿保存法に基づいて請求書を保存するポイント

電子帳簿保存法に対応して請求書を正しく保存するには、法律上の要件を守るだけでなく、社内の運用ルールを整えることも重要です。以下のポイントを押さえておくと、保存漏れや調査時のトラブルを防ぐことができます。

保存方法を明確にする

電子帳簿保存法に基づいて請求書を保存する際は、保存方法を明確にすることも大切です。
たとえば、

  • メール・クラウド経由で受領したデータは、電子データのまま保存する
  • 紙で受領した請求書 は、 紙のまま保存するのか・スキャナ保存をするのか決めておく

このように状況に合わせて、どのようなルールで保存するのか決めておくと、スムーズに対応できます。

請求書データの改ざんを防ぐ

電子帳簿保存法では、データの改ざんを防ぐことも求められます。
たとえば、

  • タイムスタンプを付与する
  • 訂正や削除の履歴が残るシステムを使う
  • 事務処理規程を整備し、ルール通りに運用する

などの方法で対応するようにしてみてください。

検索機能を意識したデータ管理を行う

保存した請求書は次の条件で検索できるようにすると、税務調査などにもスムーズに対応できます。

  • 取引日付、金額、取引先などの項目で検索できること
  • 日付や金額の範囲指定で検索できること
  • 複数条件を組み合わせて検索できること

保存ファイル名の内容を決めておくなど、シンプルなルールを決めておくと効率的です。

システムやツールを活用して効率化する

請求書を手作業で管理するとミスや漏れが起きやすくなります。

  • 請求書発行システムや証憑管理システムを導入する
  • 会計ソフトと連携させて自動保存・仕訳を行う

会計ソフトやシステムを導入することで、効率よく対応できます。

公益法人が簡単に電子帳簿保存法に対応できる会計ソフト

公益法人が電子帳簿保存法に対応する場合は、公益情報システム株式会社が提供する会計システム「WEBバランスマン」がおすすめです。このシステムは公益法人向けの会計システムとなっています。

クラウド版とオンプレミス版の2通りから選択可能で、多種多様な公益法人の会計方式に対応することができます。クラウド版は、世界規模で高い信頼を得ているSSL証明書を使用するため、高セキュリティ環境での運用が可能です。

簡単に操作ができる設計になっており、会計に必要な項目はあらかじめ作成されています。簿記などの会計作業に必須とされる知識やスキルがない人でも、操作しやすいシステムとなっています。

同じ情報を複数項目に入力しなければならない場合は、一度の入力でシステムが自動入力してくれます。複数回入力する手間が省ける上に、入力ミスを防ぐことが可能です。

また、電子帳簿保存法に対応するには、様々な書類を用意しなければなりません。WEBバランスマンであれば、書類の作成機能も備わっているため、スムーズに対応できるでしょう。

権限を設定する機能も備わっているため、担当者ごとに閲覧や入力ができる範囲を決められます。

電子帳簿保存法に対応した請求書に関するよくある質問

電子帳簿保存法に対応した請求書に関するよくある質問について、紹介します。

電子で受け取った請求書を紙に印刷して保存しても大丈夫ですか?

2024年1月以降は、電子取引で受領した請求書を紙に出力して保存する方法は認められていません。必ず電子データのまま、電子帳簿保存法の要件に沿って保存する必要があります。

紙で受け取った請求書をスキャンした場合、紙の原本は残さなければいけませんか?

スキャナ保存の要件を満たして電子保存していれば、紙の原本を廃棄しても問題ありません。ただし、要件を満たしていない場合は紙のまま保存が必要です。

タイムスタンプを必ず付与しなければいけませんか?

必須ではありません。タイムスタンプを付与する方法以外にも、訂正削除の履歴が残るシステムを使う、削除できない仕組みを導入する、事務処理規程を定めて運用する、などの方法で対応できる場合もあります。

法律違反にならないよう最適な方法で保存しよう

電子帳簿保存法に対応するためには、請求書ごとに適切な形で保存しなければなりません。もし、保存方法を間違えて違反になると、青色申告が取り消されたり、追徴課税が課せられる恐れがあります。事業者は請求書ごとの保存方法を把握して、電子帳簿保存法に対応できるようにしましょう。