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個人事業主の電子帳簿保存法とは?実際の手順や改正内容


2023.07.04

個人事業主の方も「電子帳簿保存法って何?」「個人事業主にも関係があるの?」「何からすればいいの?」とお悩みではありませんか?

今回は、電子帳簿保存法の改正内容と個人事業主が今すぐやるべきことについて解説します。

まず「電子帳簿保存法」とは?

電子帳簿保存法とは、税金や経理で利用した書類や契約書を電子データとして保存しなくてはならないという法律で、電帳法とも呼ばれています。個人事業主は関係あるのかと思われる方も多いと思いますが、対象に入っているのでご注意ください。

電子データの保存方法は3つ

各税法で保存が義務付けられている帳簿書類の電子データ保存は、下記3つのやり方に分かれています。

  1. 電子帳簿等保存
  2. スキャナ保存
  3. 電子取引

各保存法について表にまとめてみました。

区分概要
電子帳簿等保存パソコン上で作成したPDFや帳簿データをそのままパソコン上で保存する
スキャナ保存紙で作成したり、他社から受け取った書類はスキャナに通してPDFや画像データで保存する
電子取引電子取引した情報をそのまま電子データで保存する

電子帳簿保存法に適応するには、上記のように保存をすれば問題ありません。2022年1月の改正により、電子取引のデータ保存が義務化され、加えて不正に対する罰則が強化されました。

個人事業主は電子帳簿保存法の経過措置が終了する2023年12月末までに要件を把握し、電子保存の準備を整えて開始しておくと安心です。

保存方法について詳しくみていきましょう。

電子帳簿等保存

電池帳簿等保存の対象帳簿および書類の具体例は以下の通りです。

  • 国税関係帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など)
  • 決済関係書類(貸借対照表・損益計算書など)
  • 取引関係書類(見積書・契約書・請求書・領収書など)

会計システムや請求書発行システム等により電子的に作成した帳簿や書類を、そのままパソコン上で保存することを指します。

スキャナ保存

スキャナ保存の対象書類の具体例は以下の通りです。

  • 取引関係書類(見積書・契約書・請求書・領収書など)

スキャナ保存は、紙で作成した書類や取引の流れが分かるものをスキャンし、画像データとして保存します。

例えば、領収書をスマホで撮影し、その画像に名前をつけて保存することで簡単に電子化でき、ファイリング作業が不要となります。ファイル名のつけ方を決めておくことで、検索機能の活用にて素早く取り出せるというメリットもあります。

電子取引

スキャナ保存の対象書類の具体例は以下の通りです。

  • オンライン取引した書類(見積書・契約書・請求書・領収書など)

オンラインでやり取りした書類を電子データのまま保存します。この電子取引が2022年の改正で義務化されました。

2023年12月末までにやり取りした電子取引データを「宥恕(ゆうじょ)措置」を適用して保存している場合は、保存期間(5年または7年)が満了するまで紙ベースのまま保存し続ける必要があります。

電子帳簿保存法の改正内容

電子帳簿保存法は2022年1月に改正されて、内容が新しくなりました。その改正内容について詳しくみていきましょう。

事前承認制度の廃止

電子で作成した帳簿等を電子データのまま保存する場合、今までは税務署長の承認が必要とされていましたが、改正により事前承認は不要となりました。ですので電子データで保存する場合は、手間もなく電子帳簿保存法に適応することができます。

タイムスタンプの緩和

法改正により、タイムスタンプの付与期間が最長2ヶ月と概ね7営業日以内に緩和され、受領者等が書類をスキャンする際の自著が不要になりました。

また、電子データの訂正または削除を行った場合、期間内に会計システム等で電子データ保存を確認できればタイムスタンプは不要と変更となっています。

検索要件項目の緩和

帳簿書類の電子データ保存において、項目が

  • 日付
  • 取引金額
  • 取引先

の3つに緩和されました。この3種類の情報があれば問題なく電子帳簿保存法に適応した書類とみなされます。

適正事務処理要件の廃止

改正前は、「相互けん制」や「定期的な検査」、「再発防止割くの社内規定整備」が必要でしたが、電子帳簿保存法の改正により廃止されました。

電子取引データ保存の義務化

電子帳簿保存法の改正前は、電子で取引したデータをプリントして紙で保存することも良いとされていましたが、ペーパーレスの観点から改正により電子取引した情報を電子データで保存することが義務化されました。

2024年1月からは電子データでの保存が必須となります。

不正に対する罰則の強化

電子取引の取引情報に関して、隠蔽もしくは偽装があると判断されると、申告漏れにて重加算税が10%加算されてしまいます。

電子帳簿保存法が個人事業主に与える影響

電子帳簿保存法に関して、個人事業主が押さえておくべきポイントは以下の通りです。

  • オンラインでの取引書類は電子データで保存しなければならない
  • 紙をスキャナ保存するにはタイムスタンプを付与しなくてはならない
  • 青色申告控除65万円を受けるには追加条件あり

1つずつ詳しくみていきましょう。

オンラインでの取引書類は電子データで保存しなければならない

前述したように、2022年1月の改正により電子取引した情報を電子データで保存することが義務化されました。電子取引の関連書類の具体例は以下の通りです。

  • 電子メール
  • クラウドサービス上で授受した見積書
  • 注文書
  • 納品書
  • 請求書
  • 領収書
  • クレジットカードや交通系IC系カードの利用明細

改正前のように印刷して保管することはできないため、要注意です。2023年12月末までに、要件を満たす電子データの保存方法を確立しておく必要があります。

スキャナ保存にはタイムスタンプ付与が必要

紙媒体でやり取りをした書類をスキャンして画像データで保存する場合は、タイムスタンプの付与が必要です。紙媒体で受け取った書類に関しては、紙媒体のまま保存しておくことが認められています。タイムスタンプを付与する期日が過ぎてしまった場合は、紙媒体のまま保存しておきましょう。

タイムスタンプシステムを導入するには費用がかかるため、タイムスタンプの付与が不要となるクラウド上でのデータ管理も検討してみましょう。訂正・削除履歴の残るクラウド上のシステムを活用するのがベターです。

青色申告控除65万円を受けるには追加条件あり

個人事業主が青色申告控除65万円を受けるには、これまでの条件に加えて「仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること」もしくは「所得税の確定申告書、貸借対照表および損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと」が必要です。

電子帳簿保存法の改正で個人事業主がするべきこと

個人事業主が、電子帳簿保存法における電子データ保存の宥恕期間内にするべきことは以下の3つです。

  1. データの管理方法やファイル名のつけ方を統一
  2. データの保管場所とバックアップ方法の検討
  3. 業務フローの見直し

上記について1つずつみていきましょう。

データの管理方法やファイル名のつけ方を統一

取引した情報を電子データで保存するにあたり、ファイルの検索機能を確保する必要があります。必要な時に取り出せるよう、「取引年月日」「取引先」「取引金額」の3項目を検索できる仕組み作りをしておきましょう。

具体的には保存するファイル名を「20230630_株式会社○○_50000」のようにして、フォルダ検索できるようにしておきます。さらに、Excelなどのソフトを活用して、「索引簿」を作成しておくのも良いでしょう。

ファイル名のつけ方を統一し、いつでもすぐに取り出せるよう仕組みを整えましょう。

データの保管場所とバックアップ方法の検討

ファイル名のつけ方を統一し、さらにデータの保管場所もわかりやすく整理しておきましょう。万が一に備え、システム不具合時の対処法やバックアップ方法も確立しておきましょう。

加えて、業務の効率化を図るため、修正履歴の残るクラウドドライブの導入がおすすめです。

業務フローの見直し

オンラインで取引をする上で、注文書受注・納品・請求までの業務フローを固定しておくと、抜け漏れを回避できます。例えば、クレジットカードの明細など、これまでプリントアウトして保存していた場合は、ダウンロードした電子データもしくはスクリーンショットでの保存に切り替える必要があります。取引した情報が入っている電子データが、どの場面で必要になるのかを整理しておかなければなりません。

電子帳簿保存法では、要件を満たさないまま電子データ保存をしていると罰則があります。業務フローを見直して効率化を図り、宥恕期間終了に備えましょう。

個人事業主が知っておくべき電子帳簿保存法についてまとめ

今回は、個人事業主が知っておくべき電子帳簿保存法について解説しました。2022年1月に改正された電子帳簿保存法ですが、電子取引の電子データ保存に関しては、経過措置として2023年12月までが宥恕期間となっています。

2024年1月以降、法人・個人事業者は電子取引データを保存しなければなりません。この記事を参考に、個人事業主が知っておくべき電子帳簿保存法のポイントを押さえて、対応していきましょう。