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謝金の所得税はどうしたら良い?支払う側や受け取った時の手順


2024.06.04

世の中にはさまざまな仕事がありますが、それに応じた対価が支払われるのが一般的です。給与や報酬といった形で支払われるケースが多いものの、しばしば「謝金」の授受が行われることもあります。謝金は、業務の手伝いをしたり講演や執筆をしたりなど、一時的な稼働や労働に対して支払われるのが普通です。一時的なものであっても、謝金を受け取った人は収入を得ていることになるため、適切な手続きなどを行ったうえで税金を支払わなければいけません。本記事では、謝金を受け取ったときに必要となる所得税の基礎知識を、謝金の管理に役立つ会計システムとあわせて紹介しましょう。

謝金の所得税とは

謝金の授受があった場合、基本的には、その金額に応じて所得税を支払う義務が生じます。謝金の所得税について考える際には、支払う側と受け取る側とに分ける必要があるでしょう。ここでは、それぞれに関わる所得税の扱いなどについて解説します。

謝金を支払う側は源泉徴収しなければならない

まず、事業者が何かをしてもらった対価として謝金を個人に対して支払う場合、原則として支払う側は事前に源泉徴収しなければいけません。源泉徴収制度は、事業者が個人に代わって所得税を納めるものです。通常の所得税のほか、復興特別所得税も源泉徴収したうえで納める必要があります。

つまり、謝金を受け取った側が実際に手にする額は、あらかじめ所得税が引かれたものとなるのが一般的です。報酬の場合は、仕事の量や質などへの対価として金額が決まることも多いため、端数のある額が支払われるケースも少なくありません。しかし、謝金は50万円や100万円など、きりのよい金額を手渡される場合が多いでしょう。これは、支払う側が源泉徴収に必要な所得税額を考慮し、ちょうど50万円や100万円などとなるよう計算・処理したうえで支払っていると考えるのが自然です。

謝金は雑所得とされるのが基本

謝金を受け取った側は、所得を得たことになります。金額などにもよりますが、基本的には確定申告を行い所得税を納める必要が生じると理解しておきましょう。謝金は、原則として「雑所得」として区分されます。雑所得とは、事業所得や給与所得、不動産所得などに当てはまらない所得です。謝金は、懸賞などの商品や公営ギャンブルの払戻金などの一時所得にも含まれないケースが多いため、やはり雑所得として扱うのが基本となります。

確定申告が不要なケース

所得があった場合、確定申告をしたうえで所得税を納めなければいけません。しかし、謝金による所得は確定申告が不要なケースもあります。会社員として働き給与所得を受け取っている人の場合、謝金額が年間で20万円を超えない限り確定申告は不要です。個人事業主やフリーランスは、謝金を含めたすべての所得額が年間で48万円を超えなければ確定申告は必要ありません。48万円は基礎控除額として所得から差し引かれるためです。

所得税の課税対象となる所得額は、受け取った謝金から経費を差し引いた金額である点も押さえておきましょう。謝金を受け取るために必要な出費であれば経費として計上可能です。どのような行為に対しての謝金なのかにもよりますが、たとえば、交通費や通信費などが経費として考えられるでしょう。それら経費を差し引き残った金額が課税対象となります。

また、ここでは所得税についてまとめているため詳細は省きますが、謝金を受け取った場合は、金額にかかわらず住民税は納めなければいけません。確定申告をしない場合、所得税の納税は不要ですが、自ら自治体へ住民税申告書を提出し税金を納める必要が生じる点には注意しておきましょう。

謝金の所得税のパーセンテージ

前述のように、謝金の所得税には、支払う側が事前に差し引いている源泉徴収と、受け取った側が確定申告をしたうえで納める所得税とがあります。それぞれでパーセンテージや計算方法も変わるため、ここでは主に各所得税の割合についてまとめましょう。

源泉徴収される所得税のパーセンテージ

源泉徴収のパーセンテージは、謝金の金額により変わります。謝金額が100万円以下の場合の源泉徴収税額は、謝金額の10.21%です。100万円を超える場合は、100万円を超えた分の20.42%に、10万2100円を加えた金額が源泉徴収税額となります。この所得税のパーセンテージは、1度で支払う謝金額に対するもので、累計金額に対するものではありません。ちなみに、謝金として税込でちょうど100万円を支払う場合、源泉徴収税額を含めた金額は112万8298円となります。受け取り側に請求書などの発行を求める際は、源泉徴収税額を含めた額も記載してもらうなどするとよいでしょう。

謝金に課せられる所得税のパーセンテージ

雑所得の多くは総合課税の対象となり、謝金も同様です。そのため、総合課税の対象となっている収入を合計し年間所得を算出したうえで、それに対して課税される金額を所得税として支払わなければいけません。給与所得者は受け取った給与に、フリーランスや個人事業主は事業収入に謝金を足し、年間の合計収入を計算します。そこから経費を差し引くなどし算出した年間の所得額が課税対象です。また、所得税のパーセンテージは累進課税により、所得額が増えるほど高くなります。所得額ごとのパーセンテージと控除額は以下の通りです。

  • 1000円〜194万9000円:5%(0円)
  • 195万円〜329万9000円:10%(9万7500円)
  • 330万円〜694万9000円:20%(42万7500円)
  • 695万円〜899万9000円:23%(63万6000円)
  • 900万円〜1799万9000円:33%(153万6000円)
  • 1800万円〜3999万9000円:40%(279万6000円)
  • 4000万円〜:45%(479万6000円)

上記の()内に記載した控除額は、課税対象となる所得額に所定のパーセンテージをかけて算出されたものから差し引ける金額です。控除額を差し引いた金額が、最終的な所得納税額となります。

謝金を受け取ったときの手続き手順

謝金を受け取ったときの手続き手順

謝金を受け取った際は所得が発生するため、必要な手続きを行わなければいけません。手続きは、主に謝金を支払った側に対するものと、納税先に対するものとがあります。ここでは、謝金を受け取った場合の主な手続きを順番に紹介していきましょう。

1.書類として記録を残しておく

まずは、謝金の授受を記録しておく必要があります。内容や状況によっては、謝金を直接手渡しで授受するケースも少なくないでしょう。しかし、説明したように謝金は雑所得となるため、金額などに応じて確定申告をしなければいけません。支払う側が源泉徴収しているにもかかわらず、受け取る側が所得として認識していない場合、問題が生じる可能性もあります。そのため、何をしたかやどの程度の金額を受け取ったかにかかわらず、基本的には書類として記録を残しておきましょう。

謝金を受け取る際には、請求書や受取書を発行しておくと安心です。これらの書類には、謝金を支払った側の情報や時期とともに、謝金額も記載しておきます。その際、実際に受け取った金額のほかに、源泉徴収税額も記載しておくとよいでしょう。確定申告の際には源泉徴収税額の記載も必要です。支払調書の発行を求めることができ、それにより源泉徴収税額の確認も可能ですが、念のため謝金を受け取る際にも記載しておきましょう。

2.経費の領収書を保存する

謝金の受け取りに直接関わる経費が発生している場合は、確定申告の際に計上できます。ただし、領収書などの書類がなければ経費としては認められません。謝金を受け取った際には、かかった経費の領収書をまとめ、保存しておきましょう。按分が必要な場合には、どの程度の割合が謝金の受け取りに直接関わっているのかを算出し記録しておきます。改めて領収書の発行が必要な場合は、発行元などに対し早めに手続きをしておきましょう。発行元ごとに、何をもって領収書とするのかにも違いがあります。確定申告の際に困らないよう確認のうえ、書類をまとめておくことが重要です。

3.年間の収入をまとめる

所得税は、1月1日から12月31日までの1年間に得た所得に対して課せられます。年末に仕事を納めたら、もしくは年が明けた段階で、謝金を含む年間の収入をまとめておきましょう。必要な書類を整理しつつ、経費や最終的な所得額なども計算しておきます。支払調書が必要な場合は、これも早めに発行手続きを行っておかなければいけません。

4.確定申告を行う

まとめた収入と経費、所得額などをもとに、確定申告書類を作成します。国税庁の確定申告書等作成コーナーや、民間企業が提供する確定申告ソフトなどの活用により、手軽に確定申告の書類作成が可能です。必要事項を記入するだけで所得額や所得税額を計算してくれるため、所得税のパーセンテージを覚えていなくても問題ありません。確定申告書の作成後、所管の税務署へと提出することで確定申告の手続きは終了します。

5.納税する

所得税は、自ら納税する必要があります。住民税のように納付書などは届かないため注意しましょう。確定申告により算出された所得税額を期限までに納税します。これで、謝金を受け取ったときの基本的な手続きは完了です。

謝金を管理しやすい会計システム

謝金を管理しやすい会計システム

謝金を所得として申告し納税する作業は、慣れていなければ面倒に感じたり手間取ったりしかねません。また、謝金を支払う側も会計処理が不可欠です。そのような謝金の授受が生じた際の手続きや処理には、会計システムが役立ちます。ここでは、謝金の管理がしやすくなる会計システムを2つ紹介しましょう。

WEBバランスマン

公益情報システム株式会社が提供する「WEBバランスマン」は、公益法人を対象とした会計システムです。伺書からの入力機能や按分が必要な伝票に対する処理機能など独自のシステムを備えており、作業の簡略化が図れます。セキュリティ面でも優れており、機密度の高い会計情報も安心して取り扱えるでしょう。それぞれの業務担当者への権限設定も可能です。閲覧や入力の権限を細かく設定できるので、社内でシステムを共有しながらも、重要な会計情報の徹底管理が実現できます。謝金に関する請求書などの取引書類の電子保存や確認も容易です。会計に関する専門的な知識がなくても扱いやすいでしょう。

マネーフォワードクラウド会計

「マネーフォワードクラウド会計」は、株式会社マネーフォワードが提供する、会計に関わるさまざまな作業の自動化を図るためのソフトです。金融機関やクレジットカードなどとの連携も可能で、自動入力や自動仕訳の機能も備わっています。AI学習により、使うほどに自動仕訳の精度が向上し、会計業務の効率化が図れる点が大きな魅力です。事業規模ごとにマッチしたプランが用意されており、一部プランは1カ月間無料で試せ使用感などの確認もできます。適切な活用により、経理業務全体の効率化が実現できるでしょう。

謝金の所得税についてまとめ

謝金を支払う側は源泉徴収という形で、受け取った側は確定申告をしたうえで、所得税を納める必要が生じます。謝金額によって確定申告の必要性や納税額が変わるため注意が必要です。また、謝金の授受はさまざまな書類とともに行われるケースが少なくありません。その際には手続きや書類の記録・保存などが煩雑になることもあります。より作業を簡略化し、ミスも減らしながら処理や手続きを行うには、会計システムの導入が必須です。自社に合った会計システムを活用し、謝金の授受を含めたさまざまな業務の効率化を目指しましょう。