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謝金の支払調書の書き方とは?手順や記載する内容


2025.07.02

経理担当者にとって、謝金の支払調書の作成は避けては通れない業務の一つです。特に公益法人は複雑な会計処理もあり、支払調書がちょっとした難関になっている場合もあります。ミスを税務署から指摘されると、追加の対応が必要になることも多いです。リスクを避けるためにも、謝金の支払調書の書き方を覚えておきましょう。

この記事では謝金の支払調書の書き方からポイントまで経理担当者が知っておくべき情報を解説します。

支払調書とは

支払調書とは公益法人や企業などが1年間に支払った謝金や報酬の金額、相手先の情報を税務署に申告するための書類です。支払調書は税務署に対して申告する義務があり、源泉徴収税額と受取側の確定申告の整合性の確認ができます。一定金額の支払いが発生したときには、毎年1月31日までに税務署に提出しましょう。
謝金、謝礼金を受け取った人物には必ず発行しなければならないという法律上のルールはありません。ですが発行しておくと受取側が確定申告しやすくなります。

謝金・謝礼金とは

謝金または謝礼金とは協力に対する感謝の気持ちを込めて支払う金銭です。講演会やセミナー、寄付などの行為に対してお礼の印として支払われます。いくら払うなどの契約はなく、感謝の意を表すために支払います。
謝金や謝礼金と同じく金銭が発生する報酬は、仕事やサービスに対して支払われるものです。あくまでも行為やサービスに対しての対価の意味があります。謝金や謝礼金は契約外のもの、報酬は契約に基づいて支払われる金銭です。

会計上の謝金・謝礼金の詳細

謝金、謝礼金を相手に支払ったときには「交際費」「支払手数料」の科目を利用して仕訳します。講師を招いてセミナーのお礼として支払うのなら「支払手数料」を、何らかのお礼を含めているのなら「交際費」を使うのが一般的です。また個人に対して謝金を渡した場合は源泉徴収も考慮して仕訳をしなければいけません。

謝金を支払ったときに支払調書は発行するべき?
謝金を支払った場合はケースバイケースですが、基本的には発行するべきです。一定の条件を満たさないケースでは発行する必要はありませんが、お金の流れを記録し、税務署に正しく申告するためにもなるべく発行しておきましょう。

謝礼金に支払調書が必要になるケース

フリーランスや外部の専門家に対し謝礼金を支払ったときには、支払調書が必要です。
支払調書が必要になるのは以下のケースです。

・原稿料や講演料を支払った
・コンサルティング料を支払った
・弁護士や税理士へのお礼をした

金銭の受け渡しが発生したときには支払調書を作成し、保管しておきます。

公益法人の支払調書は状況に合わせて発行する

公益法人の支払調書の発行は公益目的事業か、収益事業かでの区別が必要です。例えば無料の講演での謝金に対しては支払調書が不要なケースもありますが、有料なら発行します。状況や金銭の発生によって発行するべきなのかが変わってくるので、注意しましょう。

謝礼金の支払調書を税務署に提出するケース

一定の条件を果たした場合に支払調書を作成し、税務署に提出しましょう。条件に当てはまるのは以下のとおりです。

・謝金の年間支払額が5万円を超えた場合
・謝金を支払う側が源泉徴収義務者である場合

同一人物に対して、謝金の支払額が年間5万円を超えた場合は支払調書を発行します。また謝金を支払う側が源泉徴収義務者であれば支払調書を作成し、税務署に提出します。

謝金、謝礼金の支払調書の書き方
謝金や謝礼金を支払うときに発行した支払調書は、会計処理では大切な書類です。記入漏れや記載情報の誤りは後にトラブルを招く可能性があるので、正確に記入しましょう。

謝金・謝礼金の支払調書に記載する内容

支払調書に記載する内容は以下のとおりです。

・支払側の情報
・謝金や謝礼金を受け取った側の情報
・支払内容

まずは支払いをした側の情報を記載します。公益法人の名称や代表者の氏名、住所や所在地も必須です。さらに電話番号や法人番号も書き込みます。
謝金を受け取った側の情報も必要です。受け取った人物の氏名や団体名、住所や所在地も入れます。支払いを受ける側のマイナンバー、または法人番号も記載します。
支払内容は謝金や謝礼金の税込金額、源泉徴収額も記入しましょう。支払年月日やなぜ謝金や謝礼金を支払ったのかも記載することが重要です。

謝金・謝礼金の支払調書の書き方の手順

謝金・謝礼金の支払調書の書き方は少し複雑です。ミスを無くすためにも、手順を守り記入していきましょう。

支払調書の記入手順は

①支払調書の用紙の準備
②必要な情報を書き込む
③控えを作成

です。

支払調書の用紙は、税務署の公式サイトなどで入手可能です。会計システムなどを導入しているのなら、システム上で作成できます。用紙が揃ったら必要事項を書き込み、ミスや記入漏れがないかチェックしましょう。税務署に提出するものの他に、記録、保管用として控えも作ります。
記入後は必ずチェックをし、内容を確認します。分からない部分は税理士などの専門家や税務署の担当者に質問しましょう。

謝金、謝礼金の支払調書の書き方でよくあるミス

謝金や謝礼金の支払調書でミスが起きやすいのは、

・謝金と報酬の違い
・源泉徴収の計算ミス
・支払調書の記載漏れ

まずミスが起きやすいのは、謝金と報酬の違いです。公益法人が業務委託をしていない個人に対し報酬を支払っているにもかかわらず、謝金として支払調書を発行してしまうミスです。継続的に業務を依頼している場合は報酬とし、単発の講演などなら謝金として発行します。
源泉徴収の計算ミスも多くあります。謝金の金額にかかわらず、源泉徴収は原則10.21%で計算します。勝手な判断で計算してしまう、ミスに気づかずに記載してしまわないように注意しましょう。
記載漏れは必要な情報を記入していないケースです。必要な情報は過不足なく、正しく記載するようにしましょう。

会計システムを利用すると生産性が高まる

謝金の処理は、講演謝礼や原稿料、外部講師への報酬など、謝金の支払いはケースごとに対応が異なり、会計処理や支払調書の作成には専門知識が求められます。会計システムを利用すると、こうした業務の負担を軽減し、正確な処理をサポートしてくれます。

謝金処理の業務負担を軽減するおすすめ会計システム

「謝金システム」は、謝金処理に特化したクラウド型の業務支援ツールです。謝金の支払依頼受付から、源泉徴収の自動計算、支払調書の作成・管理、税務署提出用データの出力まで一括して対応できます。謝金システムを活用することで、担当者の作業時間の短縮や人的ミスの防止につながるなど、業務負担の軽減につながります。

また、2025年5月に「支払調書・明細WEB配信機能」がリリースされる予定です。この機能がリリースされると、謝金対象の方の支払調書や明細書をWEB上で閲覧できるようになり、毎月の郵送対応も不要となります。そのため、通信費のコスト削減にもつながるでしょう。
謝金の支払いや調書作成に不安がある方は、ぜひ一度「謝金システム」を検討してみてください。

支払調書の書き方についてまとめ

謝金、謝礼金を支払ったときには支払調書を作成します。支払調書は正しく、正確に作成しなければなりません。ミスが発覚すると追加課税などのペナルティが発生する場合もあるので、注意しましょう。ミスを減らすためにも会計システムを導入し、正確な支払調書を作るようにしましょう。