公益情報システム株式会社トップ > ブログ > 謝金の受け取りで確定申告が必要になる場合と申告の方法

謝金の受け取りで確定申告が必要になる場合と申告の方法


2024.05.01

講演やイベントの出演など、役務提供の対価として謝金を受け取る機会があるでしょう。しかし、一定の条件を満たす場合、確定申告が必要になることをご存知でしょうか。

この記事では、謝金を受け取る際の確定申告の必要性や申告方法について詳しく解説いたします。謝金と確定申告の関係を正しく理解し、適切な申告を行うことが重要です。確定申告の手続きを誤ると、税務調査や追徴課税のリスクがありますので注意しましょう。

謝金とは

謝金は、講演やイベントの出演、原稿の執筆など、一時的な役務提供に対して支払われる報酬です。ここでは、謝金の定義や特徴、給与との違いについて解説いたします。

謝金の定義と特徴

謝金とは、講演料、原稿料、司会料など、役務提供の対価として受け取る報酬のことです。謝金は、感謝の気持ちを込めて支払われるという特徴があります。

ただし、実態が労務の対価である場合は、報酬として扱われます。謝金は、一時的な役務提供に対する対価であるため、継続的な雇用関係とは異なるのです。

謝金と給与の違い

謝金は、基本的に単発的な役務提供に対して支払われるのに対し、給与は継続的な労働の対価として支払われます。また、給与は所得税の源泉徴収の対象となりますが、謝金も一定の条件を満たしているもの以外は原則的に源泉徴収の対象となります。

源泉徴収の対象外となる条件は、たとえば、懸賞の応募などで一人に対して1度に支払う金額が50,000円以下となる場合は対象外になります。一方、セミナーなどの講演に対する謝金や、書籍を出版するにあたって寄稿した場合の原稿料などは、源泉徴収の対象となります。

謝金の支払調書

謝金を支払う際、支払者は支払調書を作成し、税務署に提出しなければなりません。支払調書には、謝金の支払先や金額、支払日などを記載します。支払調書の提出期限は、原則として翌年の1月31日までです。ただし、支払金額が1万円以下の場合は、支払調書の作成は不要です。

謝金と確定申告の関係

謝金を受け取る際、確定申告が必要になるケースがあります。ここでは、確定申告が必要な場合と不要な場合について解説いたします。

確定申告が必要な場合

謝金を受け取る側が、以下の条件を満たす場合、確定申告が必要になります。

  • 1年間の謝金の合計額が20万円を超える場合
  • 主たる収入が給与以外である場合
  • 2ヶ所以上から給与を受け取っている場合

たとえば、フリーランスで働いており、謝金が主な収入源である場合や、複数の会社から給与を受け取っている場合は、確定申告が必要です。

確定申告が不要な場合

以下の条件をすべて満たす場合、確定申告は不要です。

  • 1年間の謝金の合計額が20万円以下である
  • 主たる収入が給与である
  • 1ヶ所からのみ給与を受け取っている

会社員で副業として講演を行い、年間の謝金が20万円以下である場合は、確定申告は不要となります。ただし、会社によっては、副業の申告が必要な場合がありますので、注意が必要です。

確定申告の時期

確定申告の時期は、原則として毎年2月16日から3月15日までです。ただし、土日祝日などにより、期限が変更される場合があります。確定申告の準備には時間がかかるため、早めに取り掛かることをおすすめいたします。

とくに、初めて確定申告を行う場合は、必要書類の準備や申告書の作成に戸惑うこともあるでしょう。余裕を持って準備を進めてください。

謝金の確定申告方法

謝金を受け取った場合、確定申告が必要になる場合があります。ここでは、謝金の確定申告に使用する申告書の種類や提出方法、申告書の記載方法について解説いたします。

申告書の種類と提出方法

謝金の確定申告には、「所得税の確定申告書B」を使用します。申告書は、国税庁のウェブサイトからダウンロードするか、税務署で入手可能です。提出方法は、郵送または税務署への持参となります。e-Taxを利用すれば、オンラインでの提出も可能です。

提出期限は、原則として翌年の2月16日から3月15日までですので、注意しましょう。

申告書の記載方法

申告書には、謝金の金額を「雑所得」の欄に記載します。必要経費がある場合は、「必要経費」の欄に記載し、差し引いた金額を「所得金額」の欄に記載します。複数の謝金を受け取っている場合は、合算して記載してください。

雑所得の金額が20万円以下の場合は確定申告は不要ですが、雑所得以外に申告が必要な所得がある場合は、合算して申告する必要があります。申告書の記載内容に誤りがないよう、十分に確認しましょう。

青色申告と白色申告

確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告は、帳簿や領収書などの書類を整理し、正確な所得金額を計算する必要がありますが、税制上の優遇措置を受けられるメリットがあります。

一方、白色申告は、簡易な方法で所得金額を計算できますが、青色申告ほどの優遇措置はありません。謝金の金額や必要経費の有無などを考慮し、適切な申告方法を選択しましょう。

謝金にかかる経費と税金

謝金を受け取る際、必要経費を差し引くことで、税負担を軽減できる場合があります。ここでは、必要経費として認められるものや、謝金にかかる税率と税額の計算方法について解説いたします。

必要経費として認められるもの

謝金を得るために直接必要な経費は、必要経費として申告できます。たとえば、交通費、宿泊費、資料作成費などが該当します。領収書等の証拠書類を保管しておかなければなりません。

ただし、必要経費として認められるためには、謝金を得るために直接必要な経費であることが求められます。日常的に使用している文房具などは、必要経費として認められない場合がありますので、注意しましょう。

税率と税額の計算方法

謝金に対する税率は、所得税と住民税を合わせて約10〜55%です。税額は、所得金額に税率を乗じて計算します。所得金額が195万円以下の場合は、所得税の税率は5%、住民税の税率は10%です。所得金額が195万円を超える場合は、所得税の税率が上がります。

また、所得金額が高くなるほど、住民税の税率も上がります。税額を正確に計算するためには、所得金額を正しく把握することが重要です。

復興特別所得税

東日本大震災からの復興財源を確保するため、2013年から2037年まで、復興特別所得税が課されています。復興特別所得税は、所得税額に2.1%を乗じて計算します。

たとえば、所得税額が10万円の場合、復興特別所得税は2,100円です。復興特別所得税は、所得税と合わせて納付する必要があります。

確定申告に関する注意点

謝金の確定申告を行う際は、申告漏れや記載内容の誤りに注意が必要です。ここでは、申告漏れのリスクと記載内容の確認について解説します。

申告漏れのリスク

謝金の確定申告が必要な場合に申告を怠ると、無申告加算税が課されるリスクがあります。そのため、正しく申告することが重要です。

無申告加算税は、本来納付すべき税額の10%から15%の金額が課されます。また、悪質な場合は、重加算税が課される可能性もあります。申告漏れが発覚した場合は、速やかに修正申告を行いましょう。

記載内容の確認

申告書の記載内容に誤りがあると、修正申告が必要になります。提出前に、記載内容を十分に確認しましょう。とくに、収入金額や必要経費の金額、税額の計算などは、慎重に確認する必要があります。

誤りがあった場合は、修正申告書を提出し、不足税額がある場合は、追加で納付しなければなりません。申告書の作成には十分な時間を確保し、記載内容に誤りがないよう注意してください。

税理士への相談

確定申告の手続きが複雑で、自身で対応することが難しい場合は、税理士に相談することをおすすめします。

税理士は、税法に関する専門的な知識を持ち、確定申告の代行や税務相談に応じてくれます。とくに、初めて確定申告を行う場合や、複雑な税務問題を抱えている場合は、税理士の助言を得ることで、適切な申告を行えるでしょう。

謝金の確定申告のまとめ

謝金を受け取る際は、確定申告の必要性を確認することが重要です。1年間の謝金の合計額が20万円を超える場合や、主たる収入が給与以外である場合などは、確定申告が必要です。申告書の記載方法や必要経費、税率などを理解し、正しく申告するようにしましょう。

申告漏れや記載内容の誤りには十分注意が必要です。適切な確定申告を行うことで、税務トラブルを未然に防げるでしょう。確定申告の手続きが難しい場合は、税理士に相談することをおすすめします。