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謝金の源泉徴収税額の計算方法と注意点


2024.05.01

謝金を支払う際、一定の条件を満たす場合は、源泉徴収が必要になります。源泉徴収税額の計算方法や注意点を理解することは、適切な税務処理を行う上で重要です。

この記事では、謝金の源泉徴収義務や税額の計算方法、よくある間違いなどについて詳しく解説いたします。源泉徴収の対象となる謝金の種類や、税率の適用方法、控除額の差し引きなど、源泉徴収税額の計算に必要な知識を身につけましょう。

謝金の源泉徴収義務

謝金を支払う際、一定の条件を満たす場合には、支払者に源泉徴収義務が発生します。源泉徴収とは、所得税や復興特別所得税を支払者が徴収し、税務署に納付する制度のことです。謝金の支払者は、源泉徴収義務の有無を確認し、適切に処理を行う必要があります。

源泉徴収が必要な場合

謝金を支払う際、以下の条件を全て満たす場合は源泉徴収が必要になります。

  • 支払先が個人であること
  • 支払先が国内に居住する個人であること

これらの条件に当てはまる場合、謝金の支払者は源泉徴収義務を負うことになるため、注意が必要です。

源泉徴収の対象となる謝金

講演料、原稿料、司会料、演奏料など、役務提供の対価として支払われる謝金が源泉徴収の対象となります。一方で、交通費や宿泊費などの「実費弁償分」は源泉徴収の対象外ですので、謝金と実費弁償分を明確に区分しておくことが重要です。

源泉徴収の対象となる謝金の種類を正しく理解し、適切に処理を行いましょう。

源泉徴収義務の例外

ただし、以下のような場合は、源泉徴収義務が免除されることがあります。

  • 支払先が個人事業主であり、支払者が発行した支払調書に個人番号(マイナンバー)が記載されている場合
  • 支払先が税理士や弁護士などの士業者であり、支払者が士業者の登録番号を確認した場合

これらの例外に該当する場合でも、支払調書の作成や提出は必要ですので、注意が必要です。

謝金の源泉徴収税額の計算方法

謝金の源泉徴収税額を正確に計算することは、適切な税務処理を行う上で非常に重要です。ここでは、源泉徴収税額の計算式や税率の適用について詳しく解説いたします。

税額の計算式

源泉徴収税額は、以下の計算式で求められます。

源泉徴収税額=(謝金額-控除額)×税率

控除額は、支払金額に応じて異なります。支払金額が1万円を超え50万円以下の場合は5,000円、50万円を超える場合は10,000円が控除額です。控除額を差し引いた後、税率を乗じることで、源泉徴収税額が算出されます。

税率の適用

源泉徴収税額の計算に用いる税率は、支払先の居住状況によって異なります。

  • 支払先が居住者の場合:10.21%
  • 支払先が非居住者の場合:20.42%

居住者とは、国内に住所を有する個人や、現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人のことです。非居住者とは、居住者以外の個人を指します。なお、これらの税率は、所得税と復興特別所得税を合わせた税率となっています。支払先の居住状況を確認し、適切な税率を適用しましょう。

税率の変更

源泉徴収税額の計算に用いる税率は、税制改正などにより変更される場合があります。最新の税率を確認し、適用することが重要です。税率の変更があった場合、システムの設定変更や、計算方法の見直しが必要になることがありますので、注意が必要です。

源泉徴収税額の計算例

ここでは、居住者と非居住者への謝金支払いを例に、源泉徴収税額の具体的な計算方法を見ていきましょう。

居住者への支払いの場合

講演料として、居住者の個人に3万円を支払う場合、源泉徴収税額は以下のように計算してください。

(30,000円-5,000円)×10.21%=2,552円(端数切捨て)

まず、謝金額である30,000円から控除額の5,000円を差し引きます。その後、居住者に適用される税率10.21%を乗じ、1円未満を切り捨てることで、源泉徴収税額2,552円が算出されます。

非居住者への支払いの場合

原稿料として、非居住者の個人に10万円を支払う場合、源泉徴収税額は以下のように計算しましょう。

(100,000円-5,000円)×20.42%=19,399円(端数切捨て)

非居住者への支払いの場合も、計算方法は居住者の場合と同様です。ただし、非居住者に適用される税率は20.42%と高くなっています。謝金額100,000円から控除額5,000円を差し引き、税率20.42%を乗じた後、1円未満を切り捨てることで、源泉徴収税額19,399円が算出されます。

複数回に分けて支払う場合

同一の支払先に対し、複数回に分けて謝金を支払う場合、1回ごとの支払金額が1万円以下の場合は、その都度源泉徴収を行う必要はありません。

しかし、支払金額の合計が1万円を超える場合は、合計金額に対して源泉徴収を計算します。たとえば、同一の支払先に対し、1回目に5万円、2回目に3万円を支払う場合、合計8万円に対して源泉徴収税額を計算することになります。

源泉徴収税額の計算における注意点

源泉徴収税額を計算する際には、いくつかの点に注意しなければなりません。ここでは、消費税の取り扱いや端数処理について解説いたします。

消費税込みの金額で計算する

源泉徴収税額は、消費税込みの謝金額を基に計算します。仮に消費税抜きの金額で計算してしまうと、源泉徴収税額が過少になってしまう恐れがあるのです。謝金の支払者は、消費税込みの金額で源泉徴収税額を計算するように注意しましょう。

端数処理に注意する

源泉徴収税額の計算結果は、1円未満を切り捨てます。たとえば、計算結果が2,552.5円となった場合、源泉徴収税額は2,552円となります。切り上げや四捨五入を行うと、源泉徴収税額が誤ってしまうため、必ず切り捨てを行いましょう。端数処理を正しく行うことで、適切な源泉徴収税額を算出できるでしょう。

謝金の支払時期と源泉徴収

源泉徴収税額は、謝金を支払う際に計算し、徴収する必要があります。支払時期と徴収時期がずれてしまうと、延滞税が発生する可能性があります。支払時期に合わせて、源泉徴収税額を計算し、徴収することが重要です。

よくある間違い

源泉徴収税額の計算には、いくつかの注意点があります。ここでは、控除額の適用や税率の適用に関する間違いについて解説いたします。

控除額の適用を忘れる

源泉徴収税額を計算する際、控除額を差し引くことを忘れがちです。支払金額が1万円を超え50万円以下の場合は5,000円、50万円を超える場合は10,000円を控除額として差し引く必要があります。控除額を差し引かずに税率を乗じてしまうと、源泉徴収税額が過大になってしまうので注意しましょう。

税率の適用を間違える

支払先が居住者か非居住者かによって、適用する税率が異なります。居住者の場合は10.21%、非居住者の場合は20.42%の税率を適用してください。支払先の居住状況を確認せずに税率を適用すると、源泉徴収税額が誤ってしまう恐れがあります。支払先が居住者か非居住者かを確実に確認し、適切な税率を適用するようにしましょう。

支払調書の提出を忘れる

源泉徴収をした謝金については、支払調書を作成し、税務署に提出する必要があります。支払調書の提出を忘れてしまうと、ペナルティが課されることがあります。源泉徴収税額の計算だけでなく、支払調書の作成と提出も忘れずに行いましょう。

源泉徴収税額の納付

源泉徴収した税額は、所定の期日までに納付しなければなりません。ここでは、源泉徴収税額の納付方法や期限について解説いたします。

納付方法

源泉徴収税額は、以下の方法で納付できます。

  • 税務署の窓口で現金納付
  • 銀行や郵便局の窓口で納付書により納付
  • インターネットバンキングやダイレクト納付により電子納付

納付方法によって、手数料や利用可能な時間帯が異なりますので、確認のうえ、適切な方法を選択しましょう。

納付期限

源泉徴収税額の納付期限は、原則として支払った月の翌月10日までです。納付期限を過ぎてしまうと延滞税が発生しますので、注意が必要です。

謝金の源泉徴収税額の計算方法と注意点のまとめ

謝金の源泉徴収税額は、支払金額から控除額を差し引き、税率を乗じることで計算します。支払先が居住者の場合は10.21%、非居住者の場合は20.42%の税率を適用します。

また、源泉徴収税額は消費税込みの金額を基に計算し、計算結果の1円未満は切り捨てなければなりません。控除額の差し引きや、税率の適用を間違えないよう注意しましょう。

源泉徴収をした謝金については、支払調書を作成し、期限までに税務署に提出することも忘れてはいけません。源泉徴収税額は、所定の期日までに納付する必要があります。源泉徴収税額の計算方法と注意点を十分に理解し、適切な税務処理を行いましょう。