支払調書とは年間を通して企業が社外の業務委託契約者や、税理士や弁護士などに支払った金額を税務署に申告するための税務書類です。
多くの法的な書類や税務書類の作成においては、本人確認のためのマイナンバーの収集が必要ですが、支払調書の作成においてもマイナンバーの収集が必要か気になる、企業担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では支払調書作成にマイナンバーの収集が必要か解説し、収集が必要な範囲や作成におすすめのソフトや注意点も紹介するので、効率的な支払調書作成にお役立てください。
支払調書にマイナンバーの収集は必要?

基本的に企業が何らかの業務を外注に委託した際には、支払った金額が一定額を超えれば支払調書の作成が義務付けられ、マイナンバーの収集も必要になります。
例えば企業が個人事業主に報酬を支払った場合には、「報酬、料金、契約及び賞金の支払調書」へのマイナンバーの記入が必要です。
なお支払調書には提出期限が設けられているため、事前に報酬、料金支払い対象からマイナンバーの確認できる書類などを受理し、期限に間に合うよう準備しましょう。
報酬支払い対象が法人であれば、支払調書に法人番号を記載すればマイナンバー収集での本人確認は不要ですが、個人事業主であれば本人確認が必要です。
支払調書にマイナンバーの収集が必要な範囲
支払調書作成でマイナンバーの収集が必要な範囲として、以下の5つの項目が挙げられます。
①士業への報酬や料金
②フリーランスへの報酬や料金
③芸能人やインフルエンサーなどへの報酬
④プロ野球選手やアスリートへの報酬
⑤ホステスなどへの報酬や料金
各項目を詳しく解説します。
①士業への報酬や料金
企業が弁護士や会計士、税理士などをはじめとした士業に業務を委託し、報酬や料金を支払った場合も支払調書のマイナンバーの収集が必要です。
会計士であれば、企業の財務諸表の監査や法人税や消費税などの申告書作成などの税務業務を委託し、税理士は税務相談や会計サポートなどを担当します。
当然ながらこれらの業務に対して報酬や費用が発生し、その金額が年間で5万円を超えれば支払調書のマイナンバーの収集が必要です。
②フリーランスへの報酬や料金
近年は企業が自社商品やサービスの販促効果を高めるため、個人のマーケターに依頼してオウンドメディアを起ち上げるケースが増えています。
このようなケースにおいては、マーケターである個人事業主やメディア内の記事執筆を行うライターなどへの報酬支払が発生し、その金額が一人につき5万円を超えた場合に支払調書のマイナンバーの収集が必要です。
③芸能人やインフルエンサーなどへの報酬
企業が芸能人にCMやラジオなどをはじめとした広告媒体において、自社商品やサービスの宣伝を依頼して報酬を支払った場合も、支払金額に対しての支払調書の収集が必要になります。
特に近年はSNSなどで高い影響力を持つ「インフルエンサー」に自社の商品やサービスを紹介・PRしてもらい、その影響力を活用して販促効果を高める企業も多いです。
その際にインフルエンサーに支払う報酬に対しても、支払調書のマイナンバーの収集が必要です。
加えて芸能人やインフルエンサーを起用した、動画作成に必要な脚本家や監督、動画編集者にも支払調書のマイナンバーの収集が必要になる点も把握しましょう。
④プロ野球選手やアスリートへの報酬
プロ野球選手やアスリートのユニフォームや用具、イベント会場などに自社のロゴを貼りだし、自社商品やサービスの販促効果拡大を図る企業も多く見受けられます。
このような場合においてもプロ野球選手やアスリートへの報酬が発生し、一個人への年間の報酬金額が5万円を超えれば、支払調書のマイナンバーの収集が必要です。
⑤ホステスなどへの報酬や料金
企業がホステスなどに顧客への接待業務などを依頼し、一個人に対する年間の報酬支払金額が50万円を超えた場合も支払調書のマイナンバーの収集が必要になります。
なお店舗経営者からホステスに支払う給与以外の報酬は源泉徴収の対象外ですが、客から直接的に店舗経営者を介して支払われる報酬や料金は、源泉徴収の対象となるので注意しましょう。
支払調書でのマイナンバーの収集におすすめのソフト

前述のように支払調書作成における、マイナンバーの収集の範囲は多様な項目に分類されているため、支払調書作成時の対応が困難です。
加えて支払調書の作成では多様な税務処理が必要で、自社で内製化しても手間と労力がかかります。
そこでおすすめの会計ソフトが、システム連携で電子化や業務効率化を可能にした会計ソフトである「謝金システム」です。
同ソフトは士業などへの報酬である諸謝金を、一画面での簡単入力が可能なうえに、消費税や所得税も自動計算してくれます。
支払調書や源泉徴収票などの法定調書の印刷も可能なため、面倒な発送作業も簡素化できるのもメリットです。
報酬支払い対象者の個人情報を高セキュリティのクラウドで管理するなど、セキュリティ対策も万全な会計ソフトといえます。
高セキュリティでの管理のもと、スムーズな支払調書作成やマイナンバーの管理を推進したい方はぜひご利用ください。
支払調書でマイナンバーを収集する際の注意点
支払調書でマイナンバーを収集する際には、以下の2点に注意しなければいけません。
- マイナンバーを事前に確認
- マイナンバーの収集は本人確認が必要
支払調書でマイナンバーを収集する際の注意点を把握し、正しい税務手続きを行いましょう。
マイナンバーを事前に確認
企業が法人ではなく、フリーランスなどの個人に報酬を支払った場合は、事前にマイナンバーの確認が必要です。
仮にマイナンバーを記載せずに支払調書を提出しても、支払い対象の個人から提出を拒否されたなど、やむを得ない理由がない限り再提出となるので注意しましょう。
なお税務署に提出する支払調書にはマイナンバーの記載が必要ですが、支払調書の控えを個人に渡す場合には、マイナンバーは記載しないよう注意が必要です。
マイナンバーの収集は本人確認が必要
支払調書のマイナンバー収集では、マイナンバーの番号や所有者が正しく登録されているかの本人確認が必要です。
基本的にマイナンバーカードがあれば本人確認や番号確認は可能ですが、報酬や料金の支払い対象がマイナンバーを発行していなければ、住民票の写しでマイナンバーの確認を行い、その後に運転免許証などで本人確認をしなければいけません。
支払調書でのマイナンバーの収集を効率的に進めよう
支払調書の作成は企業に義務付けられており、報酬や料金の支払い対象からのマイナンバーの収集も必要になります。
支払調書作成やマイナンバーの収集は時間と労力が必要ですが、本記事を参考にして支払調書作成や、マイナンバーの収集効率を高めてください。
効率的な支払調書作成やマイナンバー収集を進めたい方は、システム連携でのスムーズな作成を可能にした「謝金システム」の導入がおすすめです。