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支払調書の書き方を徹底解説!報酬や不動産の記載例と提出手順も紹介


2025.07.20

支払調書は法定調書のひとつで、税務署への提出が義務付けられている書類です。この記事ではさまざまな支払調書の書き方について解説します。

支払調書の書き方の基本

まずは、支払調書の全体像を把握しましょう。支払調書は法定の書類であるため、法律で記載するべき内容が定められており、正確性を求められます。記載内容に誤りがあると、再提出を求められて税務処理に支障をきたします。ここでは、作成時に抑えるべき基本事項として、法的義務、対象となる支払い、源泉徴収や消費税の扱いについて解説します。

正確性や法的義務

支払調書の作成には、正確性が重要です。金額や受給者の情報を誤って記載すると、受給者の確定申告や源泉徴収に影響を与える可能性があります。記入漏れがあると、再提出を求められます。
支払調書は所得税法に基づく法定調書であり、提出義務を怠ると不提出加算税などの罰則が科される可能性もあるため注意が必要です。金額や受給者名など、正確なデータを元に作成し、記載漏れや誤記ないように、確認作業に細心の注意を払いましょう。

源泉徴収の対象範囲と消費税

報酬や料金等の支払いに対しては、所得税の源泉徴収が義務付けられています。通常、その金額は支払金額(原則として税込)に対して算出されます。
ただし請求書などに「報酬:◯◯円、消費税:◯◯円」と明記されてる場合は、税抜金額を基に源泉税を計算して差し引くことが認められています。また、報酬の種類によっては源泉徴収の対象外となるものもあるため、国税庁のホームページで基準を確認しておきましょう。対応を誤ると、税額の過不足や訂正対応が必要になるケースもあるため、注意が必要です。

支払調書とは?種類や提出義務、記載項目について

支払調書とは?種類や提出義務、記載項目について

支払調書とは、報酬や契約金、賞金などの支払に関して、その内容や金額、受取人の情報を記載して税務署へ提出する書類です。法定調書の一種であり、適正な税務処理を行う上で欠かせません。対象となるのは、主に法人や事業を営む個人事業主です。
提出の義務は、源泉徴収の対象となる報酬を支払った場合に発生します。具体的には原稿料や講演料、芸能人への出演料などが該当します。
義務ではありませんが、受給者へ提示することもおすすめです。受給者へ支払調書を渡すことを、交付といいます。受給者へ交付することで、取引の透明性を担保できますし、受給者が確定申告する際にも役立ちます。

支払調書の書き方と提出対象

支払調書には複数の種類があり、それぞれ書き方や提出の要件が異なります。主に報酬や料金、不動産取引、退職金、配当などが対象となり、支払いの内容や相手に応じた正確な記載が必要です。ここでは、代表的な支払調書の種類と、それぞれの書き方・提出基準について詳しく解説します。

支払調書の提出が必要となる主なケース

報酬や料金などの支払調書は、弁護士や税理士、講演者、フリーランスなどに対して支払った場合に作成が必要です。受給者の氏名、住所、マイナンバー、支払金額、源泉徴収税額などを記載します。
注意するべき点は、消費税を含めた金額を記載するか否かの判断や、適用欄への内訳、旅費交通費の記載です。提出義務は、基本的に報酬の年間支払額が5万円超となる場合で、金額や受給者の属性によって要否の基準が変化するため、それぞれの基準の確認が重要です。

提出義務がある事業者とは?法人と個人の違い

支払調書の提出義務があるのは、主に法人と事業を行う個人事業主です。法人は原則としてすべての対象取引について支払調書の作成と提出が求められます。
一方、個人事業主については提出義務があるケースと免除されるケースがあります。例えば、不動産の賃料支払いに関して、法人が故人に支払う場合は調書の提出が必要ですが、個人が個人に支払う場合は不要です。
報酬や料金に関しても、源泉徴収の有無や金額の基準に応じて提出義務が発生します。自社あるいは自分が提出義務に該当するか否かを確認することが大切です。

不動産取引や弁護士報酬など個別ケースの記載方法

支払調書の記載方法は、支払の内容によって異なります。不動産使用料の場合は、土地や建物の所在地、契約者情報、更新料や礼金を含んだ支払金額を記入します。法人の場合、年間15万円を超える賃料支払いが発生するケースでは、提出が必要です。
一方、弁護士や税理士など士業への報酬支払いについては、受給者のマイナンバーや支払額、源泉徴収料、支払い区分を記入します。適用欄には「旅費交通費含む」などの補足情報を明記することで、支払い内容の透明性が高まります。支払い内容ごとにフォーマットの使い分けと記載ルールを把握しましょう。

支払調書の書き方の手順と記入例

支払調書の書き方の手順を確認しましょう。フォーマットの準備から始まり、記載項目の把握、源泉徴収や消費税の処理まで、いくつかのステップがあります。作成時に迷いやすいポイントを整理しながら、作成から提出までの手順を解説します。

フォーマットの入手方法と選び方

支払調書の作成には、国税庁から提供される公式フォーマットを利用することが一般的です。国税庁のホームページには、各年度用に更新された様式がPDFやExcel形式で公開されています。
近年ではe-Taxを利用して電子ファイルとして作成・送信する方法が一般的になっていますが、印刷して手書きする方法やパソコンで入力して印刷して提出することもできます。年度によって様式が変更される可能性があるため、必ず最新のフォーマットを利用しましょう。

支払調書の主な記載項目と記入例

ここでは、最新の支払調書フォーマット(入力用PDF)を使って、報酬や謝金の記入の解説を進めます。以下が最新のフォーマットです。
令和6年分以後の支払調書
「区分」の欄には、原稿料等や契約金等など、支払いのおおまかな種類を記入します。「細目」の欄には、「雑誌コラム執筆料」や「フォトコンテスト最優秀賞」など、具体的な報酬の内容を記載します。
「支払金額」は税込で記載します。「個人番号」はマイナンバーのことで、記載必須項目です。「摘要」は、源泉徴収の有無や報酬の内訳を補足するための欄です。「源泉徴収対象外」や「旅費交通費含む」などと記載し、税務署や受給者が内容を正しく理解できるようにします。

消費税の取り扱いと税抜・税込の判断

支払調書に記載する金額に消費税を含めるか否かは、請求書の書き方によって異なります。原則として、税込金額が報酬として支払われた場合、源泉徴収の対象はその総額です。ただし、請求書に「報酬:100,000円、消費税:10,000円」と明確に分けて記載されている場合、税抜金額の100,000円を基に現世徴収税額を計算することが認められています。
消費税の扱いを誤ると源泉税の過不足が発生し、修正申告や再交付が必要になる場合もあり注意が必要です。

記入に際しての注意点

支払調書の記入にあたっては、いくつかの注意点があります。まずは金額やマイナンバーなどの記載ミスです。受給者の確定申告や税務処理に直接の影響を及ぼすため、入力後にダブルチェックなどの確認体制を整えましょう。手書きの場合は読みやすい文字で記載し、消えにくいインクを使用するよう心がけます。
また、支払区分や細目が不明確だと、税務署に内容が正しく伝わらず、訂正を求められるケースもあります。摘要欄の補足情報も旅費交通費や源泉徴収の有無などを、適切に記載しましょう。

支払調書の書き方を効率化するには?

支払調書の書き方を効率化するには?

支払調書の作成は、記載項目の多さや確認作業の煩雑さから、ミスや作業の遅れが発生しやすい業務です。支払先を多く抱える企業であれば、支払調書に対応した会計ソフトを利用したり、税理士に外注するなどして、効率化を図ることも検討しましょう。

会計ソフトの利用

会計ソフトを利用することで、支払調書の作成業務を大幅に効率化できます。多くの会計ソフトには、支払調書用のテンプレートや自動計算機能が備わっており、日々の取引データをもとに、自動的に報酬額や源泉徴収額を反映可能です。e-Taxとの連携に対応しているソフトも多く存在します。アップデート機能によって、常に最新のフォーマットを維持することができます。

過年度データの複製や帳票出力機能により、作業時間の短縮も実現します。毎年同じ委託先と取引している場合は、データの引き継ぎ機能を活用でき、年末の処理作業が格段にスムーズになるでしょう。

税理士に作成を依頼

社内に税務の専門知識を持つ人材がいない場合は、外部の税理士に作成を依頼することも選択肢のひとつです。税理士は税法の理解が深く、支払調書の作成にも慣れているため、記載ミスや提出漏れを防ぎながら、正確に書類を作成してくれます。
帳簿や請求書などの関連書類を預けるだけで、支払調書や法定調書合計表の作成を行ってくれ、e-Taxでの提出代行まで行ってくれるケースもあります。キャッシュアウトが発生するものの、新たに人材を確保することを考えると、合理的な手段となる場合もあるでしょう。

まとめ

支払調書は、報酬や不動産などの支払いに関して、正確に記載して提出することを求められる法定書類です。そのため、支払調書の書き方を理解することは、事業者や経理担当者にとって非常に重要です。
この記事では、支払調書の書き方を詳しく解説しました。支払調書の作成に取り掛かる前に、国税庁のホームページを確認し、最新のフォーマット内容を把握して、正しい記載を心がけましょう。