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謝礼金には源泉徴収が必要?注意点やおすすめ謝礼金ソフトも解説


2023.12.28

「謝礼金を支払う際に源泉徴収は必要?」「源泉徴収ってよくわからない」と疑問に思う方も多いかもしれません。

今回は、謝礼金と源泉徴収の関係と、インボイス制度への対応方法についても簡単に解説します。興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。

謝礼金の源泉徴収とは?

源泉徴収について簡単に解説します。源泉徴収とは、会社が個人に給与や報酬を支払う際に、あらかじめ税金を差し引いて払い、徴収した分を代わりに納付する仕組みです。

謝礼金とは?

謝礼金とは、講演会やイベント、取材協力などに対して、感謝の気持ちとして支払われる金銭のことを指します。一般的に、業務契約に基づく報酬とは異なり、一時的な協力や労力に対する「お礼」としての意味合いが強いのが特徴です。
例えば、

  • 講演やセミナーでの登壇
  • アンケート調査への協力
  • 地域イベントへの出演

などが謝金の対象となります。

金額は内容や規模に応じて支払われますが、あくまで謝意を示すものであるため、契約に基づいた継続的な業務とは区別されます。ただし、実態として役務の提供があり、報酬性が認められる場合には、謝金であっても源泉徴収の対象や消費税の課税対象となることがあります。

謝礼金は原則として源泉徴収が必要

例えば、「謝礼」「研究費」「取材費」「車代」といった名目で相手に支払いをする場合、原則として源泉徴収が必要となります。それは、謝礼金には税金が課税されるためです。謝礼金に消費税を含める際には、源泉徴収額を考慮して、報酬を確定したり調整したりすると良いでしょう。

なお、前述したように謝礼金に消費税が含まれている場合、原則として消費税を含めた金額が源泉徴収の対象となります。一方、請求書等で「謝礼額」と「消費税額」が明確に区分されていれば、税抜き額を源泉徴収の対象としても良いとされています。

謝礼金はいくらから源泉徴収が必要か?

「謝礼」「給与」「報酬」には、どのような名目であっても所得税がかかるため、原則として、支払う側が源泉徴収を行います。個人に謝礼金を支払う時は、「所得税を差し引いた額面」=「相手に渡したい額面」になるように調整するとよいでしょう。

例外として、懸賞応募作品の入選者や新聞投稿の採用者に支払う賞金等については、1回に支払う額が50,000円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいとされています。しかし、講演会依頼やインタビューなど、謝礼金を準備する場面では、基本的に額面に関係なく源泉徴収が必要であることを知っておきましょう。

実際には、ほとんどの仕事は源泉徴収の対象であり、例えばサラリーマンの給与明細には、源泉徴収額が記載されています。

個人事業主に支払う報酬は、原則として源泉徴収は不要

個人事業主に支払う報酬および料金は、原則として源泉徴収をする必要はありません。しかし、支払者が源泉徴収義務者かつ、「報酬・料金等の支払いを受ける物が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲」に該当する場合は、源泉徴収をしなければなりません。

「報酬・料金等の支払を受ける人が個人の場合」については、国税庁のHPに詳しく記載されています。以下をご参照ください。

報酬・料金等の支払を受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲

  1. 原稿料・講演料など
  2. 弁護士・公認会計士・司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
  3. 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  4. プロ野球選手・プロサッカー選手・プロテニス選手・モデルや外交員などに支払う報酬・料金
  5. 映画・演劇その他芸能(音楽・舞踊・漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
  6. ホテル・旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー・キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
  7. プロ野球選手の契約金など、役務の提供を訳することにより一時に支払う契約金
  8. 広告宣伝のために賞金や馬主に支払う競馬の賞金

引用:国税庁HP「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」

謝礼金の源泉徴収額の計算方法

それでは、源泉徴収額の計算方法についてみていきましょう。源泉徴収額の計算方法は、支払額によって2種類あります。

支払額計算方法具体例
100万円以下支払額×10.21%【支払額20万円の場合】
20万円×10.21%=20,420円
100万円超(支払額₋100万円)×20.42%+102,100円【支払額150万円の場合】
50万円×20.42+102,100=103,121円

この表のように、100万円以下の支払いでは支払額×10.21%が源泉徴収額となります。一方、100万円超の支払いでは(支払額₋100万円)×20.42%+102,100円の計算方法が適用されます。

参考:国税庁「No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき」

源泉徴収の対象となる範囲

源泉徴収はどのような場面で行われているのでしょうか。
源泉徴収義務については、所得税法の204条にて以下のように定められています。

“”居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。””

引用:e-GOV「所得税法」

源泉徴収後の流れ

源泉徴収は毎月行われ、年末調整で最終的に調整されます。会社員の場合は、源泉徴収や年末調整は会社が行ってくれます。

年末調整とは、会社が従業員の代わりに、確定申告をするようなものです。会社員の場合は、基本的に確定申告は不要の場合が多いです。しかし、医療費が高額になった場合など、会社員でも確定申告が必要な場合もあります。

また、個人事業主に報酬を支払った場合は、源泉徴収をして預かった所得税を税務署へに納付することが必要です。します。これは、報酬を支払った月の翌月10日までに税務署に対して納税することとなっています。

支払側は1月~12月までの1年間の「源泉徴収の対象となる報酬と源泉徴収税額」を集計し、税務署へ支払調書を提出する必要もあるでしょう。

源泉徴収における注意事項

源泉徴収における注意事項

源泉徴収を行う上で、知っておきたい「注意事項」についてみていきましょう。国税庁HPより、とくに注意したい部分を一部抜粋してみました。

2 ””謝礼・研究費・取材費・車代などの名目で支払われていても、その業務が報酬・料金等と同じであれば源泉徴収の対象になります。しかし、報酬・料金等の支払者が、直接交通機関・ホテル・旅館等へ通常必要な範囲の交通費や宿泊費等を支払った場合は、報酬・料金等に含めなくてもよいことになっています””

引用:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」

どのような名目で報酬や料金が支払われても、原則、源泉徴収の対象となります。しかし、支払者が直接交通機関・ホテル・旅館等へ交通費や宿泊費等を支払うケースでは、報酬として扱わなくてもよいとされています。

4 ””報酬・料金等の額の中に消費税および地方消費税の額(以下「消費税等の額」といいます。)が含まれている場合は、原則として、消費税等の額を含めた金額が源泉徴収の対象となります。ただし、請求書等において、報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません。””

引用:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」

通常、報酬・料金等には消費税がかかります。例えば、報酬・料金等の額面に消費税が含まれている場合は、原則、消費税を含めた金額が源泉徴収の対象です。

しかし、請求書内に消費税込ではなく消費税等の額が「明確」に区分されていれば、消費税を含まない報酬の額面のみを源泉徴収の対象とすることができるのです。

謝礼金の源泉徴収は「謝金システム」がおすすめ

謝礼金の源泉徴収は「謝金システム」がおすすめ

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謝礼金と源泉徴収についてまとめ

今回は、謝礼金の源泉徴収の関係性について解説しました。懸賞や賞金(1回に支払う額が50,000円以下)では、源泉徴収をしなくてもよいとされる例外はありますが、原則として謝礼金には源泉徴収が必要です。支払側は、源泉徴収をすることを前提に、相手方への謝礼の額面を調整しましょう。