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請求書の電子保存とは?受取側・発行側の電子保存のやり方を解説


2024.04.03

請求書や領収書、納品書などの取引情報を電子データでやり取りした場合、電子帳簿保存法で定められている方法で電子保存する必要があるでしょう。

しかし企業や個人事業主は、紙媒体で請求書を受取または発行することがあれば、電子データで請求書を受取もしくは発行することもあり、対応はまちまちです。したがって、企業や個人事業主は、請求書の受取方法や受信方法に対応した電子保存の方法を知っておかなければなりません。

そこで、この記事では、電子帳簿保存法に基づいて、受取側・発行側の立場で請求書を電子保存するやり方を紹介します。

請求書の電子保存が必要な理由とは?

請求書の電子保存が必要なのは、2024年1月1日より電子取引のデータ保存が義務化されたからです。請求書の電子保存に関係する電子取引の意味から説明しましょう。

電子取引とは、取引情報の授受を電磁的方式によりおこなう取引のことです。

具体的には、契約書・見積書・注文書・納品書・請求書などを電子データでやり取りすることを指します。電子帳簿保存法では、電子取引にまつわるデータを電子保存する際のルールが定められています。

以下の方法で請求書や領収書、納品書などを送受信すれば、それは電子取引に該当します。

  • PDFデータ
  • スクリーンショット
  • クラウドサービス
  • キャッシュレス決済
  • EDIシステム
  • FAX複合機
  • DVD等

請求書のPDFデータを添付している電子メールを送った、もしくは受信した場合、当該メールは電子保存の対象となります。さらに、ホームページの請求書画面をスクリーンショットしたもの、キャッシュレス決済の請求書や領収書なども電子保存の対象です。

受取側の請求書の電子保存の方法

請求書の受取側の保存方法を説明します。取引先から請求書を受領する方法は一般的に次の2つです。

  • 紙媒体の請求書を受取する
  • 電子データで請求書を受取する

この部分では、それぞれの方法において、電子帳簿保存法のやり方に沿って、受取側が請求書を保存する方法を説明します。

紙媒体の請求書を受取したときは紙保存か電子保存

紙媒体の請求書を受け取ったとき、一般的には以下の2つの方法のうちどちらかが採用されます。

  • 紙媒体の請求書をそのまま保存する
  • 紙媒体の請求書を電子保存する

2つの方法それぞれについて、具体的な内容を説明します。

紙媒体の請求書をそのまま保存する

請求書などの証憑書類は原本の保存が原則です。そうすることで、コピーや写しを利用して請求書を偽造する、改ざんするといった不正行為の予防になります。

つまり、紙の請求書でやり取りをする場合、紙媒体の請求種の原本をそのまま保存することが必要です。しかし、請求書の原本を法律で定められている期間保存することは、以下の問題を生みます。

  • 仕分けやファイリングなどの管理に手間がかかる
  • 会計システムに手入力していく作業が必要
  • 保存している原本を探すのに時間がかかる
  • 保管用のスペースの確保、備品のコストが発生する

上記の問題を解決するため、請求書の電子化と電子帳簿保存法に対応した電子保存に取り組む企業が増えているのです。

紙媒体の請求書を電子保存する

紙媒体の請求書を保存する別の方法は電子保存です。電子帳簿保存法で定められているスキャナ保存方式で紙媒体の請求書を電子保存すれば、原本の保存は基本的に不要になります。

紙媒体の請求書を受取してから電子保存するまでのプロセスは以下の通りです。

  • 紙媒体の請求書をスキャナーで読み込む、もしくはスマートフォンで撮影
  • 読み取ったデータを専用システムなどにアップロード
  • データにタイムスタンプを付与(訂正解除の記録が残るステムであればタイムスタンプは不要)
  • 電子帳簿保存法で定められた期間保存(法人7年間、個人事業主が5年間)

紙媒体の請求書をそのまま保存する方法を採用しているなら、この機会に請求書を電子保存する方法に切り替えられるでしょう。結果として、紙媒体の請求書を管理する手間が省けるでしょう。

電子データで請求書を受取したときは電子保存

PDFの請求書が添付されたメールを受信する、またはクラウドサービスなどを経由して請求書を受領する場合があります。

こうしたケースは電子取引に該当するので、電子保存しなければなりません。なぜなら、2024年1月1日以後の電子取引については、そのデータ情報を電子保存することが義務化されているからです。

電子データの請求書を電子保存するプロセスは以下の通りです。

  • 電子データの請求書を専用システムもしくはソフトウェア等にアップロード
  • データにタイムスタンプを付与(訂正解除の記録が残るステムであればタイムスタンプは不要)
  • 電子帳簿保存法で定められた期間保存(法人7年間、個人事業主が5年間)

電子データの請求書を電子保存する場合は、以下の3つの準備が必要です。

  • 改ざん防止のための措置をとる
  • 日付・金額・取引先で検索できるようにする
  • ディスプレイ・プリンタなどを備え付ける

※参照:国税庁

改ざん防止のための措置としては、「タイムスタンプの付与」、「履歴が残るシステムでの授受・保存」といった方法があります。それ以外にも「改ざん防止のための事務処理規程を定めて守る」という方法が利用可能です。

専用システムを導入すれば、日付・金額・取引先での検索は簡単にできます。

一方で専用システムを導入しなくても、表計算ソフトなどで検索簿を作成することで保存しているデータの検索が可能です。

さらに、データのファイル名に規則性をもって日付・金悪・取引先を入力し、特定のフォルダに集約しておけば、フォルダの検索機能を使って特定のデータを検索できます。

電子データの請求書を紙媒体で保存できる?

電子データの請求書を電子保存以外で保存する方法としては、紙にプリントアウトしそれを保存するというやり方があります。

2023年12月末までは、やむを得ない事情があれば請求書などをプリントアウトし保存することを認める宥恕措置(ゆうじょそち)が適用されていました。宥恕措置が終了した2024年1月からは、相当の理由があると認められる場合に紙保存が可能となる猶予措置が設定されています。

猶予措置について注意すべきことは、紙で保存が可能となっても、電子保存が必要という点です。税務調査などで、電子取引データのダウンロードやプリントアウトが求められた際にそれに対応できることが猶予措置の適用条件の1つとなっています。

※参照:国税庁

発行側の請求書控えの電子保存の方法

取引先に請求書を発行すれば、請求書の控えが残ります。この部分では請求書の控えを保存する方法について説明します。取引先に請求書を発行する方法は以下の2つです。

  • 紙媒体の請求書を発行する
  • 電子データの請求書を発行する

紙媒体の請求書を発行したときは紙保存か電子保存

紙の請求書を発行したときの、請求書の控えの保存方法は一般的には次の2つが挙げられます。

  • 紙媒体の請求書控えををそのまま保存する
  • 紙媒体の請求書控えを電子データとして電子保存する

紙媒体の請求書控えをそのまま保存する方法は、紙媒体の請求書を受け取ってそのまま原本を保存する方法と同じです。請求書の控えを仕分けし、ファイリングするなどして管理します。

紙媒体の請求書控えを電子保存する方法も、紙媒体の請求書を受領しそれをスキャンして電子保存する方法と同じです。具体的なやり方については、前の部分で説明していますので、そちらを参照してください。

電子データで請求書を発行したときは電子保存が必須

電子データの請求書を発行した場合、以下の2つの方法のどちらかで請求書の控えを保存できます。

  • 電子データの請求書の控えを電子保存
  • 電子データの請求書の控えを印刷して紙で保存

電子データの請求書の控えを電子保存するのは、電子帳簿保存法の電子取引方式に従った方法です。

2024年1月からは、適用条件を満たせば請求書などを紙媒体で保存できる猶予措置が設けられています。適用条件を満たしている企業や個人事業主の中には、電子データの請求書控えをプリントアウトして紙で保存するやり方を選択するところがあるでしょう。

ポイントは、電子データの請求書控えを電子保存する、プリントアウトして保存するのいずれを選んでも、データ保存することが必要ということです。

請求書の電子保存についてのまとめ

本記事では電子帳簿保存法に沿った方法で、紙の請求書と電子データの請求書を電子保存する方法を説明しました。紙媒体の請求書の受取・発行があれば、請求書もしくは控えをスキャンまたはスマホで撮影するなどしてデータ化し電子保存できます。

電子取引のデータは電子保存することが義務化されましたが、現時点では、請求書などの紙保存が可能となる猶予措置が設けられています。しかし、電子取引のデータを紙保存する場合でも、同時に電子保存が必要という点を念頭に置いてください。

請求書の電子保存は、電子帳簿保存法への対応策として必要です。さらに、請求書や納品書などを管理する業務の効率化につながります。電子保存への対応がまだなのであれば、この機会に電子保存への対応を急ぎましょう。