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【2026】公益財団法人の収支相償とは?内容や書く時のコツ・ポイント


2026.01.28

公益財団法人の会計業務を担当していると、「収支相償」という言葉を目にする機会が多いのではないでしょうか。公益法人特有の会計ルールでありながら、仕組みや記載方法が複雑で、毎年の決算時に悩む担当者も少なくありません。特に近年は制度の見直しが進み、正しい理解と運用がこれまで以上に求められるようになってきました。

この記事では、公益財団法人における収支相償の基本や、記入項目や実務上のポイント、効率的に管理するための方法について、わかりやすく整理して解説します。

公益財団法人の収支相償とは?

公益財団法人における収支相償とは、公益目的事業を行う際に、事業から得られる収入が、その事業に要する適正な費用を上回ってはならない、という財務的な規律を指します。

この考え方は、営利を目的としない公益法人が、利益を内部にため込まず、得た収入は公益目的のために還元するという理念に基づいています。

参考:公益財団法人 公益法人協会

つまり、公益財団法人では、公益目的事業の収入と費用を適正に管理し、「収入 ≦ 費用」であることを確保する必要があります。この制度は、法令(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律)および関連の会計基準によって定められています。

ただし、制度の見直しの流れの中で、収支相償の考え方や運用方法に変更が加えられており、近年はより柔軟な財務管理ができるよう改正されています。

公益財団法人の収支相償の記入項目

公益財団法人として収支相償を適切に満たすためには、収入・費用を正しく分類・記録したうえで、会計帳簿や財務書類に反映することが不可欠です。ここでは、収支相償を判定する際に押さえるべき主な記入項目について説明します。

収入(公益目的事業に係る収入)

収支相償の「収入」側には、公益目的事業によって得られる収入全般が該当します。

たとえば、下記の項目が含まれます。

  • 会費
  • 寄付金
  • 事業収益
  • 補助金
  • 受託収入

これらは、公益目的事業として扱われる活動に関わる収入であることが前提です。

また、収益事業等を行っている場合にその利益の一部を公益目的事業に繰り入れる場合、その繰入れ額も収支相償の「収入」として取り扱うことがあります。制度上、その繰入れは50%を上限とするルールが定められています。

費用(公益目的事業に係る費用)

一方で、「費用」には、公益目的事業を実施するためにかかったコストを適正に含めます。

たとえば、下記のような項目が含まれます。

  • 人件費
  • 材料費
  • 会場費
  • 運営費
  • 謝金
  • 外注費
  • 消耗費
  • 広告宣伝費

費用には、上記の項目のような、事業を遂行するために必要な費用が対象です。適正な費用として認められるかどうかが重要で、過剰な経費や不相当に高額な費用は認定されない場合があります。

事業ごとの区分管理と二段階判定

収支相償の判定は、公益目的事業単位での「第一段階」と、法人全体の公益目的事業会計全体での「第二段階」という、二段階の区分が基本です。第一段階で各事業ごとの収支を確認し、次に全体の収支で調整を行います。

また、単年度で黒字となった場合には、剰余金をどのように取り扱うか(特定費用準備資金・資産取得資金への積立、指定正味財産への計上、将来の公益目的事業への充当など)を定め、透明性を持って管理する必要があります。

参考:TOMAコンサルタンツグループ

附属明細書や注記との整合性

収支相償の計算結果は、財務諸表(正味財産増減計算書など)だけでなく、附属明細書や注記でその根拠や剰余金の使途、積立計画などを明示することで、行政庁や関係者に対する説明責任を果たす必要があります。これは、公益法人会計の透明性を確保するための要件でもあります。

公益財団法人の収支相償の計算とは?

公益財団法人の収支相償の計算とは?

公益財団法人における収支相償の計算とは、公益目的事業について「収入」と「費用」を適切に対応させ、その事業が営利を目的としたものになっていないかを確認するための仕組みです。 公益財団法人は営利を目的としない法人であることから、事業活動によって得た収入を内部に蓄積するのではなく、公益目的のために適正に活用しているかが重視されます。

収支相償は、こうした公益性を財務面から確認するための重要な基準の一つです。 収支相償の計算は、第一段階として公益目的事業ごとに収入と費用の対応関係を確認したうえで、第二段階として公益目的事業会計全体で収支の均衡が保たれているかを判定するという、二段階の考え方で整理されるのが一般的です。

このように、個々の事業単位だけでなく、法人全体として公益目的事業が適切に運営されているかを確認する点に特徴があります。なお、収支相償の計算において誤解されやすいのが、 「毎年、必ず収入が費用を下回らなければならない」という考え方です。 実際には、単年度で剰余が生じた場合でも、直ちに収支相償違反と判断されるわけではありません。

その剰余が、将来の公益目的事業に充当されることが合理的に説明できる場合には、制度上も認められています。 このため実務では、単に当年度の収支結果だけを見るのではなく、中長期的な事業計画や資金の使途とあわせて、収支の妥当性を説明できる状態にしておくことが重要となります。

収支相償の計算は、数字を合わせる作業ではなく、公益財団法人としての公益性と継続性を裏付けるための重要な判断プロセスといえるでしょう。

公益財団法人の収支相償を書く時のコツ・ポイント

収支相償を実務で運用・記入する際には、単に数字を入れるだけではなく、適切な管理体制と記録のルールを整えることが重要です。以下、ポイントをいくつか挙げます。

会計区分と事業ごとの区分を明確にする

まず、公益目的事業ごとに事業コードや事業名を決め、収入と費用をきちんと紐づけて記録できるようにします。複数の事業を同時進行している法人では、どの収入や費用がどの事業に属するかを曖昧にしないことが大切です。

会計帳簿の段階で事業区分を整えておけば、後から収支判定や帳票作成が容易になります。

剰余が出たら「剰余金の使途・積立計画」を事前に決めておく

もし黒字(収入 > 費用)が発生した場合には、剰余金の使途についてあらかじめ計画を立てておくと良いでしょう。たとえば、将来事業拡大のための資金積立、資産取得のための準備金、次年度の事業費への繰越など。

また、積立金や準備金にする際は、会計上および定款・内規上で「特定費用準備金」「資産取得資金」など適切に区分し、用途を明確にしておくことが求められます。これは、行政側の監査や支援者への説明で重要になります。

定期的なレビューと内部統制の整備

年度末だけでなく、四半期ごとに収支状況を確認し、収入・費用の見込みと実績を比較することで、剰余や赤字の傾向を早期に把握できます。特に大規模な事業や複数事業を持つ法人では、こうした定期レビューが欠かせません。

さらに、内部統制を整えて、会計処理の責任者やチェック体制、承認フローなどを明確にしておくことで、収支相償違反などのリスクを軽減できます。

会計帳簿と報告帳票のテンプレートを整備する

収支相償の判定や財務諸表作成、附属明細書の出力などを見越して、あらかじめ帳簿テンプレートや報告帳票の雛形を準備するのが望ましいです。これにより、年度末や報告時の手間とミスを減らせます。

公益財団法人の収支相償におすすめなソフト

公益財団法人の収支相償におすすめなソフト

収支相償の管理と運用は、収入・費用の区分、事業ごとの割り振り、剰余金の処理、帳票作成など、多くの手間がかかります。特に複数事業を抱える公益財団法人にとっては、手作業だけで正確に対応するのは大きな負荷となります。

そこでおすすめなのが、公益法人向けの会計ソフトであるWEBバランスマン会計です。

このソフトは、公益法人会計基準に準拠しており、以下のような特徴があります。

  • 公益目的事業、収益事業、法人会計の会計区分に対応
  • 事業ごとの収益・費用を区分管理でき、収支相償の判定に必要な集計が容易
  • 剰余金の積立や準備金、資産取得資金などの管理機能も完備
  • 財務諸表(正味財産増減計算書)、附属明細書、注記帳票など必要帳票を自動生成可能
  • 内部統制を意識した導入や運用設計にも対応しており、大規模法人にも適用可能

このような専用ソフトを導入することで、収支相償の計算ミスや帳票作成の煩雑さを大幅に軽減でき、事務負担を削減しながら透明性とコンプライアンスを維持することが可能です。

公益財団法人が持続的に運営されるための基盤づくりとして、WEBバランスマン会計のようなシステムの導入は非常に有効です。

公益財団法人の収支相償についてまとめ

公益財団法人における収支相償は、営利目的ではなく公益性を重視する法人として、その収入と費用のバランスを適正に維持するための重要な制度です。収入が費用を上回らないよう管理し、得られた剰余金は公益目的に再投資するという理念に基づいています。

実務においては、収支相償を適切に記録・判定するために、事業区分ごとの管理、剰余金の使途明確化、内部統制、帳票整備など、多くの工夫と手続きが求められます。また、近年の制度改正の流れの中で、単年度の収支均衡だけでなく、中長期的な収支均衡を前提とした運用に移行する動きもあり、会計処理と資金計画の見直しが求められています。

こうした複雑な会計管理を、手作業で正確に行うのは容易ではありません。そのため、公益法人向けに設計された会計ソフトの導入は、適法性と効率性を両立させるための有効な選択肢です。

公益財団法人として社会貢献を持続させるためにも、収支相償を正しく理解し、適切に運用できる体制づくりを、ぜひ検討してみてください。