公益財団法人の決算書には、さまざまな書類が含まれます。
各書類でどこを見ればいいのか、何に注意してみればいいのか、ポイントをつかみたい方もいるのではないでしょうか。
そこで、本記事では、公益財団法人の決算書の見方を解説していきます。
決算書を適切に見て、経営などに活かしたい場合は、ぜひ参考にしてください。
公益財団法人の決算書の種類

公益財団法人では、法令と会計基準に基づいて次の書類を作成し、原則として公開します。
役割を押さえると、どこから読めばよいか判断しやすくなります。
- 活動計算書(年度の活動による収益・費用と資源配分の結果を示す)
- 貸借対照表(期末時点の資産・負債・純資産の状態を示す)
- キャッシュ・フロー計算書(事業活動・投資・財務の資金の流れを示す)
- 注記(会計方針や内訳、後発事象など本表の数字の根拠を補う)
- 附属明細書(固定資産や引当金など重要項目の明細を示す)
- 財産目録(保有資産の名称・数量・目的・価額を一覧で明らかにする)
上記に加えて多くの公益財団法人が監査報告も併せて掲載します。
読み進める際は、活動計算書→貸借対照表→キャッシュ・フロー計算書→注記→附属明細→財産目録の順にすると、全体像をつかみやすくなります。
公益財団法人の決算書の見方
ここからは、公益財団法人の決算書の見方を書類別に解説していきます。
各書類において、何を着目すべきかを確認していきましょう。
活動計算書
活動計算書では、年度の活動で「どの資金を、どの事業に、どれだけ充てたか」を読み取ります。
会費・寄附金・補助金・事業収益などの収益と、事業費・管理費などの費用が並びます。
そして、公益目的・収益・法人運営といった活動区分や、経常とその他の切り分けが示されます。
読みとるときは、まず上位の主要事業について収益・費用の構成比を把握し、資源配分の重心を掴みましょう。
次に寄附や補助金の内訳を確認し、使途制約や返還条件の有無を活動計算書の注記で照合します。活動計算書の注記の中でも返還条件が分かるのは「寄附金・補助金の使途制約関連注記」で、返還義務がある場合は未使用額の返還予定や前受補助金等としての負債計上に関する注記が該当します。
管理費比率は単年で善し悪しを断じず、少なくとも3期の推移で傾向を見てください。
災害損失や資産売却益などの一時的な項目は恒常的な収支と切り分け、当期収益費用差額が翌期の事業計画や資金繰りに与える影響を想像しながら次表に進みます。
貸借対照表(B/S)
貸借対照表は、期末時点の資産・負債・純資産の状況を読みとることが可能です。
現預金や未収金などの流動資産と、未払金や短期借入などの流動負債から運転資金(流動資産−流動負債)を計算し、短期の余裕度を判断します。
純資産は一般純資産・指定純資産・基金・その他有価証券評価差額金に区分されるため、自由に使える原資の厚みを一般純資産で確認し、指定純資産の拘束性は注記で条件を確かめます。
有形・無形固定資産は償却の進み具合や更新投資の必要性に着目し、古い資産が事業の質に与える影響を検討しましょう。
借入金や退職給付などの負債は返済期限や見積りの前提を注記で裏取りし、将来の資金需要を見通します。
非常時の耐久力は「一般純資産÷経常費用」を月数に換算して目安を持ち、過不足を把握します。
キャッシュ・フロー計算書(CF)
キャッシュ・フロー計算書では、資金の動きを事業活動・投資・財務の3区分で立体的に確認します。
キャッシュフローが安定してプラスなら「日常の活動が資金を生み出している」と判断することが可能です。
一方で、マイナスが続く場合は、活動計算書の収支構造や貸借対照表の運転資金で補えるかを合わせて確認しましょう。
投資キャッシュフローがマイナスでも、設備更新やシステム導入といった将来のための支出なら必ずしも悪化とは限らないため、固定資産の明細で中身を確かめてください。
財務キャッシュフローがプラスに偏る場合は、借入や基金受入への依存が恒常化していないかを返済計画で判断します。
3期分を横並びにし、キャッシュフローを経常規模で割ったキャッシュフローマージンの安定度を指標化すると流れを掴みやすくなります。
注記
注記は、本表の数字の意味と根拠を示す台帳として読みます。
具体的には以下の項目が記載されています。
- 会計方針
- 費用配賦の基準
- 会計区分別の内訳
- 指定寄附や補助金の条件
- 関連当事者取引
- 金融商品の評価
- 重要な会計見積り
- 後発事象
- キャッシュフローの調整項目 など
活動計算書で見た寄附の使途や基金の取り崩し条件は、ここで正確に確認が可能です。
間接法によるキャッシュフローでは、利益と現金の差を生む要因が注記に並ぶため、黒字でも現金が減った理由を説明できるようになります。
監査報告に強調事項や限定事項がある場合は、該当の注記と必ず突き合わせましょう。
附属明細書
附属明細書では、次の項目が記載されています。
- 固定資産の取得・除却・減価償却
- 引当金の設定根拠と残高
- 借入金やリース債務の詳細
- 指定純資産の内訳 など
まずは明細の合計が本表と一致しているかを検算し、期中の大きな増減がどの取引に起因するかを注記と照合します。
大型投資が続く場合は、投資の狙いと成果指標、資金計画の整合がとれているかを次年度計画と合わせて判断してみてください。
財務規律(収支相償・公益目的事業比率・遊休財産)の判定に使う金額については、どの表のどの行が根拠かまで明細で特定します。
財産目録
財産目録は、決算日時点の資産・負債を名称・数量・使用目的・価額で一覧化する書類です。
新公益法人会計基準では、貸借対照表に「基本財産」区分がなくなったため、財産目録においては「基金」や「指定純資産」などの区分や位置付けを明記することが求められています。担保設定や共同利用の有無、休眠資産の存在を拾い、遊休化の兆しがないかを判断してください。
公開版では個人情報がマスキングされることがあるため、注記の説明と矛盾がないかも合わせて確認します。
最終的に、活動計算書で見た資源配分が財産目録に記載された資産の保有目的と整合性しているかを確かめ、読み込みを締めくくります。
公益財団法人の決算書の見方でよくある質問
ここからは、公益財団法人の決算書の見方でよくある質問に回答していきます。
公益財団法人の財務3基準とは何ですか?
公益財団法人の財務3基準とは、以下の3つです。
①中期的収支均衡
②公益充実資金
③使途不特定財産
これらの基準は、活動計算書の経常収支や事業配分、貸借対照表の一般・指定純資産、および附属明細書の算定根拠を用いて判定します。特に重要なのは、単年度での判断にとどまらず、3年間の推移を確認して傾向を把握することです。
この基準変更により、従来の単年度収支均衡の考え方から、5年間の中期視点で財務バランスを保つ中期的収支均衡へ移行し、公益法人の持続可能な運営を支援する枠組みとなっています。
公益財団法人の損益計算書(活動計算書)は大事ですか?
公益財団法人の損益計算書に該当するのは活動計算書であり、大事な書類です。
2025年以降の基準では活動報告書が中心的な財務諸表です。
先述のとおり、収益と費用を示し、どれだけの利益があるかを示す書類となります。
公益財団法人の決算・会計なら「WEBバランスマン」

「WEBバランスマン会計」は公益法人向けのクラウド会計システムで、最新の公益法人会計基準に対応します。
変換マスタにより平成16年基準・平成20年基準の決算書も出力でき、移行期の運用も可能です。
伺書入力を標準装備し、伺書から支出伝票へデータを引き継いで2重入力を減らします。
さらに決算帳票の出力に対応し、SSLと権限設定でデータを守り、電子決裁や電子保存(オプション)も利用できます。
公益財団法人の決算や会計処理を効率的に進めたい場合は、WEBバランスマンの導入を検討してみてください。
まとめ
公益財団法人の決算書にはさまざまな種類の書類があり、それぞれで着目したい項目があります。
本記事で解説した着目ポイントをもとに、広い視野で決算書を見てみましょう。
各書類の作成や処理においては、WEBバランスマンのような会計ソフトを活用すると適切に進められます。
自社に合う会計ソフトを導入し、決算書の作成に取り組んでみましょう。
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