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【2025】公益社団法人の決算書で作成すべき書類とは?流れやポイントも解説!


2025.11.30

公益社団法人の決算業務は、株式会社などの一般法人と異なり、会計上のルールに加え、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(認定法)」に基づく行政庁への報告義務が伴うため、非常に複雑です。特に会計区分ごとの経理処理や、公益性を維持しているかを示すための「財務三基準」のクリアは、実務担当者にとって大きな課題となります。

本記事では、公益社団法人の決算書に求められる役割から具体的な作成の流れ、そしてつまずきやすいポイントまで解説します。

公益社団法人の決算書とは

公益社団法人の決算書は、単に法人内部の財政状態を示すだけでなく、社会に対する「説明責任」を果たす最も重要な書類です。会費や寄付金といった貴重な財源が、いかに効率的かつ適正に「公益目的事業」に使われたかを、社会や行政庁に明確に示す必要が書類となります。この説明責任の遂行が、法人の公益性を担保し、認定を維持するための根幹となります。

また、公益社団法人は、一般的に企業会計原則ではなく、「公益法人会計基準」に準拠して決算書を作成します。この基準は、営利を目的としない法人の特性に合わせたもので、原則として「公益目的事業会計」「収益事業等会計」「法人会計」という3つの会計区分に分けて経理内容を表示する「区分経理」を求めています。さらに、決算書は「認定法」に基づく定期提出書類の基礎データとなるため、会計基準と認定法の両方の要件を満たすよう、慎重に作成しなければなりません

決算書と深く結びつく「財務三基準」

公益社団法人は、公益性を継続的に維持していることを示すため、以下の「財務三基準」をクリアする必要があります。

  • 収支相償
  • 公益目的事業比率
  • 遊休財産額の制限

収支相償は、公益目的事業に係る収入が、その実施に要する適正な費用を中長期的に見て超過しないことが求められます。単年度で黒字が生じた場合には、中長期の計画に基づいて翌期以降に繰り越して公益目的事業に充てるなどの措置が必要です。

また、公益目的事業の比率は、事業費用の総額に占める公益目的事業費用の割合が50%以上にする必要があります。遊休財産額の制限では、使途の定まっていない財産(遊休財産)の額が、原則として公益目的事業等に必要な年間支出額を超えない水準(おおむね1年分以内)に抑える点が条件です。決算書(特に正味財産増減計算書と貸借対照表)を作成する過程で、これらの基準をクリアしているかシミュレーションし、必要に応じて対応措置を講じる必要があります。

公益社団法人の決算書で作成すべき書類

ここからは、公益社団法人の決算書で作成すべき書類を詳しく見ていきます。

公益社団法人の基本的な決算書類

公益法人会計基準に基づいて、作成が義務付けられている基本的な決算書類(計算書類)は以下の通りです。

  • 貸借対照表(B/S)
  • 正味財産増減計算書(P/Lに相当)
  • 附属明細書
  • 財産目録
  • キャッシュ・フロー計算書

まず、貸借対照表(B/S)は、期末時点の財産状況を示します。財産の分類や固定資産の計上方法などが一般法人と異なる点です。正味財産増減計算書は、一事業年度における正味財産(純資産)の増減を示す書類で、一般法人の損益計算書に相当すると押えましょう。具体的には、公益・収益・法人それぞれの事業活動の結果を区分して表示します。附属明細書は、貸借対照表および正味財産増減計算書を補足する詳細情報(固定資産、引当金、販売費・一般管理費の内訳など)を記載する書類です。

それから、財産目録は法人が保有するすべての財産の一覧です。最後に、 キャッシュ・フロー計算書は会計監査人の設置が義務付けられている大規模な公益社団・公益財団法人では作成が義務付けられており、それ以外の法人は作成を省略することも認められています。

決算とセットで必要になる書類

公益法人の決算業務は、計算書類の作成で終わりではありません。行政庁への提出と法人の運営上、決算と密接に結びついた書類作成が求められます。

  • 事業報告
  • 事業計画書・収支予算書
  • 各種別表

事業報告の書類では、事業年度に行った活動の実績を記載します。計算書類と照らし合わせて整合性を確認する必要があります。事業計画書や収支予算書は、次年度の事業活動計画と、それを裏付ける正味財産増減計算書ベースの収支予算を、事業年度開始前までに作成します。

各種別表としては、認定法に基づき、財務三基準の判定結果などを示すための行政庁提出書類(別表A、B、Cなど)を作成していきます。これは決算書データに基づいて作成されるため、決算作業と並行して進めるのが効率的です。

公益社団法人の決算書を作成する流れ

公益法人の決算は、通常の会計処理に加え、認定法対応の工程が加わるため、スケジュール管理が非常に重要です。

ステップ①決算整理仕訳と区分経理のチェック

通常の法人と同様に、期末の経過勘定(未収・未払)の計上、減価償却費の計上といった決算整理仕訳を行います。加えて、公益法人特有の作業として、会計区分(公益、収益、法人)の仕訳が正しく行われているかを徹底的にチェックしましょう。

特に家賃や人件費などの共通費用について、どの区分にどれだけ費用を負担させるかという費用配賦計算の合理的な基準を設定し、仕訳を確定させます。

ステップ②決算書作成と財務三基準のシミュレーション

確定した仕訳を基に、貸借対照表と正味財産増減計算書を作成します。この段階で、作成された決算書データを用いて、行政庁に提出する各種別表(特に別表A, B, C)の数値をシミュレーションする流れです。

特に別表B(公益目的事業比率)が50%未満の場合や別表C(遊休財産額)が基準を超過しそうな場合は、決算修正(例:収益事業から公益目的事業への繰入)を検討する必要があります。

ステップ③事業報告・附属明細書・各種別表の作成

計算書類の確定後、これらを裏付けとする事業報告や附属明細書を完成させます。同時にステップ②でシミュレーションした結果に基づき、認定法に基づく各種別表(別表A・B・Cなど)を正式に作成しましょう。

これらの書類は、計算書類と整合性が取れていることが求められます。

ステップ④理事会・評議員会での説明から提出・公開

作成された計算書類と事業報告等は、監事または会計監査人による監査を経た後、理事会・評議員会で承認を受けます。承認後、決算日後3ヶ月以内に行政庁へ定期提出書類として提出します。

さらに、定期提出書類の写しなどを主たる事務所に備え置き、誰からの閲覧請求にも応じることが義務付けられており、近年は行政庁の「公益法人information」サイト等を通じてインターネット上でも決算情報が公表される仕組みになっています。

公益社団法人の決算書作成時につまずきやすいこと

ここからは、公益社団法人の決算書作成時につまずきやすいことを紹介します。事前に確認し、スムーズに決算書を作成できるように検討しておきましょう。

日常仕訳はできても決算書で詰まる

日常的な仕訳はできていても、公益法人の決算特有の「費用配賦計算」や「会計区分間の調整」といった複雑な処理でつまずくケースが多発します。

特に共通費用の配賦基準が不明確であったり手計算で行われていたりすると、最終的な正味財産増減計算書の数値に大きな影響を与え、認定法上の基準をクリアできなくなる場合があるでしょう。

財務三基準を決算後に確認してしまう

財務三基準を決算書が完成した後に「チェック」として確認してしまうと、もし基準を満たしていなかった場合、手戻りが発生し、決算期日(提出期限)に間に合わなくなる可能性があります。

重要なのは、決算整理の段階で常にシミュレーションを行い、基準を満たすための調整を計画的に行うことです。

人手不足・担当者交代で決算が属人化する

公益法人の経理担当者は人数が少ないことが多く、専門知識が求められるため、担当者の異動や退職が発生すると、業務が完全に属人化しているリスクが一気に顕在化します。

引継ぎが難しく、独自のExcelシートや複雑な手計算ファイルに依存している場合、新しい担当者が一からルールを理解し直す必要があり、決算業務が滞ってしまいます。

公益社団法人の決算書業務は「WEBバランスマン会計」がおすすめ

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高いセキュリティと担当者別の権限設定で、安心して運用できるのも魅力です。公益社団法人の決算書作成をスムーズに進めたい際は、WEBバランスマン会計の導入を検討してみてください。

まとめ

公益社団法人の決算書は、公益法人会計基準と認定法という2つの重要な要件を満たし、社会への説明責任を果たすための書類です。特に「区分経理」「費用配賦計算」「財務三基準のクリア」が、実務上の成功を左右します。

これらの複雑な作業を手作業や属人化したプロセスに依存するのではなく、WEBバランスマン会計のような専用ソフトを活用しましょう。専門ソフトを導入すれば、決算業務の正確性と効率性を向上させられます。