公益情報システム株式会社トップ > ブログ > 公益法人会計基準とは?概要と必要な書類を解説

公益法人会計基準とは?概要と必要な書類を解説


2023.05.25

公益法人は、税務に関して、優遇を受けることができます。そのため、普通法人とは異なる、公益法人会計基準というものを元にした会計を行わなければなりません。では、公益法人会計基準とはどういった基準なのか、必要な書類や会計時の注意点などと一緒に解説していきます。

公益法人会計基準とは?

公益法人会計基準は、昭和52年に設定された基準です。複数の改正を伴いながら、現代まで公益法人が会計を行うための基準として使用されています。基本的には、会計を行う際に作成が義務付けられている財務諸表と、財産目録の作成に関する内容となっています。継続的な活動を行う公益法人は、決算時に、公益法人会計基準に基づいた財務諸表と、財務諸表に附属する明細、財産目録を作る必要があります。あくまでも継続的な活動を想定している公益法人だけが守らなければならない基準なので、継続しない公益法人や、継続的な事業を終わらせる公益法人には関係ありません。

公益法人会計基準では、公益法人が保有している資産を明らかにし、その資産がどのように増減したのかがわかるキャッシュフローを明確にすることが求められます。そして、年度ごとに財務諸表を更新して、最新の内容で手続きを行わなければなりません。

普通法人との違い

公益法人が会計を行う際には、公益法人会計基準を元にする必要があります。そのため、株式会社や一般法人など、一般的に公正妥当と認められる会計基準を元にすれば問題ない普通法人とは、会計の内容が異なります。具体的な違いは数多くありますが、その中でも代表的なのは、正味財産の区分が挙げられます。

法人の純資産である正味財産は、普通法人であれば区分する必要がありません。しかし、公益法人会計基準では、財務諸表内で、正味財産を指定正味財産と基金、一般正味財産の3通りに分けることが求められます。公益法人が運営によって増やした資産は、自由に使える一般正味財産となりますが、目的を伴って寄附された資産は指定正味財産となり、自由には使えません。そして、基金は、ある目的を持って公益法人が資金を集めるために設けるものです。会計時には、それらを別の財産として扱わなければなりません。基金を設けない公益法人の場合は、指定正味財産と一般正味財産の2通りとなりますが、区分しなければならない点は同じです。

また、営利を目的とした普通法人は、資産の増減を表すために損益計画書を用意しなければなりませんが、公益法人会計基準では、損益計画書ではなく正味財産増減計画書が必要になるという違いがあります。ただ、全ての普通法人が、損益計画書を用意するとは限りません。特に営利を目的としない一般法人は、公益法人会計基準に基づいた会計を行い、正味財産増減計画書を用意する場合があります。

公益法人会計基準に基づいた会計を行う際に必要な書類

公益法人会計基準に基づいた会計を行いたいと思ったら、下記書類を用意する必要があります。

貸借対照表

公益法人会計基準では、基本の決算書となる賃借対照表によって、事業年度末における全ての資産、負債と正味財産の状態を、明瞭に表示しなければならないとなっています。そのため、どれくらいの資産と負債があるのか、資産から負債を引いた純資産である正味財産はいくらなのかを記載した賃借対照表を用意し、公益法人財政の状態を明らかにする必要があります。

正味財産増減計算書

正味財産に関することは、賃借対照表とは別に、正味財産増減計画書にも記載しなければなりません。年度末のタイミングで、正味財産がどのように増減したのか、一般正味財産と指定正味財産、基金ごとに記載します。

附属明細書

賃借対照表と正味財産増減計画書に関して、補足が必要な場合は、附属明細書を用意しなければなりません。附属明細書には、基本財産または特定資産の明細と、将来的なコストや損失などのためにあらかじめ用意しておく引当金に関する内容を記載します。

キャッシュ・フロー計算書

会計監査人を設置する大規模な公益法人の場合、資産の流れを示す、キャッシュ・フロー計算書が必要となります。どのように資産を投入したのか、その結果どういった増減があったのかを、事業活動と投資活動、財務活動ごとに、それぞれリストを作成します。

財産目録

財産目録は、公益法人が保有する全ての財産と負債を記載する書類です。財産は、具体的な数字だけでなく、使用目的も記載する必要があります。賃借対照表に記載されている内容を、より細かく記したものが財産目録です。そして、財産目録の内容は、賃借対照表と照らし合わせた際に、計算が合うようにしなければなりません。

公益法人会計基準を元にした会計を行う際の注意点

公益法人会計基準を元にして会計を行う場合、収益の区分を間違えないよう注意しましょう。公益法人の会計では、法人に参加している人からの会費や、法人の目的に賛同してくれた人からの寄附など、特殊な収益が数多くあります。そういった収益を、間違った区分にしてしまうのはよくある失敗です。

また、正味財産増減計算書に記載する基金に関しても、間違いが起こりやすいです。公益法人では、将来的な出費などに使用するために、積立として基金を設けることがあります。ただ、その基金は、正味財産増減計算書に書かれる基金とは別物です。正味財産増減計算書に記載する基金は、実質的な資本として使用する目的で集めたものです。そのため、積み立てた基金を正味財産増減計算書に書くのは間違いなので注意が必要です。

公益法人会計基準では、特定の条件を満たしていれば、一部を省略できるようになっています。代表的なものとしては、キャッシュ・フロー計算書が挙げられます。小規模な公益法人は、作成を省略可能です。また、附属明細書の資産の内容は、別に注記している場合、省略できます。そのため、省略できる部分は、なるべく省略した方が良いでしょう。ただ、省略するためには、条件があります。したがって、本来は省略できないにもかかわらず、省略してしまうということにならないよう注意しなければなりません。

公益法人会計基準に対応しているソフト

公益法人会計基準に基づいた会計を行う場合、会計ソフトを使用することが望ましいです。そして、会計ソフトには数多くの種類がありますが、その中でもおすすめなのは、公益情報システム株式会社の、バランスマン会計システムです。会計作業を効率化できるソフトで、簿記に関する専門的な知識を持っていない人でも、会計がしやすくなっています。

基本的な使用方法は、あらかじめ用意されている欄に文字や数字を入力するだけで済みます。公益法人会計基準では、簿記の原則に従って財務諸表を作成しなければなりませんが、バランスマン会計システムであれば、特に問題のない作成作業ができるでしょう。同じ情報を入力しなければならない部分には、自動で入力されるため、欄ごとに入力ミスをしてしまう心配もありません。また、公益法人会計基準に関する、賃借対照表や、正味財産増減計画書といった決算書を出力できる機能も備わっています。公益法人会計基準に基づいた会計を行うために、各種書類の作成を一から始める必要はありません。

さらに、ブラウザで使用するクラウド型と、パソコンにインストールして他の表ソフトなどと組み合わせるオンプレミス型を選べるという特徴もあります。よって、幅広い公益法人に対応できるでしょう。クラウド型を使用する場合は、通信データの暗号化ができるSSL証明書を使用します。そのため、他者に知られてはならない情報を扱う会計作業にも対応可能です。

健全な公益法人運営のために会計基準の内容は把握しておこう

公益法人会計基準は、公益法人が健全な会計を行うために欠かせない基準です。もし、公益法人会計基準を満たすことができなければ、公益法人としての信頼を失ったり、責任を追求されたりする恐れがあります。そのようなことにならないために、公益法人会計基準の内容をしっかり把握して、公益法人の運営を行いましょう。