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公益法人の損益計算書とは?書き方や項目を徹底解説


2026.01.06

公益法人の経理・財務担保の観点から「公益法人会計基準」に則った「損益計算書(正確には活動計算書/正味財産増減計算書)」の理解は欠かせません。今回は「公益法人 損益計算書」をテーマに、定義・項目の見方・書き方・便利な会計ソフトまで、実務的に解説いたします。

公益法人の損益計算書とは?

公益法人において、一般企業における「損益計算書」に相当するものは、実務上「正味財産増減計算書」あるいは今後の基準変更に伴い「活動計算書」と呼ばれるものです。

これは、公益法人が営利を目的とせず、公益目的事業を通じて「財産の増減」を示す必要があるためです。つまり、収益が利益として残るのではなく、費用を差し引いたうえで正味財産がどのように変動したかを示します。

公益法人会計基準では、貸借対照表、正味財産増減計算書、キャッシュ・フロー計算書、附属明細書などが財務諸表等として義務付けられています。

損益計算書と呼ばれる形式自体は企業会計用語であり、公益法人ではその名称・構成が異なる点に留意が必要です。

公益法人の損益計算書の項目の見方

公益法人の損益計算書(正味財産増減計算書/活動計算書)を読み解くには、主要な収益・費用項目と正味財産の増減構造を理解することが重要です。以下では、どのような項目で構成されているかを整理します。

収益の部

収益の部には、公益目的事業活動を通じて得られた収入や、寄付金、補助金、会費、事業収益、運用益などが含まれます。例えば、税務上の申告書でも「基本財産運用益」「受取会費」「受取補助金等」「受取寄附金」などが明記されています。 国税庁

この収益を適切に把握することで、どの事業からどれだけの収入が生まれているかを法人内部・支援者双方で理解できます。

費用の部

次に、費用の部には、公益目的事業・収益事業・法人会計における各種費用が含まれます。代表的には役員報酬、給料手当、退職給付費用、事業費、会議費、旅費交通費、減価償却費、修繕費などです。税務上は「役員報酬」「給料手当」「減価償却費」「支払寄附金」などが挙げられています。 国税庁

費用を正しく分類・把握することで、公益目的事業がどれだけコストをかけて運営されているかが分かります。

正味財産増減の把握

収益から費用を差し引いた結果、正味財産(活動期首残高+当期の増減)として結果が示されます。公益法人会計基準では「正味財産増減計算書」として、一般正味財産・指定正味財産・基金などの区分で表示されてきました。

また、2025年4月からの改正によって「活動計算書」と名称を変え、財源区分別・活動別表示がより重視される方向にあります。

内訳表・注記の活用

損益計算書(正味財産増減計算書)単体では把握しきれない情報については、附属明細書や注記によって、事業区分別、財源区分別の内訳が示されます。公益法人制度改正の流れを受け、これら内訳表の作成義務・様式も見直されつつあります。

これらの項目を押さえておくことで、損益計算書を「単なる数字の集まり」から「活動状況を説明する資料」へと読み替える力が養われます。

公益法人の損益計算書の書き方

ここでは、公益法人が実際に損益計算書(正味財産増減計算書/活動計算書)を作成する際の手順やポイントを解説します。

ステップ1:会計区分の確認と区分経理

まずは法人でどの会計区分を採用しているかを確認します。公益目的事業会計、収益事業等会計、法人会計の3つの区分が一般的ですが、改正基準によって区分・表示方法が整理されてきています。 PCA+1

各会計区分ごとに収益・費用を分けて記帳・集計することで、損益計算書における構成が明確になります。

ステップ2:収益・費用の集計と整理

次に、期間中に発生した収益・費用を集計します。収益は会費・寄付金・補助金・事業収益・運用益など、費用は役員報酬・給与・減価償却費・一般管理費など多岐にわたります。税務署の指引では、「おおむね次に掲げる科目に従って作成してください」としてその例示が示されています。

集計の際には、発生主義・継続性の原則など会計の基本原則を意識し、年度をまたぐ費用や未収収益の調整も忘れないようにしましょう。

ステップ3:正味財産の増減計算

収益から費用を差し引いた結果を「当期正味財産増減額」として算出し、期首正味財産残高に加算または減算して「期末正味財産残高」を求めます。これは法人の財産状況を示す重要な数値です。

また、指定正味財産や基金などの区分がある場合は、それぞれの区分ごとに残高変動を明示します。

ステップ4:注記・内訳表の作成

本表だけでは読み取りにくい部分は、注記・附属明細書で補足します。たとえば、財源区分別の内訳、会計区分別・事業区分別の収益・費用、寄付金の使途、指定正味財産の状況などです。改正基準では、この注記がより重視されていることが報じられています。

ステップ5:公表・提出と内部レビュー

作成した損益計算書および関連資料は、所定の行政庁への提出や法人のウェブサイトでの公表が求められる場合があります。会計監査人設置法人では監査も必要です。

内部レビューとして理事会・監事による確認や、会計処理方針の整備も欠かせません。

公益法人の損益計算書に便利な会計ソフト

公益法人の会計処理に特化したソフトを用いることで、損益計算書の作成効率・正確性が高まります。ここでは、特におすすめのソフトをご紹介します。

公益法人向け: “WEBバランスマン”

公益法人会計基準に対応した会計ソフトとして「WEBバランスマン」は特に有力です。公益法人特有の会計区分、正味財産の管理、活動別収支の表示などに対応しています。公式サイトでも会計・財務諸表作成支援が明記されています。

このような法人専用ソフトを用いることで、損益計算書作成の際に区分の誤りや記載漏れを減らし、開示要件の遵守にも役立ちます。

公益法人向けソフト選定時のポイント

ソフトを選ぶ際には、以下の点を確認すると良いでしょう。

  • 公益法人会計基準/活動計算書様式への対応
  • 収益・費用の活動別・財源別の集計機能
  • 正味財産区分(一般正味財産/指定正味財産/基金)管理機能
  • 内訳表・注記の自動生成・印刷機能
  • 監査対応・電子提出対応などの付加機能

これらの機能を備えたソフトを導入することで、作成工数の削減と信頼性の向上が期待できます。

公益法人の損益計算書についてまとめ

公益法人の損益計算書(正味財産増減計算書/活動計算書)は、法人の財務状態と活動状況を透明に示すための重要な書類です。以下に要点を整理します。

  • 公益法人では、企業会計の損益計算書ではなく、正味財産の増減を示す形式が採られています。
  • 収益の部には会費・寄付金・補助金・事業収益など、費用の部には役員報酬・給与・減価償却費・管理費等が含まれ、これらを基に正味財産の増減を把握します。
  • 作成手順としては、会計区分の確認、収益・費用の集計、増減計算、注記・内訳表の作成、提出・公表という流れがあります。
  • 会計ソフトを活用することで、損益計算書作成の効率化・精度向上・開示準備が進めやすくなります。
  • 制度改正(2025年4月からの新公益法人会計基準など)を見据え、活動計算書への移行や表示方法の変化にも対応していく必要があります。

損益計算書は、公益法人の「活動成果」と「財務基盤」を示すものです。正しく作成・開示することで、支援者や行政・利害関係者との信頼構築につながります。今回の記事が、実務担当者の皆さまにとって、有効なガイドとなれば幸いです。