公益法人の会計に関する悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。特に会計処理の複雑さや企業会計との違いに戸惑うことがあるかもしれません。公益法人は、社会的使命を果たすために設立された組織であり、その会計処理は特有のルールに基づいています。
本記事では、公益法人の会計区分やよくある質問を解説します。
公益法人の会計の会計区分

公益法人の会計について、会計区分は「公益目的事業会計」「収益事業等会計」「法人会計」に分類されます。それぞれの会計区分について解説します。
公益目的事業会計
公益目的事業会計は、公益法人がその使命を果たすために行う事業に関連する会計です。具体的には、教育、文化、福祉など、社会に貢献する活動が該当します。この会計区分では、公益目的事業の収入と費用を管理し、収支のバランスを保つこと必要です。
また、公益目的事業会計は、公益法人の中核を成す部分であり、財務三基準のすべてに影響を与える重要な役割を担っています。さらに、公益事業の成果を正確に把握し、次年度以降の計画策定に役立てるための基礎資料としても機能します。
収益事業等会計
収益事業等会計は、公益法人が収益を得るために行う事業に関する会計です。これは法人が自らの活動を持続可能にするための資金を確保する手段として行われます。収益事業は、商業的な活動を含むことがあり、その利益は公益目的事業に再投資されます。この会計区分は、公益目的事業比率や収支相償の判定に影響を与えるため、収益と費用の管理が重要です。
収益事業の適切な運営は、法人の経済的基盤を強化し、公益事業の拡充に影響します。また、収益事業の成果を透明に示すことで、外部のステークホルダーからの信頼を得ることが可能です。結果的に法人は持続可能な運営を実現し、さらなる社会貢献を目指すことができるでしょう。
法人会計
法人会計は、公益法人の全体的な管理運営に関する会計です。具体的には管理費や事務費など、法人の運営に必要な経費を扱います。この会計区分は、公益目的事業比率の判定に影響を与えます。法人会計では、各事業に共通して発生する費用を合理的に配分しなければなりません。
また、法人会計は法人の経営資源を効率的に活用し、持続可能な運営を支える基盤となります。法人全体の財務状況を把握するための大事な指標を確認でき、戦略的な意思決定に活かすことも可能です。
公益法人会計基準とは?
公益法人会計基準とは、公益法人が財務諸表を作成する際に守るべき会計ルールを定めた基準です。 2025年4月以降の事業年度から新公益法人会計基準が適用されています。
公益法人は、社会的使命を果たすことを目的として活動しており、営利企業とは性質が異なるため、使途制限のある寄付金や補助金(指定純資産)と、制限のない資金(一般純資産)を区別して会計処理する必要があります。 この基準は、経理処理を統一し、外部に対して透明性と信頼性のある情報を提供することを目的としています。
具体的には、貸借対照表、活動計算書、各注記、附属明細書、キャッシュ・フロー計算書(義務対象法人に限る)、財産目録などの形式や表示区分が規定されています。 これらの規定により、公益法人の財務状況や事業成果を明確に示し、監督官庁・支援者・一般利用者が公平に比較・評価できるようになります。
財務諸表の様式の違い
公益法人の財務諸表は、新公益法人会計基準 に基づき、法人の財務状況や活動実績を正確かつ透明に示すための形式で作成されます。営利企業が利益を算出して経営成績を示すのに対し、公益法人の財務諸表は、公益目的活動にどのように資金を活用したかを明らかにすることを主な目的としています。
改正後の公益法人会計基準では、原則として、以下の書類および関連資料の作成が定められています。
貸借対照表
資産・負債・純資産の状況を示す表です。改正後も基本構成は維持される一方、純資産の部における「一般純資産」「指定純資産」の区分表示を本表上では行わず、注記方式で区分内訳を開示する方式に改められます。
活動計算書(旧:正味財産増減計算書)
当期の活動による収支の結果を明らかにします。新基準では本表では「公益目的事業費・収益事業費・管理費」などの分類を示す構成が採られ、本表中で一般/指定の区分表示は行わず、区分内訳は注記または附属明細書で開示されます。
附属明細書
財務諸表を補強する資料として、事業区分別の収支、使途制限資産(指定純資産等)の内訳・増減、寄付金・補助金の使途、基金運用状況などが詳細に開示されることが求められます。
キャッシュ・フロー計算書
現金収支の流れを示す書類です。会計監査人設置法人など一定規模以上の法人に作成義務があります。それ以外の法人については、作成免除や簡易な方式の適用が認められる制度があります。
財産目録
法人が保有する資産・負債を一覧化する帳票です。改正後は、財産目録そのものを別掲する形式だけでなく、貸借対照表の注記「資産及び負債の状況」にその内容を記載することで、財産目録と同等の役割を果たす扱いも認められています。
公益法人の会計にはWEBバランスマンがおすすめ

WEBバランスマンは、公益法人向けの会計ソフトです。公益法人会計基準に対応した決算書出力などの機能を備えており、財務報告の作成をサポートしてくれます。また、簿記知識がなくても扱いやすい設計となっています。
クラウド型にも対応しており、インターネット環境があれば複数拠点から同時に利用することも可能です。また、セキュリティ面も重視しており、SSL証明書を取得しています。
WEBバランスマンを導入することで、法改正にもスムーズに対応できる他、業務効率化にもつながるでしょう。
公益法人会計によくある質問
公益法人の会計については、さまざまな疑問が生じます。ここでは、公益法人の会計書類と、企業会計との違いについてご紹介します。
公益法人の会計書類は?
公益法人は、特定の社会的使命を持つため、その活動を透明にするための会計書類が必要です。以下は、公益法人が作成すべき主な会計書類です。
- 貸借対照表:法人の財政状態を示す基本的な書類
- 活動計算書(正味財産増減計算書):収益と費用の増減を記録し、純資産(正味財産)の変動を示す書類
- キャッシュ・フロー計算書:事業年度内の資金の流れを示す書類
- 附属明細書:貸借対照表や活動計算書(正味財産増減計算書)を補足するための詳細情報を記載する書類
- 財産目録:法人が保有する全ての財産を一覧にした書類
以上の書類は公益法人がその活動を透明にし、説明責任を果たすために必要です。正確な書類を作成し、公益法人としての信頼感の向上に努めることが大切です。
公益法人会計と企業会計の違いとは?
公益法人会計と企業会計には、目的や基準において大きな違いがあります。
- 公益法人会計:公益性を重視し、社会的使命を果たすための会計
- 活動計算書(正味財産増減計算書)を用いて、公益活動の成果を示す
- 公益法人会計基準に基づき、透明性と説明責任を重視する
- 公益認定を受けることで、税制優遇措置を享受できる
- 企業会計:利益の最大化を目的とし、営利活動を支える会計
- 損益計算書を用いて、収益と費用の状況を明確にする
- 企業会計原則にもとづき、経済的利益を重視する
- 利害関係者には、経営者や投資家が含まれる
- 公益法人ほどの税制優遇はない
以上のように公益法人と企業の会計には違いがみられます。公益法人会計は公益性を重視し、社会的使命を果たすための重要な基盤です。適切な会計処理を行うことで、法人の活動を透明にし、社会的信頼を得られます。
企業会計とは異なる基準や目的を理解し、適切に処理しなければなりません。なお、公益法人会計と企業会計の違いについては、以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
公益法人の会計についてまとめ
公益法人の会計は、社会的使命を果たすために不可欠な要素です。本記事では、公益法人の会計区分やよくある質問への回答を通じて、公益法人会計の重要性とその具体的な処理方法を解説しました。
公益法人が作成すべき会計書類や企業会計との違いを理解することで、法人の活動を透明にし、社会的信頼を得ることができます。また、適切な会計処理を行うことは、公益法人がその使命を持続的に果たすための基盤となります。
煩雑な会計処理はWEBバランスマンのような会計ソフトを活用すれば、複雑な会計処理も簡単に行えます。ぜひ自法人に適した会計ソフトを導入してみてください。
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