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管理会計を行うメリットとは?財務会計との違いも詳しく解説


2024.04.03

さまざまな会計業務の中でも特に欠かせない重要な業務の1つが「管理会計」です。

現在の会社の状況を把握するだけでなく、将来の会社の予測など経営の判断に必要な情報をまとめておくことで、迅速な意思決定や経営判断が可能となります。しかし、財務会計とは違い法律的には管理会計を行わなくてもなんの問題もありません。

本記事では「管理会計を行うメリット」や、「財務会計との違い」などを紹介しています。会計業務に携わる人にとっては必須とも言える情報を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

管理会計とは?

管理会計とは、会社経営において必要な情報をまとめた会計の事を指します。

企業や経営者によって、会社を経営する為に重視している情報が違うため、決まった形式やルールはありません。あくまで社内向けに展開される会計情報となりますので、法的な拘束力はありません。

つまり、必ず実施しなくてはならないプロセスではないということです。

管理会計を行う主な目的としては会社の現在の状況を把握するために活用したり、将来の予測をするための会計となります。経営者はその情報を元に、迅速な情報整理や正しい経営判断を行います。

管理会計の業務内容

管理会計には決まった形式やルールが存在しないことや、企業によって重要視する情報が異なるので、業務の内容も企業ごとに違います。

その中でも、一般的によく活用される4つの業務を紹介します。

予実管理

予実管理は、経営計画に基づいて作成した予算と、それに対する実績を把握し、比較する管理業務です。

予算と実績をそれぞれ明確に把握し、目標が未達となった場合に原因や対策を考案に活用することを目的とします。より効果的な予実管理には、予算と実績の差異をリアルタイムで把握できるようにするのが理想です。

原価管理

原価管理とは原材料費だけでなく、製品やサービスを提供する為に必要となる全てのコストを算出し、目標原価と実際の原価を管理します。目標原価に対して実際の原価を比較し、コスト改善を図ることで利益の確保やリスク管理を行う事を目的とします。

さらに、原価管理を行う事で得られるメリットとして、無駄なコストの削減や損益分岐点の把握ができる事も挙げられます。

経営分析

経営分析とは財務諸表をはじめ、さまざまな調査報告書を活用して情報をまとめ、経営状態を客観的に把握するために行う分析となります。

分析に使う指標は企業によって違いますが、最も重要となるのは「収益性」と「安全性」です。この2つを効果的に分析する為には、「売上成長率」「売上高営業利益率」さらに「当座比率」「自己資本比率」を経営指標にするのがおすすめです。

資金繰り管理

資金繰り管理とは、会社が問題なく経営できるように全体的なキャッシュフローを把握し、資金が不足しないように管理する業務です。現金や当座預金、定期預金などすぐに現金化できる金額はもちろん、売掛金や未収金などの債権を把握することで資金ショートを防ぐ事を目的とします。

資金不足を防止し、設備投資や新規事業への投資など、資金調達が必要となる場面でも素早く活用できます。適切な資金繰り管理ができていれば、問題が発生した時にも迅速な対応が可能です。

管理会計を行うメリット

前述の通り管理会計は、法的に実施しなければならないと定められていません。そのため会計業務の負荷を考慮し、実施していない企業も多くあります。

ここでは、管理会計を導入することで得られるメリットについて紹介します。

客観的に経営状態を評価できる

管理会計を行うことでさまざまな情報が可視化でき、客観的に経営状態を把握し、評価することができます。

一般的に経営分析に利用される「売上成長率」「売上高営業利益率」「当座比率」「自己資本比率」といった財務諸表から算出された経営指標を元に評価ができるため、客観的に経営状態を把握できるでしょう。

また、四半期や年1回実施される財務会計と違い、管理会計は毎週や毎月といったリアルタイムの情報が入手できるため、迅速な経営判断ができるのもメリットの1つです。

セグメント分析が可能になる

セグメント別に業績を把握するため管理会計を行う事で、セグメント分析が可能となる事もメリットとして挙げられます。セグメント分析により、コスト管理の最適化や製品・サービスの改善などが容易となり、収益性や安全性の確保に繋がります。

また、セグメント別の業績が可視化されることで、公正な評価ができるとともに、問題点の改善を図ることも可能です。

コスト管理による無駄の洗い出しができる

管理会計で行われる原価管理によって、原材料費や製品やサービスの提供にかかるコストの管理が可能となります。

継続的にコスト管理をすることで無駄の削減や改善効果が期待できます。

財務会計について

続いては財務会計について解説していきます。

管理会計と名前は似てますが、内容はまったく違うものとなりますのでしっかり確認していきましょう。

そもそも財務会計とは?

財務会計とは株主や金融機関など、社外の利害関係者に向けて作成された会計の事です。主に債権者や投資家、税務署といった外部の利害関係者に企業の財務状態や経営状況を報告するために行う会計となります。

具体的には、賃借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書などの財務諸表をもとに、企業会計原則に則り作成して利害関係者に提出する事となります。

企業会計の一般原則とは、以下に示す7つの原則から成り立っています。

  1. 真実性の原則
  2. 正規の簿記の原則
  3. 資本取引・損益取引区分の原則
  4. 明瞭性の原則
  5. 継続性の原則
  6. 保守主義の原則
  7. 単一性の原則

財務会計の目的と役割

管理会計が社内で活用する会計なのに対し、財務会計は社外へ情報を提供する会計です。

財務会計を行って外部に財務状態や経営状況を公開する目的としては主に「情報提供」と「利害調整」の2つがあります。

「情報提供」は投資家や金融機関または取引先に対して、自社の財務状態を提供することで、投資先や取引として適正かどうか判断をおこなう材料とする目的があります。

そして、もう一つの目的「利害調整」とは、株主や債権者に対して財政状況を提供することで、株主への利益の還元と、債権者への借入金の返済のバランスが偏らないように調整することです。

財務会計の業務

財務会計の業務は主に「経理系の業務」と「財務系の業務」に分ける事ができます。

経理系の業務とは、毎年の決算期ごとに損益計算書や賃借対照表、キャッシュフロー計算書など財務諸表を作成することです。また、仕訳伝票の入力といった日常的な経理業務もあります。

それに対して財務系の業務とは、予算の管理や資金繰りなどを行います。投資家や金融機関から資金調達を行ったり、株式の発行をしたりします。また、株主への利益還元や、債権者への借入金の返済のバランス調整も財務系の業務の1つです。

財務会計と管理会計の違いとは

財務会計と管理会計の違いをまとめると以下のようになります。

管理会計財務会計
対象者社外の利害関係者(投資家・債権者・税務署など)社内(主に経営管理者)
目的外部へ情報提供を行い、投資や取引の判断材料にしてもらう経営の最適化を目指す
内容会計基準に基づく企業が必要とする指標を任意で取り入れる
書式財務諸表任意の書式(資料やレポート)
期間毎年決算期(一年、半年、四半期など)任意の期間(年、月、週など)

管理会計をシステム化して会計業務の効率化をしよう

管理会計を行うデメリットとして挙げられるのは、経理担当者や営業担当者などの業務負荷が増えることです。

管理会計による業務の負荷を軽減させるためには、管理会計に必要となるスキル研修の実施や管理部門への増員などが有効的な手法となります。その上で、管理会計の効率を最大化できるシステムの導入を検討しましょう。

そうした仕組みや工夫により、現場の負荷を増やすことなく管理会計を行う事が大切です。

まとめ

本記事では「管理会計」と「財務会計」について詳しく解説してきました。また、管理会計と財務会計の違いについても紹介しました。

管理会計は必ず行わなくてはならない業務ではありませんが、管理会計を取り入れることでさまざまなメリットが得られます。管理会計を行うには、担当部門の業務の負荷が増えることもあるため、会社の状況に合わせて適切な方法で導入を検討することが大切です。