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大学の非常勤講師の給料は?相場やポイントも解説


2025.10.04

大学教育を維持するうえで、非常勤講師の存在は欠かせません。教授・准教授や常勤講師だけでは補いきれない授業を補う形で採用されることが多く、その報酬体系は常勤講師とは異なる給料の仕組みです。

本記事では、大学が非常勤講師に支払う給料の体系や報酬・謝金の支払いについて整理し、給料体系や相場、おすすめサービス紹介します。

大学の非常勤講師に支払う給料体系とは

大学の非常勤講師に支払う給料体系とは

大学で非常勤講師を採用する場合、給料は「コマ制」の報酬体系を用いるのが一般的です。「コマ」とは授業1回分を指し、多くの大学では90分を基準としています。1コマごとに定められた金額を支給するため、人件費を授業数に応じて管理できるのが特徴です。例えば1コマ1万円と設定すれば、週4コマを担当する講師に対して月額およそ16万円を支払う計算となります。

この報酬には授業準備や試験問題の作成、採点といった業務は含みまません。そのため、大学側としては授業の実施分に報酬を限定し、効率的に人件費を支払いできます。さらに、休講期間中は授業が行われないため支払は発生しませんが、長期休暇中に集中講義を設ければ、非常勤講師にとっても助かる報酬を別途支給することが可能です。

大学の非常勤講師の給料に含まれるもの

非常勤講師に支払う給料は、授業コマ数に応じた報酬が基本です。しかし、それだけでなく、非常勤講師の経費の一部を別途支給します。代表的なものが交通費であり、通勤にかかった実費を大学側で負担します。

また、大学にとっては講師の質の底上げもできる会議や研修に参加した場合に日払いの謝金を支給するケースもあります。ただし、方針によっては無償とする場合もあります。

さらに、定期試験の期間には試験監督を依頼し、その業務に対して報酬を加算する仕組みを導入している大学もあります。非常勤講師を管理する大学にとっては、どの業務に報酬が発生し、謝礼と区別するのかなどを把握することが大事です。

大学が知っておきたい非常勤講師の給料を計算するコマ単位の相場

非常勤講師に支払う場合の報酬は、講師の経歴や地域によって差があります。国公立大学に該当する場合、1コマ90分あたりおよそ6,000円前後に設定するのが一般的です。私立大学では水準がやや高く、7,000円前後が多いですが、地域によっては9,000円以上に設定する場合もあります。

一方、都市部の有名私立大学では、特に専門性が高い分野の授業を担当する講師に対して、1コマで15,000円を超える報酬を支払うことがあります。さらに、20,000円から30,000円の範囲で設定される事例も見られます。

同じ90分の授業であっても、地方の国公立大学と首都圏の有名私立大学とでは大きな差が生じるのは、このように報酬基準が大学の規模や立地、科目の専門性に応じて異なるためです。大学側としては、優秀な人材を確保し、大学に引き止める目的で報酬水準を引き上げる場合があります。

参考:JREC-IN Portal「求人公募情報閲覧」
参考:東京大学大学院 情報学環・学際情報学府「若手研究者のキャリア形成における非常勤講師職の役割」
参考:dmenuニュース「大学の「非常勤講師」の給料はどれくらい?「常勤講師」の年収と比較してみた」

大学が非常勤講師に高い給料を支払わなくてもよい理由

非常勤講師に支払う報酬は、世間のイメージほど高額ではありません。例えば、1コマ90分で1万5,000円に設定した場合、見かけ上は時給が1万円を超えて支払うように見えます。

しかし、実際には講義準備や教材作成、学生対応、試験問題の作成や採点といった業務も含めた額のため、大学側が支払う給料報酬は最低限のコマ単価のみで処理できます。これが非常勤講師を雇う大学側のメリットです。

平均的な数値で比較すると、非常勤講師は時給換算で約2,474円程度、教授は約3,409円とされます。大学教授の給料が月給制で支払う一方、非常勤講師はコマごとの契約となるため、管理自体は難しくありません。

同じ大学の教授職と比べると時給の違いは明確です。非常勤講師の平均的な時給換算は約2,474円とされています。

これに対し、大学教授はおよそ3,409円です。金額差は約1.4倍にもなります。この差は、雇う大学側にとっては、基本給や手当、ボーナス、支援金など多岐にわたり支払うため、上記のような差が出るのです。

参考:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)」

大学が非常勤講師の給料を支払う際に押さえておきたいポイント

大学が非常勤講師を雇う場合は、効率的に給料の支払いを管理できる体制を構築することが大切です。そこで、大学が非常勤講師の給料支払いにおいて押さえておきたい3つのポイントを詳しく解説します。

報酬体系の明確化

通常、非常勤講師への給料は、基本的に授業1コマごとの報酬で支払日に口座に振り込みます。大学は契約時に単価や支払い条件を明示し、授業準備や採点など授業以外の業務が報酬に含まれるかどうかも明確にしておく必要があります。非常勤講師への説明が不十分だとトラブルにもなるため、大学側で雇う条件を事前に決めておくことがセオリーです。報酬体系の明確化は、講師との誤解やトラブルを防ぎ、契約内容の透明性を確保できます。

支払いスケジュールと事務手続きの管理

授業後の支払時期や請求手続きの流れを事前に整備することもポイントの1つです。明確なスケジュールを設定することで、講師の安心感を高めると同時に、大学側の事務作業の効率化にもつながります。振込作業は数が多くなるとその後のチェックするだけでも大変だからです。これで支払遅延や手続き漏れをまとめて防ぐ体制を整えることもできます。会計ソフトなどを導入しておくと支払額の把握などもスムーズです。

法令・税務上の対応

給料支払いに際しては、源泉徴収や社会保険の適用など法令上の対応が求められます。非常勤講師が雇用形態としてアルバイト的な位置づけとなる場合でも、所得税や住民税、健康保険・厚生年金の適用範囲を正しく把握し、処理することが大学側の責任です。

以上の3点を押さえることで、非常勤講師への給料支払いは、大学にとっても講師にとっても安心・円滑な運用が可能となります。

大学の非常勤講師の給料管理におすすめなサービス

大学の非常勤講師の給料管理におすすめなサービス

非常勤講師を雇う場合、給料は授業単位で支払われるため、大学側は講師単位でコマ数により報酬の管理をする必要があります。

また、授業の回数や期間が大学ごとに異なり、さらに試験監督や会議参加などで発生する謝金が加わるため一定の謝金管理機能が必要です。

そこで役立つのが、公益情報システムが提供する「謝金システム」です。簡単な入力作業だけで謝金を処理できる機能が備わっています。この謝金システムは国立や私大などを問わず、全法人が利用可能です。

また、謝金システム内には「講師マイページ」があり、支払調書や大学からの謝金明細をWEB上で受け取れます。マイナンバーの連携による管理もしやすいのがメリットです。

大学の非常勤講師の給料に関するまとめ

非常勤講師の給料は、授業1コマごとに設定される報酬体系です。国公立大学と私立大学ではコマ単位の報酬に差があり、都市部の有名私立大学では比較的高額となる場合があります。なお、授業準備や採点等の業務はコマ単位の報酬には含まれないため、外部から想定される給料額とは異なる場合があります。