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電子帳簿保存法の改正内容は?改正日と必要な対応


2023.07.04

電子帳簿保存法の改正により、2024年からは原則として電子帳簿保存が義務化されます。しかし、実際にどのような改正がなされるのかについて、正しく理解している方は多くはないようです。

そこで今回は、電子帳簿保存法の改正日や内容について解説します。また、記事では電子帳簿保存法に対応した公益法人向けの会計ソフトウェアを3つ紹介しています。これから電子帳簿導入を検討しているのであればぜひを参考にしてください。

電子帳簿保存法とはどんな法律?

「電子帳簿保存法」とは、電子計算機(パソコンなど)を用いて国税関係帳簿書類を作成した場合における、帳簿などの保存方法を定めた法律です。本来ならば帳簿などの保管は、各種税法の定めに従って処置しなければなりません。ですが、従来の法律は現物の帳簿などを想定しており、デジタル社会には適応していませんでした。電子帳簿保存法が策定されたことによって、電子計算機で作られた帳簿などの簡易な保管方法が認められるようになりました。

「電子帳簿保存法」の正式名称

「電子帳簿保存法」の正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」です。大変長い名称なので、略して「電帳法」と呼ばれることもあります。

電子帳簿保存法の制定と改正はいつ?

電子帳簿保存法が成立したのは1998年3月30日のことです。1998年3月31日に公布され、1998年7月1日から施行されています。2023年の時点における最新の改正は、2021年度税制改革の閣議決定によって、2020年12月21日に決まりました。改正された電子帳簿保存法の施行日は2022年1月1日です。この改正によって、国税にかかわる帳簿や書類、あるいはそれらのデータ保存方法について、大きな見直しが行われました。なお、電子帳簿保存法は2022年改正以前にも4回(2005年、2015年、2016年、2020年)改正されています。

電子帳簿保存法の2022年改正の主要なポイント

2022年の改正によって、電子帳簿保存法はどのように変わったのでしょうか。以下では主要な改正の内容について解説します。

保存方法の変更!3つの保存区分に分かれる

従来は帳簿や国税関係書類などの紙による保存が認められていました。改正後は、国税に関わる帳簿や国税関係書類などを電子データで保存しなければなりません。さらに保存するデータは、以下の3つの保存区分に分類されることになりました。

1つ目は「電子帳簿等保存」です。会計ソフトなどで電子的に作成した帳簿や書類などを電子データのままで保存する場合、この区分に分類されます。2つ目は「スキャナ保存」。注文書・納品書・請求書などをスキャンして画像データとして残す場合の保存区分です。3つ目は「電子取引データ保存」。メールなどで電子的に受け取った取引データを電子データとして残す保存区分です。

タイムスタンプの緩和

今回の改正によって、電子データが改ざんされていないことを示す「タイムスタンプ」の要件が緩和されました。紙の領収書などをスキャナ保存によって電子データとして保存する場合、従前は3営業日以内のタイムスタンプを押したうえで、紙の領収書などの受領者が署名しなければなりませんでした。改正後は、タイムスタンプの付与期間が2カ月(約2カ月と7日以内)に延長され、さらに受領者の署名が不要となっています。なお、データ改変履歴が残る会計システムを用いている場合には、タイムスタンプも必要ありません。

検索要件の緩和

従前の法律では、保存したデータに応じて検索要件が設定されており、帳簿作業がわずらわしいものとなっていました。今回の改正によって検索要件が緩和されています。

2022年の改正後は、次の3つの条件を満たしていることが検索要件とされています。1つ目は「日付」「金額」「相手方」の3つの項目で検査ができることです。2つ目は「日付」と「金額」について「範囲指定検索」ができるようにすること。3つ目は、「日付」「金額」「相手方」の3つから、2つ以上の検索項目を用いた「組み合わせ検索」ができるようにすることです。なお、税務職員からダウンロードを求められた場合に、その要求に応じられる状態で電子データが保存されているのであれば、範囲指定検索や組み合わせ検索の設定は、必要ありません。

適正事務処理要件が廃止される

以前は、スキャンによって領収書などの書類を電子データとして保存する場合「適正事務処理要件(相互けん制・定期的な検査・再発防止策の社内規程整備の3つ)」に関する規定を社内で設定する必要がありました。さらに、スキャンした電子データの紙の原本は、保管しておかなければなりません。2022年の改正によって「適正事務処理要件」が廃止されました。くわえて、領収書などをスキャンした際の紙の原本を保存しておく必要がなくなりました。

事前承認制度が廃止される

改正前は、帳簿や国税関係書類などの電子データを保存する場合、保存開始時期の3カ月前までに、所轄の税務署において承認を受けなければならないという「事前承認制度」がありました。2022年の改正によって事前承認制度は廃止が決定。改正後は、帳簿や国税関係書類の電子データ保存を開始するのに、誰かの承認を受ける必要はありません。

電子帳簿保存の改正はいつまで?義務は何がある?

2022年改正によって、例外をのぞき、紙による保存が廃止されるので注意しなければなりません。国税関係帳簿・国税関係書類・請求書・領収書といったものは、原則として電子データによる保存が義務付けられます。

では、電子帳簿保存を導入していない事業者の場合はどうすればよいのでしょうか。2022年改正では、電子帳簿の導入まで2年間の「宥恕(ゆうじょ)期間」が設けられることが定めらました。税務署が認めるやむを得ない事情があり、税務調査などの際に必要な書類を提示できるのであれば、電子データを紙の書面のまま保存できます。宥恕期間は改正が施行された2022年1月1日から2023年12月31日の丸2年間です。なお、宥恕期間の適応について、事前申請の必要はありません。

2024年1月1日以降は、電子帳簿保存への対応が事業者の義務となります。もし電子帳簿保存を導入していないのであれば、一刻も早い対応が必要となるでしょう。電子帳簿保存への対応方法としては、適切な会計基準にのっとった「会計用ソフトウエア」の導入がおすすめです。

電子帳簿保存法の改正に対応!公益法人向けの会計ソフト3選

公益法人とは、営利目的ではなく公益を目的にした活動を主体とする法人のことを指します。公益法人は一般法人とは異なり、税制などで利点があるため、厳格に会計処理しなければなりません。そのため、公益法人の会計は「公益法人会計基準」に従うことが定められています。
また、公益法人会計基準で作成された帳簿などについても、当然ながら電子帳簿保存法に対応することが求められます。ですが、一般の会計用ソフトウェアでは公益法人会計基準に対応していないため、公益法人での利用はおすすめできません。

公益法人が電子帳簿保存に対応すべく会計ソフトを用いる場合は「公益法人会計基準」に適応したものを選ぶ必要があります。以下では公益法人で使える、電子帳簿保存法に対応した会計ソフトを3点紹介します。

応研株式会社「公益大臣NX」

「公益大臣NX」は名前の通り、公益法人会計に特化させた会計ソフトです。ですが、その機能は多様です。公益法人会計以外の事務業務にも広く使えます。日常の経理業務だけでなく、予算の管理や作成・月次処理・決算処理なども、このソフトウエア1つで事足ります。ジョブ管理やログ管理などの機能も備えているので、チームの業務処理状況を確認することも可能です。

ピー・シー・エー株式会社「PCA公益法人会計DX」

「PCAクラウド公益法人会計」は、財団・社団法人の会計業務に必要な機能を幅広く備えた会計ソフトです。事前に仕訳が設定されているので、簿記の知識を持たない方であっても、項目を選択していくだけで帳簿に記帳ができます。科目は最大5階層まで登録可能。伺書のレイアウト編集や事業区分ごとの予算作成もできるので、柔軟な運用ができるでしょう。また、PCAFinTechサービスを用いれば、銀行口座取引やクレジットカードの取引データを自動仕分けすることもできます。

バランスマン会計システム

バランスマン会計システムは、簿記の知識がなくても、入力するだけの簡単設計なので、これから電子帳簿を導入しようと検討している事業者にもぴったりの会計ソフトです。

バランスマン会計システムの特徴は3点。1つ目はアップデート型であることです。公益法人会計では、常に最新の基準にのっとって帳簿などを作成しなければなりません。バランスマン会計システムは、情報のアップデートによって、常に最新の公益法人会計基準が導入されます。2つ目はクラウド型であること。バランスマン会計システムは、PCとインターネット環境があれば、どこにいても会計作業が可能です。また、バランスマン会計システムではジオトラスト社のSSL証明書を取得しているので、情報管理の安全性も非常に高いといえます。

3つ目は充実のサポート体制。電話やメールで連絡すれば、サポートデスクが遠隔操作で作業方法を説明してくれます。会計ソフトの運用に慣れていない方でも安心です。

改正により2024年以降は電子帳簿保存!宥恕期間中に体制を整えよう

2022年の電子帳簿保存法改正によって、2024年以降は原則として電子帳簿で保存しなければならないことが決まりました。そのため、紙で帳簿を保存している事業者は、一刻も早く電子帳簿を導入しなければなりません。なお、電子帳簿導入への対応では、適切な会計ソフトの利用がおすすめです。ただし、公益法人の場合には、公益法人会計基準に沿ったソフトウエアを選ぶ必要があります。