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【2025】電子帳簿保存法のタイムスタンプの要件とは?注意点やおすすめソフトも紹介!


2025.01.18

電子帳簿保存法とは1998年に制定された、事業における請求書や契約書、領収書などの書類の電子データの保存を認めた法律です。

データ改ざんなどの不正を防ぐために導入されたのが、特殊な技術を利用して電子データの正当性を証明するタイムスタンプです。
本記事では電子帳簿保存のタイムスタンプを詳しく解説し、要件や注意点、電子帳簿保存法に対応するおすすめソフトも紹介します。

電子帳簿保存法のタイムスタンプとは

企業がデータ化した契約書や領収書、請求書などの日付や時刻を証明するためのデータを付与することを、電子帳簿保存法のタイムスタンプといいます。

電子帳簿保存法では、企業が改ざんや複製などが行われた不正なデータ保存を禁止しています。タイムスタンプは企業が管理するのではなく、公正な運営を行うためにも専門の第三者機関が管理します。

タイムスタンプは「ハッシュ値」と呼ばれる暗号のような英数字で表記され、個々の異なる表記により、適正なデータ管理を可能です。

電子帳簿保存法の改正でタイムスタンプの要件が緩和

2022年1月の電子帳簿保存法の改正により、電子データの保存に必須とされていた「タイムスタンプ付与」の要件が大きく緩和されました。
大きなポイントは、次の3つです。

  • タイムスタンプの付与期限は「2カ月と概ね7営業日以内」
  • スキャナ保存を行う際の自署が不要となる
  • 電子データの訂正・削除が可能な場合、タイムスタンプは必要ない

従来は、請求書や領収書などの電子取引データに対し、保存時点で速やかにタイムスタンプを付与することが義務付けられていましたが、改正後は必ずしもタイムスタンプを付与する必要はなくなりました。

取引データの「改ざん防止措置」や「訂正・削除履歴が確認できるシステム」での管理が認められるようになり、企業にとって柔軟な運用が可能となっています。

この緩和により、クラウド会計ソフトやファイル管理システムを活用すれば、適切にデータ保存が実現できるでしょう。

電子帳簿保存法のタイムスタンプを付与する際のポイント

電子帳簿保存法のタイムスタンプを付与する際のポイントを紹介します。

  • タイムスタンプ付与は不要な場合がある
  • 保存方法のルール化をする

タイムスタンプ付与は不要な場合がある

場合によっては、タイムスタンプが不要になるケースがあります。

例えば、次のような場合です。

  • 国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存は、タイムスタンプは不要
  • 電子帳簿保存法に対応したシステムやサービスを使用する際は、タイムスタンプは不要

必要に応じて、タイムスタンプを付与するようにしましょう。

保存方法のルールを決める

社内で「いつまでにタイムスタンプを付与するか」「誰が責任者か」といった運用ルールを定め、証跡が残る形で実施することが重要です。

ルールを決めておくことで、書類の検索や監査対応もスムーズに対応できるでしょう。

電子帳簿保存法のタイムスタンプ要件

電子帳簿保存法のタイムスタンプ要件

電子帳簿保存法を遵守して適正なデータ管理を行うためにも、タイムスタンプの要件を確認し、規定に準じた導入を進めなければいけません。
電子帳簿保存法におけるタイムスタンプの要件には、以下の3点が挙げられます。

  • データ改ざんや複製などがないことを証明できる
  • 専門事業者が管理を行う
  • 指定期間のデータを一括で検証できる

タイムスタンプのそれぞれの要件を詳しく解説します。

データ改ざんや複製などがないことを証明できる

タイムスタンプでは、一度作成したデータ化の改ざんや複製を見抜くため、専門機関によるデータ暗号化(ハッシュ値)を実施します。
したがってタイムスタンプを導入してハッシュ値の一致を確認すれば、電子帳簿保存法で規制されている、改ざんや複製がないことを証明できます。
このように電子帳簿保存法に抵触しないことを立証できるのも、タイムスタンプの要件の1つです。

専門事業者が管理を行う

タイムスタンプで検出したハッシュ値は企業で管理は行わず、基本的に専門の時刻認定業者によって管理されるのが一般的です。
そして企業が所有する領収書や契約書、請求書など税務に関する重要なデータに関しては、タイムスタンプが専門時刻事業者であることも要件の1つとして挙げられます。
専門事業者として認定されるためには、総務省の厳格な基準をクリアしなければいけません。
したがってそのような信頼性の高いタイムスタンプを導入すれば、データも適切に管理されるうえに、情報流出も回避できるでしょう。

指定期間のデータを一括で検証できる

税務調査が行われた場合に、特定の期間を指定しない、税務に関する膨大な量のデータがあればデータ検証に大変な手間と労力がかかります。
一方タイムスタンプではデータの作成日時の明記に加え、指定期間のデータを一括に抽出して検証し、膨大なデータの正当性を示すことも可能です。
このようなスムーズなデータ抽出や正当性を証明できる点も、電子帳簿法のタイムスタンプの要件として挙げられます。

電子帳簿保存法のタイムスタンプの付与方法

請求書や領収書などの書類を電子データとして保存する際に「タイムスタンプ」を付与することが求められるケースがあります。
ここからは、電子帳簿保存法のタイムスタンプの付与方法を紹介します。

書類を読み取る

紙で受け取った請求書や領収書などをスキャナやスマートフォンのカメラで読み取ります。このとき、文字がはっきり読み取れる解像度で保存することが大切です。電子帳簿保存法では、スキャナ保存において「解像度要件」や「階調要件」が定められているため、条件を満たす機器やアプリを利用しましょう。

読み取ったデータをアップロードする

読み取ったデータを会計ソフトやクラウドストレージ、文書管理システムにアップロードします。アップロード時には、書類の種類や取引先名、日付などをデータとして登録しておくと、後の検索要件にも対応しやすくなります。

事業者からタイムスタンプが付与される

アップロードされたデータに対して、システム上で自動的にタイムスタンプが付与されます。これにより「その時点でデータが存在していたこと」「その後改ざんされていないこと」の証明が可能です。訂正・削除履歴が残るクラウド会計ソフトを利用すれば、タイムスタンプの付与が不要になるケースもあります。

電子帳簿保存法のタイムスタンプを管理する際の注意点


電子帳簿保存法を遵守し、適正なタイムスタンプの管理を行うためにもいくつかの点に注意しなければいけません。
電子帳簿保存法のタイムスタンプの管理において、注意点として挙げられるのは以下の6点です。

  • 付与するタイミング
  • データ化した書類の取り扱い
  • 専門業者に依頼する費用
  • サービス内容やサポート体制を確認する
  • 既存システムとの連携が可能か
  • 法改正に適切に対応する

それぞれの注意点を紹介します。ぜひ参考にしてください。

付与するタイミング

請求書や契約書、領収書などが発行され、そのデータにタイムスタンプに付与できる期間は基本的に2カ月と概ね7営業日と規定されているので、この期限内で付与するように注意しましょう。
電子帳簿保存法に沿った適正な管理を行うためにも、タイムスタンプの付与のタイミングには注意が必要です。

データ化した書類の取り扱い

企業の紙の書類をデータ化すれば、その後の原本である書類の取り扱いにも注意が必要です。
2022年の法改正により、データ化した原本は一定の要件を満たせば処分できるようになりました。しかし、領収書や契約書などの重要書類は性質上すぐに破棄することが難しいケースもあります。
一方でそのまま貯めておけば、保管場所も必要なうえに機密情報の盗難などの恐れもあるので、事前に社内で原本の取り扱いに関する方針を定めておきましょう。

専門業者に依頼する費用

タイムスタンプの導入においては、専門の時刻事業者との契約が必要になります。
これらの業者に依頼する際には、導入開始時に支払う初期費用と依頼期間で必要になる費用であるランニングコストが必要です。
導入時に必要な初期費用に関しては、取り扱う案件や企業の規模により数千円から数十万円と幅広く推移しています。
一方のランニングコストはタイムスタンプ1回につき、10円程度の費用が発生する従量制と毎月定額を支払う月額制があり、自社の利用状況を考慮しての選択が重要です。

サービス内容やサポート体制を確認する

タイムスタンプが提供する価格や機能などを事前にリサーチし、自社のニーズに最適な業者を選ぶようにしましょう。
既存のシステムとの連携性や互換性なども考慮したうえで、相性の良いタイムスタンプを選択すれば導入の効果を高めることもできます。
またシステムトラブルなど、不測の事態が生じた際に迅速な対応をしてくれる業者を選択しましょう。

既存システムとの連携が可能か

電子帳簿保存法のタイムスタンプを管理する際には、既存システムとの連携が可能かも確認しなければいけません。
例えば、自社の会計システムとタイムスタンプサービスが連携できれば、多様な会計データ入力の手間を省いた業務効率化が可能です。
また自社の電子データをタイムスタンプと連携させるには、情報連携のためのシステムを構築しなければいけません。
システム構築でのデータ連携は業者により異なるため、自社の状況や環境に最適なタイムスタンプを選択しましょう。

法改正に適切に対応する

電子帳簿保存法は定期的に改正されるため、その動向に伴って最新の法令に沿ってタイムスタンプを対応させなければいけません。
迅速な対応を行うためにも、日常的に電子帳簿保存法に関する情報をリサーチし、自社システムや運営状況が最新の法令に適しているか定期的に確認しましょう。
また法に関する相談は、自社の顧問税理士などの専門家に相談するのもおすすめです。

電子帳簿保存法のタイムスタンプを利用する際に用意するもの

電子帳簿保存法に対応してタイムスタンプを利用するには、事前に必要な準備があります。単に書類を電子化するだけでなく、保存要件を満たす環境を整えておくことで、安心して運用できるようになります。ここからは、タイムスタンプ利用にあたって用意しておきたいものを解説します。

タイムスタンプが付与できるシステムやソフト

タイムスタンプを付与できる会計ソフトや文書管理システムが必要です。国税庁が定める要件を満たし、付与日時の証明や改ざん防止機能が備わっているサービスを選びましょう。クラウド会計ソフトや電子帳簿保存法対応のスキャナ保存システムが代表的です。

スキャナやスマートフォンなどの読み取り機器

紙の請求書や領収書を電子化するためには、解像度要件・階調要件を満たしたスキャナや、対応アプリを備えたスマートフォンが必要です。電子帳簿保存法では、読み取った画像が明瞭であることが求められるため、機器の性能を確認しておきましょう。

利用者IDや電子証明書

タイムスタンプを発行するには、認定事業者との契約や利用登録が必要になる場合があります。その際、事業者ごとに発行される利用者IDや、電子証明書を取得しておくことで、正しくタイムスタンプを付与できます。

社内ルール・事務処理規程

タイムスタンプを利用する体制を整えるうえで大切なのが「社内ルール」です。誰がスキャンを行うのか、どのタイミングでタイムスタンプを付与するのかを明確にしておきましょう。

保存先となるストレージ環境

タイムスタンプを付与した電子データは、検索要件を満たす形で保存する必要があります。クラウドストレージや社内サーバーを用意し、フォルダ構成や検索条件が満たせるような運用を設計しておきましょう。

電子帳簿保存法に対応するおすすめのソフト

電子帳簿保存法に対応するおすすめのソフト

電子帳簿保存法を遵守し、適切な事業運営を行うためにもタイムスタンプの導入は欠かせません。
そして効率的な運用のためにも、タイムスタンプにも対応できる高性能な会計ソフトの導入が必要になります。会計ソフトを導入することで、スムーズに法改正にも対応できるでしょう。
そこでおすすめの会計ソフトが、株式会社公益情報システムが開発、提供している「WEBバランスマン」です。公益法人限定のソフトとなっています。

このソフトはタイムスタンプとの連携はもちろん、16年と20年の両方の会計基準の決算出力ができます。
操作方法もシンプルで、執行情報で入力した項目は2度打ちしなくてもスムーズな入力が可能です。
標準装備として伺い書入力機能が搭載されており、伺い書から支出入力までのデータを引き継げるのもメリットといえます。

損益ベースで予算入力しても、資金ベースでの出力ができる高精度な予算管理や、貸借対照表や正味財産増減計算書、内訳表など決算時に必要な帳票も簡単にできる便利な機能を搭載しているのも強みです。
専門的な知識がなくても簡単に始められるワークフローシステムに加え、データ共有や修正も簡単で、スムーズな運用を実現できます。
会計、業務、事業など3部門の設定も可能にするなど、機能充実でセキュリティ対策万全の「WEBバランスマン」をぜひご利用ください。

電子帳簿保存法のタイムスタンプの仕組み

電子帳簿保存法における「タイムスタンプ」は、電子データの信頼性を確保するために重要な役割を果たします。紙の書類と異なり、電子データは容易に編集や改ざんが可能です。そのため、データの真正性や保存時点を証明する仕組みとしてタイムスタンプが導入されています。

データの生成

領収書や請求書をスキャナやPDFで読み取り、電子データを作成します。

ハッシュ値の作成

データの内容をもとに、特定のアルゴリズムで「ハッシュ値」と呼ばれる数値を生成します。このハッシュ値はデータが1文字でも変わると大きく変化するため、改ざんの検知に利用できます。

タイムスタンプの付与

認定されたタイムスタンプ事業者(TSA:Time Stamping Authority)が、ハッシュ値と正確な時刻を電子署名してデータに付与します。これにより「この時点で確かに存在していた」という証明が可能になります。

検証

保存した電子データを後日参照した際に、付与されたタイムスタンプを検証することで、保存時から内容が変わっていないかを確認できます。

電子帳簿保存法のタイムスタンプ要件についてまとめ

電子帳簿保存法に対応して法律を遵守した健全な運営を行うためにも、タイムスタンプの導入が欠かせません。
そしてタイムスタンプとの連携により、運営効率を高めるためにもタイムスタンプ対応式のシステム導入も重要です。

一方で近年はタイムスタンプ対応のソフトが多数開発されています。自社のニーズを的確に見極め、最適なソフトを導入してみてください。
今後タイムスタンプと会計システムの連携により、自社運営効率を高めようとお考えの方は、株式会社公益情報システムが開発、提供している高性能会計システム「WEBバランスマン」がおすすめです。
導入することで効率的にデータ化でき、電子帳簿保存法にもスムーズに対応できるでしょう。