新型コロナウイルス感染症の影響下で、多くの事業者が「持続化給付金」を活用しました。一般企業だけでなく、公益社団法人や公益財団法人といった公益法人も、要件を満たせば給付の対象となりました。
しかし、公益法人の会計は独自の基準に基づいているため、給付金を受け取った際の処理に迷うケースも少なくありません。本記事では、公益法人における持続化給付金の基本的な考え方や実務上のポイント、効率化のコツについて解説します。
公益法人の持続化給付金とは?

持続化給付金とは、感染症の拡大に伴い、営業自粛や外出自粛などの影響を強く受けた事業者に対し、事業の継続を支え、再起の糧としてもらうことを目的として支給された給付金です。公益法人等も前年同月比で事業収入(売上)50%以上減少した月があること等を満たす場合、給付対象となりました。
この給付金は、使途が限定されている補助金とは異なり、事業全般の維持・継続のために自由に活用できる性質がありました。そのため、公益法人等にとって、事業継続のための資金繰りを下支えする資金と言えるものです。
受給にあたっては、事業収入(売上)の減少幅を正確に算出する必要があり、その根拠となる売上台帳等の整備が重要です。申請では、直前事業年度の確定申告書類(別表一等)や法人事業概況説明書、対象月の売上台帳等、通帳写し等の提出が求めらました。
公益法人における持続化給付金の会計処理の基本的な考え方
公益法人会計では、持続化給付金は一般に正味財産増減計算書の経常収益として「受取補助金等(受取国庫助成金等)」または「雑収益」等で処理します。これは、反対給付を伴わない資金の受入れであり、使途制約もないため、(指定正味財産ではなく)一般正味財産の経常収益として処理する考え方によります。
具体的な表示箇所は、正味財産増減計算書の「一般正味財産増減の部」となります。科目名は、法人の勘定科目体系に合わせて「受取補助金等(受取国庫助成金等)」や「雑収益」等で計上するのが一般的です。重要なのは、この給付金が「指定正味財産」ではなく「一般正味財産」を増加させる項目であるという点です。
国からの給付であっても、交付条件として使途制約(特定目的への指定)がない限り、一般正味財産として扱うのが適切です。また、計上時期は、原則として給付金を受け取る権利(支給決定)が確定した事業年度に計上し、実務上は通知日や入金日をもって判断します(期末をまたぐ場合は未収計上を検討します)。
決算期をまたぐ場合は、未収金として適切に資産計上を行う手続きが必要です。法人の収支予算書との整合性を保つためにも、理事会での報告や議事録への記載についても考慮しておくことが望ましいでしょう。
公益法人の持続化給付金の会計処理のポイント
公益法人の実務において、持続化給付金の処理で特に留意すべきポイントは以下の3点です。
区分経理の徹底と公益目的事業比率
公益法人は「公益目的事業」「収益事業等」「法人会計」といった区分ごとに経理を行う必要があります。区分経理上は、給付額算定の基礎となった事業収入が属する区分(例:収益事業等会計)に計上する、または法人会計に計上したうえで合理的基準で配賦するなど、法人の実態に即して整理します。
注意点は、公益目的事業比率そのものよりも、区分経理の誤りが別表作成や収支相償などの説明整合性に影響し得る点です。区分経理の誤りは、別表や注記での説明の整合性を崩すため、監査・行政対応の観点から慎重な整理が必要です。どの区分にどれだけの金額を割り当てるかは、給付の算定根拠となった事業に基づいて論理的に決定しなければなりません。
法人税と消費税の取り扱い
持続化給付金は税務上、原則として益金(収入)に算入されますが、損金(費用)などとの関係で課税所得が生じない場合もあります。所得が発生する場合は、納税額の試算も早めに行っておくべきでしょう。消費税については、対価を得て行われる取引ではないため「不課税」として扱われます。
消費税の申告時に誤って課税売上として含めてしまうと、過大納税につながるため、適切な税区分を設定することが不可欠です。
根拠書類の保管と監査対応
給付金の受給にあたっては、申請時に提出した証憑書類や、給付決定通知書を適切に保存しておく必要があります。監査法人による会計監査や行政庁による立ち入り検査において、なぜその金額がその区分に計上されたのか、税務判断の根拠は何かを即座に説明できる状態を整えておくことが、法人の透明性を保つポイントとなります。
公益法人は会計ソフトを活用すると効率化につながる

公益法人の会計実務は、区分経理や共通費の按分、さらには行政報告書との連動など、一般企業に比べて複雑な工程が多く存在します。持続化給付金のような特殊な入金が発生した際、手作業や一般的な表計算ソフトのみで管理を行うと、集計ミスや区分誤りが発生するリスクが高まります。
こうした課題に対しては、公益法人会計に対応した会計ソフトの導入が有効な場合があります。公益法人会計基準に対応したソフトでは、帳票出力や集計の自動化により、事務負担の軽減やミス低減が期待できます。
おすすめはWEBバランスマン会計
公益法人向けの会計システムの一例として「WEBバランスマン会計」があります。
主な特徴は次のとおりです。
- 基準への準拠(用途により報告書用の再集計・作成なども可能)
- 直感的な操作性(簿記の知識がなくても伝票作成が可能)
- 自動按分機能(あらかじめ設定した比率に基づいて自動で行える)
- サポート体制(電話・メール・リモートなどのサポート窓口)
他にも、法人の規模やニーズに応じてさまざまなソフトウェアが存在しますが、まずは自法人の区分経理の複雑さに対応できるかどうか、そして将来的な法改正に柔軟に対応できるかを基準に選定するのが良いでしょう。
公益法人の持続化給付金の会計処理についてまとめ
公益法人が持続化給付金を受給した場合は、原則として正味財産増減計算書の経常収益に「受取補助金等」や「雑収益」等で計上し、区分経理との整合を確保することが重要です。税務上は益金算入となる一方、消費税は対価性がないため課税対象外となりやすく、区分・税区分の誤りに注意が必要です。
あわせて、申請資料や決定通知など根拠書類を整理・保管し、監査や行政照会に説明できる体制を整えましょう。受給による財政状態の変化は、注記等で適切に開示し透明性を高めます。業務負担が大きい場合は、公益法人会計に対応したソフト導入で標準化・内部統制の強化に努めましょう。
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