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公益法人の基金の会計処理とは?注意点もわかりやすく解説


2026.06.18

基金を受け入れた公益法人では、「どの科目で表示するのか」「返還時はどう仕訳するのか」と迷いやすい部分もあるかもしれません。返還可能額や手続の制限もあり、知らないままだと決算や監査対応で手戻りが起こることがあります。

本記事では基金の定義や、受入・返還の仕訳、代替基金の計上などについて解説します。公益法人の基金に関する会計処理を知りたい場合は、ぜひ参考にしてください。

公益法人における「基金」とは

公益法人における「基金」とは

基金は、一般社団法人が資金(または財産)を受け入れるための制度です。公益法人のうち公益社団法人は一般社団法人が公益認定を受けた法人なので、基金を設けることがあります。一方、公益財団法人(一般財団法人が公益認定を受けた法人)には基金制度の規定がありません。

基金制度の基本的な仕組み

一般法人法では、基金を募集するには定款で「募集できる旨」を定め、あわせて基金拠出者の権利と基金の返還手続を置く必要があります。基金は金銭だけでなく「金銭その他の財産」が対象で、金銭以外の財産は拠出時の価額に相当する金銭を返還する義務として整理されます。

返還は、ある事業年度の貸借対照表上の純資産額が「基金(代替基金を含む)の総額」等の合計を超える場合に限り、その超過額を上限として、次の事業年度の定時社員総会前日までの間に行えます。

基金を設置できる法人の形態

基金を設置できるのは一般社団法人です。公益法人会計基準(令和6年公益法人会計基準)でも、基金を純資産の構成要素として位置付け、基金返還時は返還相当額を代替基金として計上します。

公益法人の基金の会計処理

基金の会計処理は、受け入れ時・返還時・決算表示の3点を押さえると整理しやすいでしょう。ここからは、この3点について順に解説します。

基金を受け入れたときの仕訳

基金として現預金を受け取った場合は、資産の増加と同時に、純資産の部に「基金」を計上します。

借方科目|金額|貸方科目|金額
現金預金|1,000,000|基金|1,000,000

基金を受け入れた際は、上表を参考に処理してみてください。

基金の返還と「基金代替積立金」への振替

一般法人法では、基金を返還する場合、返還する基金に相当する金額を「代替基金」として計上し、代替基金は取り崩せないとされています。実務では、補助科目として「基金代替積立金」等の科目名で管理されることがあります。

会計処理の考え方は次の2つです。

現金の返還代替基金の計上(純資産内の組替え)
(借)基金
(貸)現金預金
(借)一般純資産のうち非拘束部分(例:その他一般純資産)
(貸)代替基金

返還による資金流出で純資産総額は減少しますが、代替基金の計上により、残る純資産の一部が「取り崩し不可」の区分として明確になります。

決算書における表示方法

貸借対照表では、基金と代替基金を純資産の区分として表示します。運用指針に沿って、基金・代替基金を有する場合は、注記でそれぞれの増減額および期末残高を開示してください。

公益法人が基金を会計処理する際の注意点

ここからは、公益法人が基金を会計処理する際の注意点を紹介します。

返還可能額の計算制限

返還は、貸借対照表上の純資産額が要件を満たす場合に限られます。清算中の一般社団法人では、基金返還に係る債務の弁済は、他の清算債務の弁済後でなければできません。また、破産の場合も、基金返還債権は劣後する扱いが定められています。

社員総会による承認手続き

基金返還は定時社員総会の決議が前提です。返還を予定する場合は決算確定と議案作成の流れのなかで、返還可能額の確認と社内手続を早めに進めておくと混乱を避けやすくなります。

利息の支払禁止

基金の返還に係る債権には利息を付すことができません。利息付与を前提に資金を受け入れる場合は、借入金としての資金調達と区別して検討する必要があります。

公益法人の効率的な会計処理には「WEBバランスマン会計」がおすすめ

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公益法人の基金の会計処理に関するよくある質問

ここでは、公益法人の基金の会計処理に関するよくある質問に回答していきます。

Q1. 基金を返還せずに永久に保持し続けることは可能ですか?

返還は定時社員総会決議と返還可能額の範囲内で行う仕組みです。毎期の返還が制度上予定されているわけではないため、実際の返還の有無や時期は定款・拠出者との合意や財務状況を踏まえて判断されます。

Q2. 基金の拠出者が亡くなった場合や法人が解散した場合はどうなりますか?

拠出者が死亡した場合、基金返還請求権が財産に属する権利である限り、相続の一般原則に従って相続人が承継します。法人が解散して清算に入る場合、基金返還は他の清算債務の弁済後となり、破産の場合も返還債権は劣後します。

Q3. 基金を募集する際に、手数料を支払う必要はありますか?

基金の募集自体について、法律上の「一定手数料の支払義務」を定める規定は確認されていません。専門家費用や広報費などが発生することはあり、内容に応じて費用として処理し、基金(純資産)とは区別して管理します。

公益法人の基金の会計処理についてまとめ

基金は一般社団法人(公益社団法人を含む)に認められた制度で、会計上は純資産として表示されます。返還には定時社員総会決議、返還可能額の上限、利息禁止などの制限があり、返還時は代替基金を計上して区分表示します。

受入から返還、決算表示・注記までを一連で整理し、必要に応じてシステム活用も含めて運用体制を整えることが重要です。不明点を先送りにせず、早めに基金のルールと会計処理を整えておくことで、決算期の負担とリスクを着実に減らせます。