公益法人とNPO法人は、公益や非営利を目的とした法人として知られています。しかし、法律上の位置づけや税制、設立方法、所管の仕組みなどには差があります。本記事では、公益法人とNPO法人について、制度や税制を中心に両者の違いを解説します。
公益法人とNPO法人の違いを比較
公益法人とNPO法人には、さまざまな面で違いがあります。公益法人とは、「公益社団法人」と「公益財団法人」をまとめてあらわす名称です。主に公益目的の事業をする認定を受けた法人となります。
一方で、NPO法人は「特定非営利活動法人」の略称です。公益性の認定は必須ではなく、地域性や福祉など幅広く社会のために活動する団体を指します。ただし、認定NPO法人のように認定を受けているケースもあります。
設立要件・手続きの違い
公益法人とNPO法人では、設立要件やその手続きに違いがあります。公益法人は、一般社団法人または一般財団法人として設立し、その後に公益認定を受ける仕組みです。
「公益認定」とは、事業内容が公益目的かを行政が審査する制度となります。そのため、公益法人への移行を目指す一般法人には、設立時に次の流れで手続きを行う決まりです。
- 目的を書いた定款を社員2人以上で作成
- 公証人に定款の認証を受ける
- 役員を選ぶ
- 登記する
設立の目的や定款が、公益法人のルールに即しているかが判断されます。公益目的
や欠格事由がないなどの設立要件に満たなければ公益法人に認定されません。
一方、NPO法人の設立は、以下通りです。
- 所轄庁に設立認証の申請を行う
- 原則2か月以内に認証・不認証の決定を実施
- 事務所所在地で設立登記で成立
- 登記事項証明書・財産目録を所轄庁へ届け出
設立認証は、特定非営利活動の性質を判断します。そのため、「特定非営利活動促進法」に基づいて設立要件を確認されます。
しかし、公益法人ほどのルールや計画性などが事前に要求されず、特定非営利活動を主目的としていれば設立が可能なことが公益法人との大きな違いです。
所管官庁・監督体制の違い
次に、公益法人とNPO法人では、所管官庁や監督体制に違いがあります。公益法人は、内閣総理大臣や都道府県、監督実務では内閣府・公益認定等委員会が所管する決まりです。
その上で、最初の審査時は民間の第三者委員会審査を経ます。つまり、行政庁と民間有識者の委員会が役割を分担するのです。
一方、NPO法人は、事務所を置いた場所の都道府県知事か、政令指定都市が所轄となります。実務の監督体制も所管と同じです。認証した所管庁が取り消しなどを含めた一連の所管・監督を一貫して担います。
税制優遇・寄付金控除の違い
公益法人とNPO法人では、法人税の取扱いや寄付金控除制度に違いがあります。
公益法人は、事業から収入を得た場合であっても、その事業が公益目的事業であり、かつ法人税法上の「収益事業」に該当しない場合には、法人税は課税されません。一方で、法人税法で定める収益事業に該当する事業から生じた所得については、原則として法人税が課税されます。
ただし、公益法人には、収益事業で得た所得を公益目的事業に充てた場合、その金額を「みなし寄附金」として損金算入できる制度が設けられています。これにより、一定の範囲で法人税の負担を軽減できる仕組みとなっています。
一方、NPO法人についても、法人税法上の収益事業に該当しない活動から生じた所得は非課税となりますが、みなし寄附金制度は原則として適用されません。
また、寄付者側の税制優遇については、認定NPO法人であれば寄付金控除の対象となるものの、その控除額には一定の限度が設けられています。一般のNPO法人では、寄付金控除の対象とならないケースが多く、税制上の優遇は限定的です。
社会的信用度の違い
公益法人とNPO法人には、社会的信用の違いがあります。社会的信用は、法律や制度設計のもとで確立される、組織や立場に対する信用度を意味します。公益法人とNPO法人では、一般的に公益法人のほうが信用度が高いでしょう。
公益法人は、主体となる事業が公益目的で「公益認定」を受けているため、一般企業や行政、金融機関にとって、公益性の確保ができる法人と判断しやすくなります。NPO法人は公益法人ほど厳格な財務・事業計画審査がないため、運営実態も千差万別で、公益性がどこまで確保できるかは一律に判断できません。社会的信用を強めた制度で運用されているのが公益法人となります。
公益法人とNPO法人それぞれのメリット・デメリット

公益法人とNPO法人では、それぞれにメリット・デメリットがあります。以下にメリット・デメリットやそれを踏まえた注意点を取り上げます。
公益法人のメリットと注意点
公益法人のメリットは、会計処理の際に税制面で優遇や寄付を受けやすいことです。寄付の募集や企業との連携など、運営に関して社会的信用や公益目的を背景に、事業を進めやすくなります。
注意点としては、公益目的が主体となる必要があり、利益目的や資金・財産の利用などは大きく制限を受けることです。勝手に財産の処分や利益の分配ができなくなります。
NPO法人のメリットと注意点
NPO法人のメリットは、設立のしやすさです。公益法人ほどの設立要件のハードルが高くないため、10人以上いればその会社をNPO法人として設立できる柔軟性があります。市民向けの組織となるため、公益法人ほどではないにしても、啓発事業や寄付集めなどをしやすくなるのです。
注意点として公益法人ほどの税制優遇がなく、利益を配るなどの制限は公益法人同様にあることです。認定を受けない一般のNPO法人は優遇が少なく、設立時は特に注意が必要です。
公益法人とNPO法人どちらを選ぶべき?目的別の判断ポイント
これから公益向けに法人を設立する場合、公益法人とNPO法人で迷う場合があります。そこで、目的やケースごとにどちらを選ぶべきかについて紹介します。
公益性・社会的信用を重視する場合
まずは、公益性・社会的信用を重視する場合は、公益法人を選ぶとよいでしょう。NPO法人より制限が多く、計画性が求められる分、公益目的事業をしていることが社会に知られており、その恩恵を受けやすいのです。
設立のしやすさや柔軟な活動を重視する場合
設立のしやすさを重視したい場合は、NPO法人がおすすめです。設立時の必要とする人数は多いですが、公益目的の計画認定などがなく、設立認証などだけで申請を進めることができます。認定が必要ないため、設立までの準備期間が比較的短く、2ヶ月以内に設立することも可能です。
助成金・寄付を活用したい場合
助成金・寄付を活用したい場合は、公益法人で設立することをおすすめします。公益法人は税制優遇や寄付控除があり、助成金や寄付を受けやすくなります。助成金・寄付をより活用しやすい制度上で運用できます。NPO法人では助成金や寄付を受けるときに、公益法人と比べて信用度や該当基準(助成金を申し込む場合)に差があるためです。
公益法人にはWEBバランスマンがおすすめ

公益法人の会計は、WEBバランスマンがおすすめです。公益法人限定の会計ソフトのため、公益法人特有の会計処理に配慮した設計となっており、仕訳入力から財務諸表の作成までをスムーズに行えます。会計実務の負担を軽減しつつ、制度に沿った経理体制を整えたい公益法人におすすめの会計システムです。
まとめ
公益法人とNPO法人には、制度設計や設立時の認証、税制・寄付控除で多くの違いがあります。公益法人は受ける制限やルール遵守がより強く税制優遇に優れた法人です。今後、公益法人とNPO法人を選択する際は、それぞれ設立者の目的に合わせた選び方が必要です。
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