公益財団法人は公益という言葉から「利益を出してはいけない法人」だと誤解されがちです。しかし、実際には利益を出すことが許されており、そのルールが特別に定められています。そこで本記事は、公益財団法人は利益を出しても問題ないことについて解説します。
公益財団法人は利益を出しても問題ないのか
結論から述べれば、公益財団法人は利益を出しても問題ありません。しかし、一般の民間企業とは違い、利益を出すことにいくつかの制限があります。
公益財団法人は利益を出すこと自体は禁止されていない
公益財団法人は、利益を出すことは法律で禁止されていません。この場合の利益とは、何かの物やサービスを提供して顧客から受け取った額に原価や運営費用を差し引いた残りが「利益」となります。その際、公益事業を安定して続けるために利益を得ることが認められています。
無制限に利益を追求できるわけではない
公益財団法人は利益を出すことが許されている一方で、利益追求のみを目的とした活動をメインに行うことは許されていません。そのため、利益のみを目的に行う資金集めや事業は制限がかかります。
また、公益を目的とする事業が1つでもあれば無制限に利益を取れるわけではありません。公益目的事業費が全体に占める割合が、50%以上となるよう公益目的事業比率を満たすことが求められます。
公益財団法人で利益が出た場合の適切な使い道とルール

公益財団法人で利益が出た場合の取り決めとして、その使い道やルールが定められています。以下に、原則など3つのポイントを取り上げます。
公益目的事業に活用することが大切
公益法人認定法第18条では、寄附金・補助金・事業収入等を含む「公益目的事業財産」を、公益目的事業のために使用または処分すべきことが定められています。したがって、黒字が出た場合も、その資金が公益に活用される説明が重要になります。
参考:e-GOV「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」
禁止されている利益の使い方
公益目的事業への再投資が原則の一方で、禁止されている利益の使い方があります。以下は代表的な3つの禁止項目です。
- 利益を出資者や役員に分配する
- 利益を役員などの報酬に上乗せする
- 個人や企業が利益を受け取れる事業、物品・金銭を支出する
例えば、株式を発行して利益を出資者や役員に配当することはできません。また、利益から報酬の上乗せや家族・関係者に供与することも不可です。それから、特定の企業に利益を横流しすることは禁止されています。特別な利益を誰かが受け取れることは、公益性から逸脱するため、特別な利益をもたらす使い方は禁止です。
これらの禁止されている利益の使い方をした場合、行政処分が行われ、最終的には公益性の認定を取り消されることがあるため注意が必要です。
内部留保の目安金額
公益財団法人は利益を出せるため、内部留保が可能です。そこで、知っておきたいことに内部留保の目安金額があります。
内部留保とは、使い道の決まっていない資金のことで、これをプールすることによって企業は経営が安定するという役割があります。そのため、公益財団法人の場合でも内部留保は禁止されておらず、30%程度以下が目安といわれています。目安を「30%以下」と確定せず、「程度」を入れている理由は、「そのくらいが望ましい」という意味が含まれているためです。行政指導や罰則はないですが、公益財団法人としては大まかな目安となります。
公益財団法人で利益を出し続けると問題になるのか
公益財団法人は、単年度だけでなく複数年にわたって利益を出す場合があります。その場合、利益が問題になる場合と、ならない場合があります。
まず問題になる場合は、公益事業の利益として説明できない利益を出し続けることです。通常は、公益事業のために収支を改善したり、充当する先が公益目的として明確な事業の場合に、計画的に利益を出すことが許されています。しかし、公益のための利益として説明できない場合や膨らみ続ける利益を蓄えてばかりで事業性を改善しない場合は問題です。
特に内部留保が30%を超えた状態で利益を蓄積し続ける場合は行政にも目をつけられる問題です。利益が膨らめば、目安の30%を大きく超えてしまうためです。それが公益事業にも使われず、中長期的にも利益を利用しての均衡がとれていなければ、利益目的とみなされます。
内部留保自体には直接的な罰則がなくても、利益を出している事業やその運営体制が公益法人としての資格があるかを見直されることがあるため、気をつける必要があります。特に目的が不明の内部留保は、公益性を欠くため、できる限りしないことです。
黒字が続いても直ちに違反にはならない
法人として黒字を続けること自体は直ちに違反になることではありません。まず、単年度な黒字は、中長期に見直された法令で認められています。「収支相償原則」という制度がありましたが、2025年4月から「中期的収支均衡」という5年単位の中長期的な運用が重視されるようになってきています。
法人経営を続けるのに必要な体力を残すための余剰としてならば、黒字は制限されることがありません。公益事業に充当することや黒字を出すことの明確な使い道の説明ができるなら、それ自体は違反となりにくいといえます。例えば、「来年の公的事業立ち上げのために、黒字の利益を充当する予定にある」などです。
問題視されやすい利益の状態
事業運営で利益を出す場合に、問題視されやすい利益の状態があります。それは、黒字が増え続けている状態で内部留保が減らないケースです。
中長期的な利益償還の計画がなく、利益を増やし続けて、それが見直しされない場合なども問題視されやすい状態です。利益があることよりも、その利益の使われ方や計画性に疑いが出るような状態が主に問題となります。
公益財団法人の利益と税務上の扱い

公益財団法人では利益の税務上の取り扱いが一般の企業と異なります。具体的には、利益に対して課税される場合と課税されない場合の違いです。ここでは税に対する考え方について取り上げます。
法人税が課税される場合と非課税の場合
公益財団法人で公益事業をする場合に法人税は非課税となります。得た利益に対して税金が発生しないため、税務上の優遇を受けられます。
しかし、通常の事業利益に対しては課税されます。この2つの違いは、公益事業の認定の有無があります。公益事業として認められて初めて非課税にはなります。認定がなければ非課税にはなりません。公益の認定には、特に学術や文化、福祉分野の事業に多い傾向があります。
収益事業に対する税金の考え方
公益事業に比べて収益事業は、税金が一般の企業と同じ考え方です。公益財団法人は基本的に公益事業をメインに行なっており、収益事業はその事業の補助的に行われます。そのため、大部分は非課税となり、一部の収益事業のみが課税扱いです。つまり、公益財団法人では、収益事業に対してだけは一般の課税の考え方と同じで、公益事業の部分だけ考え方が異なります。
公益財団法人にはWEBバランスマンがおすすめ
公益財団法人の会計は、公益法人限定の会計システムであるWEBバランスマンがおすすめです。公益法人会計基準への対応や区分経理、収支相償の管理など、専門的な処理が求められます。WEBバランスマンは、日々の仕訳入力だけで、公益法人に必要な財務諸表を作成しやすい点が特徴です。収支相償の状況も把握しやすく、公益性を意識した会計管理につながります。
また、クラウド型のため、会計担当者や外部専門家との情報共有もしやすく、業務効率の向上にも役立ちます。公益財団法人の会計を正確かつスムーズに行いたい方は、WEBバランスマンを導入してみてください。
まとめ
公益財団法人は、利益を出してもルール上は問題ない仕組みで運営されています。黒字が継続している場合でも、公益目的事業との関係が説明できれば問題なく、内部留保も30%程度までが望ましいとされている点も重要です。利益重視の事業や公益目的の逸脱した利益は問題視されることがあります。
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