法人会計は、経営の現状を数値で可視化し、意思決定や資金調達、社外説明を確かなものにします。
全体像をつかむと「何を記録し」「いつ締め」「どこを改善するか」が明確になります。
本記事では、企業会計の基本と公益法人会計の違い、税理士なしで進められるか、効率化のポイントなどを解説します。
法人会計とは?
法人会計は、企業のあらゆる取引を共通のルールで記録、集計し、財政状態と一定期間の成果を正しく伝えるための仕組みです。
投資家や金融機関、取引先だけでなく、経営者自身の意思決定に必要な基礎データにもなります。
さらに、法人会計の目的は、数字の正確性と期間比較のしやすさを確保し、経営とガバナンスの信頼を支えることです。
法人会計の方法
日々の証憑(取引や契約の裏付けとなる記録)を起点に発生主義で仕訳を行い、月次で残高を照合して試算表を作成します。
決算期には棚卸や減価償却などの整理を加え、貸借対照表や損益計算書、キャッシュ・フロー計算書へまとめます。
社内では部門やプロジェクト単位で区分集計し、承認フローで記録の正しさを担保します。
また、税務申告はこの決算情報を土台に行います。
法人会計と公益法人の会計の違い
営利企業の会計は、収益性と財政状態を公正に示して投資や融資などの意思決定を支えることが中心です。
これに対し公益法人の会計は、資源がどれだけ公益目的の達成に充てられたかを説明し、事業の公益性と継続性を示すことを重視します。
両者の違いを会計基準や必要な書類で比較していきます。
法人としての会計基準の違い
営利企業は会社法や金融商品取引法の枠組みのもと、日本基準やIFRS(国際財務報告基準)などで作成するのが一般的です。
期間損益の測定や比較可能性を重視し、収益と費用を発生主義で対応させます。
公益法人は「公益法人会計基準」に基づき、公益目的事業とその他の事業を区分して記録、開示します。
利益額よりも正味財産(純資産)の変動や、公益目的に資源が適切に配分されたかを示す設計です。
法人として会計に必要な書類の違い
営利企業は通常、貸借対照表や損益計算書、キャッシュ・フロー計算書と注記・附属明細で財務情報を示します。
公益法人は、貸借対照表や活動計算書、正味財産増減計算書と注記を中心に、公益目的事業への資源配分や区分経理の状況を分かる形で示します。
さらに、事業報告や情報公開の手続が求められ、利害関係者だけでなく社会に対する説明責任を果たす点が大きな違いです。
法人の会計処理は税理士なしで自分でできる?

少人数の会社で取引がシンプルなら、社内だけで会計を進めることが可能です。
大切なのは、日々の売上と支出をその日のうちに記録し、月末に数字を落ち着いて見直すリズムを作ることです。
実際に進めるときの基本の流れは次のとおりです。
- 請求書や領収書を受け取ったらすぐに記録する
- 銀行口座やカードの明細と記録をこまめに照らし合わせる
- 月末に残高を点検し、抜けや重複がないか確認する
- 決算前は在庫を数え、備品の値下がり分(減価償却)を計算す
- それぞれの数字がなぜそうなったか、ひとことで説明できるようメモを残す
税金の申告はこれらの数字が土台になるため、入力の操作だけでなく、数値の理由を自分の言葉で説明できる状態を目指しましょう。
法人決算を税理士なしで自分でするかどうかの基準
法人決算を自分でするかどうかの判断基準は、まず売上規模が小さく取引内容がシンプルな会社は、自身で決算処理を行うハードルが低く、対応しやすい傾向があります。また、経営者が節税対策に強いこだわりがなく、書類作成を効率的に進めるために会計ソフトを導入している場合も、自分で対応する選択肢が有効と言えるでしょう。
一方、売上規模が大きかったり、取引量・種類が多い、または節税対策を重視したい場合は、会計や税の専門知識が必要となるため税理士への依頼を推奨します。決算作業には正確性が求められるため、十分な知識がない場合にはミスや書類の不備が生じやすく、税務署からの指摘や追徴課税のリスクもあります。そのため、一人で抱え込まず、必要に応じて専門家に相談することも重要です。
法人会計を自分で行うメリット・デメリット
ここでは、法人会計を自分で行うメリットとデメリットをまとめます。
自社内で処理していく際の判断材料などにしてみてください。
法人会計を自分で行うメリット
自分で行うことで、次のような良い点が期待できます。
- 外注費を抑えて固定費の増加を避けられる
- 入出金の動きをすぐ把握できて判断が早くなる
- 会社の実態に合ったやり方に整えやすくムダが減る
- 社内に知識がたまり担当が改善策を出しやすくなる
- 部門や案件ごとの数字が見えて責任と権限が明確になる
とくに創業から間もない時期は効果が大きく、資金の流れや利益の感触がつかみやすくなります。
法人会計を自分で行うデメリット
一方で、次のような注意点もあります。
- 記録の誤りが税金の計算ミスにつながって修正の手間が増える
- 設定や学習に時間がかかり本来の仕事に割ける時間が減る
- ルールや制度の変更に気づけず要件を満たせないおそれがある
- 備品の値下がりや将来の支出の見込みなど判断が難しい項目がある
- 役割分担が弱いと間違いに気づきにくく金融機関への説明が弱くなる
こうした弱点は、日々の記録や月末の見直しを会計ソフトの導入で対応が可能です。
銀行やカードと自動でつなげる機能や、仕訳の提案、月次チェック、決算書の作成まで備えたソフトを導入しましょう。
法人会計を会計ソフトで処理するポイント

会計ソフトを正しく使うだけで、手入力や集計の手間は大きく減り、数字の確認が早くなります。
ここでは導入直後に設定しておくと効果が出やすいポイントをまとめます。
銀行口座とカードをつないで取引を自動で取り込む
銀行口座とカードを連携すると、明細が自動で取り込まれます。
取り込んだ内容に品目や取引先のルールを覚えさせれば、次回以降はワンクリックで登録でき、記入ミスも減ります。
通帳や明細の写しを見ながら打ち込む作業がなくなり、口座残高を合わせる作業も早くなるでしょう。
請求書や領収書を読み取って取引の記録を半自動にする
請求書や領収書はスマホやスキャナで読み取り、日付や金額を自動反映します。
紙をためずにすぐ記録する習慣が作れ、探す時間と入力時間を同時に削れます。
電子データとして整理できるので、保管場所を減らし、後からの検索もスムーズです。
部門や案件の分類を設定して集計しやすくする
部門や案件の区分をあらかじめ用意し、取引にタグを付けて記録しましょう。
そうすると月次で部門別の損益がすぐ出るため、どこにコストが偏っているか、どの案件が利益を生んでいるかを一目で確かめられます。
来月以降の予算と見比べると、改善の打ち手も立てやすくなります。
承認の流れと権限を設定して変更履歴を残す
承認の流れと権限を設定し、だれがいつ変更したかの履歴を残しておきましょう。
二重チェックが効くので、うっかりや不正の芽を早く見つけられ、銀行や監査への説明にも役立ちます。
退職や異動があっても記録が残るため、引き継ぎの抜けや曖昧さを減らせます。
月末と決算前のチェックリストをテンプレート化して時間を短縮する
月末と決算前にやることをチェックリストにしてテンプレート登録します。
残高の照合、未登録の確認、固定資産の計算などを順番に案内でき、担当が替わっても作業の品質を保てます。
タスク管理と組み合わせれば、遅れがどこで発生しているかも一目で分かります。
法人会計でおすすめの会計ソフト5選
法人会計向けにはさまざまな会計ソフトが展開されています。
ここでは、公的機関や中小~上場準備まで幅広い現場で使われる会計ソフトを紹介します。
WEBバランスマン
WEBバランスマンは、公益法人向けに設計された会計ソフトです。
最新の公益法人会計基準に対応し、貸借対照表や正味財産増減計算書などの決算帳票を出力できます。
平成16年・20年基準の両様式に対応する変換マスタ、伺書起点の入力、権限設定、オプションの電子保存(JIIMA認証ソリューション連携)や電子決裁も提供されています。
公益認定や情報公開まで意識した運用に向いている会計ソフトです。
freee会計
freee会計は、銀行やクレジットカードの自動同期と自動で経理で明細から仕訳候補を生成してくれます。
そのため、確認登録の運用に向いているでしょう。
請求書や領収書はAI-OCRで日付や金額、インボイス番号まで読み取り可能です。
部門タグで部門別集計ができ、申請や承認やプロダクト横断の承認機能も備わっています。
中小~中堅のスピード重視な経理体制を目指している際には向いている会計ソフトでしょう。
マネーフォワード
マネーフォワードは、内部統制からIPO準備まで見据えた法人にも適する会計ソフトです。
2,300超の金融サービスから明細を自動取得し、自動仕訳で入力負荷を削減します。
仕訳承認機能や監査ログのエクスポート、プロジェクト(案件)管理など、中堅~上場企業で必要な統制と広範囲にカバーしている点も特徴です。
会計ソフトの運用を効率化したい場合には向いているでしょう。
弥生会計
弥生会計は、長く使われるデスクトップ中心の定番ともいえる会計ソフトです。
スマート取引取込で銀行やクレジットカード明細を自動取得し、OCRやルール設定で仕訳をスムーズに行えます。
部門管理は多階層に対応し、残高試算表や予実対比を部門別に確認できます。
最近はクラウド版「弥生会計 Next」でも部門管理や各種書類のの文字読み取りが強化されました。
操作の安定感と社内運用のしやすさが特徴といえる会計ソフトです。
勘定奉行クラウド
勘定奉行クラウドは、基幹ソフトとの連携を重視するに向いている会計ソフトです。
API・CSVの自動連携で外部システムの仕訳やマスタを取り込み、個別原価管理では案件やプロジェクト単位の収支管理やサブプロジェクト管理にも対応しています。
請求書や契約書の承認ワークフローは奉行クラウド基盤や関連サービスで機能の追加が進んでいます。
会計を中心に周辺業務まで一体運用したい場合には向いている会計ソフトでしょう。
まとめ
法人会計は、経営の現状を数字で可視化し意思決定を支える役割があります。
公益法人とは目的や基準、必要書類が異なる点を押さえましょう。
小規模なら自社運用も可能ですが、会計ソフトで自動化し、判断に迷った際は専門家に相談しましょう。
WEBバランスマンなど自社に最適な会計ソフトを導入し、効率的かつ正確に処理を進めてください。
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