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【2025】 電子帳簿保存法の保存要件とは?保存区分や対象書類を解説


2025.10.03

電子帳簿保存法は、紙の書類を電子データで保存する際のルールを定めた法律です。

2024年以降は電子取引データの保存が義務化され、要件を満たさなければ税務調査で不備を指摘される可能性もあります。

そこで、本記事では保存要件の全体像や実務で安心して対応できる会計ソフトなどを紹介します。

電子帳簿保存法が求める保存区分とその対象

電子帳簿保存法では、帳簿や証憑を電子データで保存する場合に「どの種類のデータを、どのように保管するか」が明確に定められています。

大きく分けると「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」 の3区分が存在し、それぞれ保存要件が異なります。

①電子帳簿等保存:帳簿を電子のまま保存する方法

まず「電子帳簿等保存」とは、会計ソフトや表計算ソフトなどで作成した帳簿・決算関係書類を電子のまま保存する方法を指します。

紙に出力せずに電子で保管するためには、改ざん防止の仕組みや見読性の確保など、一定の条件を満たす必要があります。

②スキャナ保存:紙書類を電子データで保存する方法

「スキャナ保存」は、領収書や契約書など紙で受領・作成した書類をスキャンし、電子データとして保存する方法です。

スキャン時の解像度やカラー要件、入力者や日付の確認、事務処理規程の整備などが求められます。

2023年以降の改正で要件が一部緩和され、導入しやすくなりました。

③電子取引保存:電子取引データを電子のまま保存する方法

「電子取引」は、電子メールやEDI、クラウドサービスなどを通じて授受した請求書・領収書等のデータを指します。

2024年1月以降は、こうした電子取引データを紙に印刷して保存することは原則認められず、電子のまま保存することが義務化されました。

ここでは改ざん防止と検索機能の確保が特に重要であり、対応を怠ると税務調査で不備と判断される可能性があります。

このように、保存する書類の形態によって適用される要件は異なります。自社が取り扱うデータがどの区分に該当するのかを整理したうえで、適切な保存体制を整えることが第一歩となります。

電子帳簿保存法の3つの保存要件

電子帳簿保存法の3つの保存要件

電子帳簿保存法では、すべての保存区分に共通する基本的な要件として「真実性」「見読性」「検索性」 の3つが求められます。

これらを満たさなければ、電子データでの保存は認められないことがあります。

以下では、それぞれの要件の意味と実務上のチェックポイントを解説します。

電子帳簿保存法の保存要件①:真実性の確保

真実性とは、データが改ざんされていないことを保証する仕組みを指します。

代表的な方法は、会計ソフトに備わる訂正・削除履歴の自動保存機能や、外部のタイムスタンプ付与です。

また、社内で「いつ・誰が・どのように処理したか」を明記する事務処理規程を整備することも有効です。

その結果、税務調査時に記録の信頼性を示すことが可能になります。

電子帳簿保存法の保存要件②:見読性(可視性)の確保

見読性とは、保存された電子データを人間が支障なく閲覧できる状態にしておくことです。

具体的には、モニターやプリンターを備えて速やかに画面表示や出力ができる環境を整えておくことが求められます。

また、帳簿や書類のレイアウト・内容が原本と変わらず保持されることも大切です。

システム概要書や操作マニュアルを用意しておくと、調査官に提示する際の理解も得やすくなります。

電子帳簿保存法の保存要件③:検索性の確保

検索性とは、保存されたデータを迅速に抽出できるようにすることです。

電子帳簿保存法では、少なくとも「取引年月日」「取引金額」「取引先」 の3項目で検索できることが必須とされています。

さらに、複数条件を組み合わせた検索や範囲指定検索が可能であれば、要件を満たしていると認められます。

会計ソフトやストレージサービスを利用する際は、この検索機能が備わっているか必ず確認することが重要です。

電子帳簿保存法の保存要件を満たすために

先述した3要件は、電子帳簿保存法の根幹であり、ソフト選定や社内規程を整備する際に最初に確認すべきポイントです。

単にデータを保存するだけではなく、「改ざんできない仕組みがあるか」「必要な時にすぐに読めるか」「必要な条件で検索できるか」という観点からチェックすることが、実務におけるリスク回避につながります。

電子帳簿保存法の保存要件に対応しているソフト3選

電子帳簿保存法の保存要件に対応しているソフト3選

電子帳簿保存法に適切に対応するには、機能面だけでなく自社の規模や業務フローに合ったソフトを選ぶことが大切です。

ここでは、実務で活用できるおすすめの会計ソフトを3つ紹介します。

WEBバランスマン

WEBバランスマンは公益法人会計に特化した設計で、科目体系や予算管理など公益法人独自のニーズに対応できるのが強みです。

クラウドでの利用も可能なため、インターネット環境があれば場所を問わず利用できます。

シンプルな操作性に加え、帳簿やレポートの出力が容易で監査対応もスムーズに行えるでしょう。

公益法人を中心に、内部統制を重視する中小企業でも導入しやすい実務的なソフトです。

弥生会計オンライン

弥生会計オンラインは、多くの中小企業や個人事業主に選ばれてきたソフトです。

銀行口座やクレジットカードとの連携により仕訳入力を自動化できるため、経理の手間を大幅に削減できます。

初心者にもわかりやすい画面設計で、会計知識が少なくても操作がしやすいのが魅力です。

税理士や会計事務所との連携も強く、業務効率化と法令対応を両立できる点で、幅広い事業者に支持されています。

PCA会計DX

PCA会計DXは、部門別会計や管理会計などにも対応できる柔軟性があり、特に中堅企業やグループ会社を持つ法人に適しています。

多拠点利用や複数ユーザーでの同時操作が可能で、内部統制を意識したシステム設計が強みです。

会計事務所や監査法人での導入実績も豊富で、大規模利用にも耐えられる堅牢性を誇ります。

経理業務の精度と効率を高めつつ、監査や調査への対応を強化したい企業に向いているソフトです。

電子帳簿保存法の保存要件でよくある質問

電子帳簿保存法への対応は、システムを導入しただけでは十分ではありません。

ここでは、現場でよくある質問を紹介します。

電子帳簿保存法の保存要件でよくある不備は何ですか?

最も多いのは、検索要件が整っていないケースです。

たとえば、データを保存していても、取引日付や金額、取引先で検索できない状態では要件を満たしません。

また、紙書類をスキャンしたものの、事務処理規程を整備していないために証憑管理が不十分になることもあります。

電子帳簿保存法の保存要件で不備があった際の対策は?

不備が見つかった場合には、まず自社がどの区分の保存対象を扱っているかを整理することが重要です。

そのうえで、会計ソフトやクラウドサービスの設定を見直し、検索機能や履歴管理が正しく機能しているかを確認します。

過去データについては、電子的に再保存できるものを整備し直し、調査に備えて一元化しておくと安心です。

あわせて、事務処理規程を社内で周知し、担当者ごとの運用ルールを明確にしておくことも大切です。

電子帳簿保存法の保存要件を継続的に守るには?

日常業務のなかで電子帳簿保存法の保存要件を守り続けるには、チェックリストを作成して定期的に点検する仕組みが効果的です。

また、社内テスト運用を通じて、実際にデータ検索や証憑提示を行い、問題がないかを確認しておくことも有効です。

税理士や会計ソフト提供会社が用意している事務処理規程のひな形を活用すれば、自社に合ったルールを効率的に整備できます。

電子取引した書類の保存手順は?

電子取引した書類の保存手順は、下記のようにすすめます。

  • 領収書や請求書などの電子データ(PDF等)をダウンロード
  • 検索しやすい形式でファイル名を変更
  • 分類した所定のフォルダに格納
  • バックアップ体制やアクセス制限を設定

電子取引した書類の保存手順は、まず領収書等のPDFデータをダウンロードし、わかりやすい内容(例:日付、取引先、金額など)でファイル名を付けて整理します。

次に、クラウドやパソコン内の所定フォルダに保存し、領収書や請求書などの種類ごとや取引先ごとにフォルダを分けると管理が容易です。保存要件として、必要な時に迅速に検索・閲覧できるよう整理することが求められます。

まとめ

電子帳簿保存法は「真実性」や「見読性」「検索性」という3要件を満たすことが基本です。

自社の業務規模やフローに合った会計ソフトを選び、事務処理規程やチェック体制を整えることで、法令遵守と業務効率化を同時に実現できます。

電子帳簿保存法の保存要件に対応できるよう、早めの準備や実施後の改善がポイントになります。

電子帳簿保存法に対応でき、シンプルな操作性を求めるなら「WEBバランスマン」がおすすめです。

WEBバランスマンは、初心者でもわかりやすいシンプル設計で、帳簿・レポートの出力も簡単なのが人気の会計ソフトです。

会計ソフトを利用し、効率的に経理の手間を削減してみてください。