支払調書とは、税務署に対して「誰に」「何を」「どれくらい支払った」などの事項を告知するための報告書で、適正な税務処理に欠かせない手続きの1つです。
多様な行政的な手続きの効率化を可能にしたマイナンバーカードにより、支払調書の作成を効率化できるのか、作成時に必要かどうか気になる方も多いのではないでしょうか
本記事では支払調書にマイナンバーが必要か解説し、記載時のメリットや注意事項、おすすめソフトも紹介するので支払調書作成時の参考にしてください。
支払調書にマイナンバーは必要?

原則として、支払調書には支払者と受給者双方のマイナンバー(個人番号または法人番号)の記載が必要で、税務署が支払情報を正確に把握し、適正な課税を行うために法律で記載が義務付けられています。
一方で受給者が海外居住者である場合や支払金額が少額である場合など、一定の条件を満たす場合は例外的にマイナンバーの記載が例外的に省略できるケースも多いです。
基本的にはマイナンバーの記載が求められるケースがほとんどで、マイナンバーの記載漏れや誤りは、税務署からの問い合わせや指導につながる可能性があるため注意しましょう。
支払調書にマイナンバーを記載するメリット
支払調書の作成において、マイナンバーを記載するメリットは以下の3点です。
・税務処理の効率化
・支払者の事務的負担の軽減
・適正な課税を実現
支払調書の作成でマイナンバーを記載するメリットを把握し、スムーズに支払調書を作成しましょう。
税務処理の効率化
支払調書にマイナンバーを記載するメリットに、税務署における税務処理の効率化が挙げられます。
マイナンバーの記載により、支払者と受給者の情報が正確に識別できるようになり、これまで手作業で行われていた煩雑なデータ入力や、複数の書類との照合作業の削減も可能です
支払調書に記載されたマイナンバーをキーとして、関連する確定申告書やほかの支払調書などの情報との迅速な連携も可能になり、所得の合算や控除の適用状況の確認、未申告や不正な申告の発見などの確認もスムーズに行えます。
支払者の事務的負担の軽減
支払調書へのマイナンバー記載は、支払者側の事務的負担軽減にも繋がります。正確なマイナンバーを記載することで、税務署における照合作業がスムーズに進み、支払内容に関する問い合わせや確認の手間を削減することも可能です。
今後マイナンバー制度のさらなる普及により、将来的には支払調書の作成・提出手続きが簡略化されたり、オンライン手続きのさらなる効率化も期待できます。
支払調書でのマイナンバー記載により、受給者のマイナンバーを正確に把握・管理することで、支払調書の作成時に受給者情報の確認にかかる時間や労力を削減できるのもメリットです。
適正な課税を実現
支払調書にマイナンバーを記載することにより、適正な課税を実現できるのもメリットの1つです。
マイナンバーによって税務署は個々の所得情報を正確に把握できるようになり、複数の支払者からの所得も合算して認識できるため、所得隠しや過少申告といった不正行為の抑止につながります。
マイナンバーの記載で源泉徴収された所得と確定申告の内容を正確に照合することも容易になり、申告漏れや誤りの発見、適正な税額の算出も促進されます。加えてマイナンバーによる正確な情報連携は、複数の収入源を持つ納税者や、控除の適用を受ける納税者の公平な課税の実現に必要です。
支払調書の作成・マイナンバー管理におすすめのソフト

支払調書でマイナンバーを記載することにより、手続きの業務効率化も可能ですが、税務的な知識がなければ支払調書の作成自体に時間と手間がかかります。そこで支払調書の作成にも対応した、おすすめの会計ソフトが株式会社公益情報システムが開発、提供している「謝金システム」というソフトです。
「謝金システム」は公益法人に特化したクラウド型の会計ソフトで、「WEBバランスマン」という会計ソフトと連携すると16年・20年会計基準双方の決算書作成に対応できます。
また、講師管理もできるのでそれぞれの講師のマイナンバーを簡単に管理することもできます。
クラウド型であるため、インターネット環境があればどこからでもアクセス可能で、リアルタイムな情報共有やテレワークにも適しています。
担当者別の権限設定が可能で組織内の情報管理を徹底できるうえに、伺書入力機能も搭載しており、入力業務の効率化を図れる点も魅力です。
セキュリティ面でもジオトラスト社のSSL証明書を取得するなど、情報管理体制も充実しているので、マイナンバーを活用した支払調書作成時にぜひご利用ください。
支払調書にマイナンバーを記載する際の注意事項

支払調書にマイナンバーを記載する際には、以下の3点に注意しなければいけません。
・利用目的を明確にして告知する
・情報管理を徹底する
・提供の強制は不可能
各注意事項を確認し、マイナンバーを活用して安心、安全に支払調書を作成しましょう。
利用目的を明確にして告知する
支払調書にマイナンバーを記載する際、最も重要な注意事項の1つとして利用目的を明確にし、関係者に事前に告知することが挙げられます。
マイナンバーは法律で定められた目的以外での利用が厳格に禁止されているため、支払調書作成という明確な目的を定め、従業員や取引先など、マイナンバーの提供を受ける可能性のある人に対して、その利用目的を具体的に分かりやすく説明しなければいけません。
告知の方法としては、社内規定への明記や書面での通知、口頭説明などが挙げられ、この手続きを怠ると法律違反となるだけでなく、関係者からの信頼を損なう可能性もあるため注意が必要です。
マイナンバーの情報管理を徹底する
支払調書に記載されたマイナンバーを含む個人情報は、漏洩や滅失、毀損を防ぐための適切な情報管理を講じなければいけません。
アクセス権限を必要最小限の担当者に限定し、ID・パスワード管理を徹底しましょう。
物理的な保管場所も施錠管理を行い、電子データの場合は暗号化やアクセスログの記録などの対策が求められます。
不要になったマイナンバーも、復元不可能な方法で速やかに廃棄または削除するなど、全ての情報管理体制を整備し、従業員への教育を徹底することで情報漏洩のリスクを最小限に抑えることが重要です。
マイナンバー提供の強制は不可能
支払調書へのマイナンバー記載に関して、提供の強制は原則として認められていない点も把握しましょう。
マイナンバーの提供は法令に定められた場合を除いて任意であり、提供するかどうかは個人の判断に委ねられています。
したがって支払調書の作成に必要な場合も、支払者側が受給者に対してマイナンバーの提供を強要することはできません。
このような観点からも、マイナンバーの提供を依頼する際には必要性と利用目的を丁寧に説明し、相手の理解と協力を得ることが重要です。
支払調書にマイナンバーを正しく記載しよう
マイナンバーを利用して支払調書を作成すれば、税務的な手続きをスムーズに進めることができます。
支払調書作成時には本記事を参考にマイナンバーを正しく記載し、有効的に活用してスムーズな手続きを行ってください。
マイナンバーを利用した、支払調書作成のさらなる効率化を図りたい方は、謝金システムの導入もおすすめです。