支払調書とは、税務署が個人事業主の取引先への年間の報酬の支払い状況を確認するための税務書類で、毎年の提出が義務付けられています。
支払調書と類似した税務書類に源泉徴収票が挙げられますが、細かな違いを把握している方は少ないのではないでしょうか。
本記事では支払調書と源泉徴収票の違いを解説し、作成時のおすすめソフト3選も紹介するので、税務手続きの参考にしてください。
支払調書と源泉徴収票の違い

支払調書と源泉徴収票は、税務対象を確認するという点では合致していますが、細かく分類すると以下の5つの違いがあります。
・提出先
・対象となる所得
・記載内容の重点項目
・作成・交付のタイミング
・作成の目的
支払調書と源泉徴収票の細かな違いを確認し、適切な税務手続きを行いましょう。
支払調書と源泉徴収票の提出先
原則として支払調書は支払いを行った事業者が、支払いの事実や金額、支払先の情報などを所轄の税務署に報告するために提出します。
一方の源泉徴収票は、所得者が自身の所得や源泉徴収された税額を確認し、確定申告などの手続きに必要なため、支払いを行った事業者が税務署への提出に加えて、支払を受けた本人(従業員や報酬の受取人など)にも交付しなければいけません。
税務署への提出という点は支払調書と源泉徴収票で共通していますが、源泉徴収票には所得者本人への交付という重要な側面がある点も認識しましょう。
支払調書と源泉徴収票の対象となる所得
支払調書と源泉徴収票は税務署に提出する書類という共通点はありますが、対象となる所得の種類が異なります。
支払調書は給与所得や退職所得以外の報酬や料金、契約金や賞金、不動産の賃料や譲渡対価など、特定の所得の支払いを報告するために作成される書類です。
一方の源泉徴収票では、主に給与所得と退職所得について、年間の支払金額や源泉徴収された所得税額や社会保険料控除額、扶養控除額などの詳細な情報とともに税務署に報告します。
したがって支払調書は事業者が従業員以外の個人や法人に対して支払った報酬などを対象とするのに対し、源泉徴収票は事業者が従業員に対して支払った給与や退職金を対象とするという点が明確な違いです。
支払調書と源泉徴収票の記載内容の違い
支払調書では誰に、何を、いくら支払ったかという支払いの事実と金額や源泉徴収額が主な記載事項となります。
取引の透明性を確保して税務署が支払いの実態を把握するため、支払者と受給者の基本情報や支払金額、支払内容や源泉徴収額が重要視されます。
一方の源泉徴収票では、年間の支払金額や源泉徴収税額に加え、所得控除に関する詳細な情報が重点的に記載されるのが一般的です。
具体的には給与所得控除後の金額や扶養控除、社会保険料控除や生命保険料控除、住宅ローン控除など所得税額を計算する上で考慮されるべき控除額の内訳が詳細に記載されます。
支払調書と源泉徴収票の作成・交付のタイミング
支払調書は原則として支払いがあった年の翌年1月31日までに、支払った側が税務署へ提出します。
受給者への交付義務は法律上ありませんが、取引の透明性の観点から交付されるケースも多いです。
一方の源泉徴収票は、給与所得の場合は原則として翌年1月31日まで(退職者の場合は退職後1ヶ月以内)に、支払った側が支払を受けた本人に交付する義務があります。
税務署への提出も原則として翌年1月31日までですが、一定の条件を満たす場合は提出が不要となることもあります。
このように支払調書は主に税務署への報告を目的としているのに対し、源泉徴収票は所得者本人への交付が義務付けられている点が大きな違いです。
交付のタイミングに関しても、源泉徴収票の方が早期に所得者に対して行われます。
支払調書と源泉徴収票を作成する目的の違いは?

支払調書の主な目的は税務署が支払った側の支払状況と、所得を受け取った側の申告内容を照合し、適正な課税が行われているかを確認することです。
誰に、どのような名目で、いくら支払ったのかという情報を把握することで、所得隠しや過少申告を防ぐ役割を果たします。
一方の源泉徴収票の目的は、税務署が給与所得や退職所得について源泉徴収された税額の過不足金の精算や、所得控除の内容の確認です。
所得者本人にとっては、確定申告を行う際の重要な資料となり、年間の所得や源泉徴収された税額を証明する公的な書類としての役割も担います。
このように支払調書は税務署による課税の適正化を主な目的とするのに対し、源泉徴収票は税務署による源泉徴収の精算と、所得者本人の確定申告の基礎資料としての役割を目的としています。
支払調書と源泉徴収票作成におすすめのソフト3選
支払調書と源泉徴収票の作成における、おすすめのソフトには以下の3つが挙げられます。
①WEBバランスマン
②弥生会計
③freee会計
自社に最適なソフトを導入し、支払調書や源泉徴収票作成時のスムーズな税務手続きや関係書類作成を行ってください。
①WEBバランスマン
株式会社公益情報システムが開発、提供しているWEBバランスマン・謝金システムは、公益法人に特化したクラウド型会計ソフトです。
公益法人会計基準に準拠し、16年・20年基準双方に対応した決算書作成もできます。
簿記知識が少なくても直感的な操作が可能で、伝票入力から財務諸表作成まで効率化できるうえに、場所を選ばずアクセス可能でリアルタイムな情報共有やテレワークに適している点もメリットです。
担当者別の権限設定や伺書入力機能も搭載し、業務効率化と内部統制を支援するなど、セキュリティ面に関しても配慮されています。
支払調書や源泉徴収票作成時においても会計データとの連携により、支払先情報や支払金額などの再入力の労力削減も可能です。
公益法人特有の項目にも対応しており、法令に準拠した書類作成をサポートして電子申告にも対応しているため、提出作業もスムーズに行えます。
支払調書や源泉徴収票をスムーズに作成したい、公益法人の方はぜひご利用ください。
②弥生会計
弥生会計は日々の記帳から決算書作成まで幅広く対応可能な、初心者にも使いやすい会計ソフトです。
銀行口座連携による自動仕訳や最新税制への対応も可能で、支払調書作成では会計データからの自動作成や法令に基づいた正確な書類作成、e-Tax連携を実現しています。
源泉徴収票作成においては、従業員情報との連携や年末調整機能との連動や自動計算機能による正確な作成、e-Tax連携によるオンライン提出の効率化も実現可能です。
③freee会計
freee会計は、簿記の知識がなくても簡単に使えるクラウド型の会計ソフトです。
銀行口座やカード連携による自動仕訳、レポート作成機能により経営状況を可視化できます。
支払調書作成では、取引データからの自動入力や税制改正への対応、PDF出力など多岐にわたるツールの利用が可能です。
源泉徴収票作成においては従業員情報と連携し、年末調整機能と連動して自動計算、電子申告にも対応しています。
支払調書と源泉徴収票の違いについてまとめ
支払調書も源泉徴収票も重要な税務手続きですが、手続きには専門的な知識が必要で自社のみで取り組むのは手間と時間がかかります。
効率的でスムーズな支払調書や源泉徴収票の作成を行うためにも、本記事を参考にして自社に最適なソフトを選択し、有効活用してください。
中でも公益法人特有の項目に特化し、スムーズなデータ連携や万全のセキュリティ体制を構築している、WEBバランスマン・謝金システムがおすすめです。