ビジネスシーンで業務提携している相手に対し、感謝の気持ちを表すために送る金品や品物を「謝礼」といいます。 謝礼はビジネスにおける専門的な知識や、業務サポートなどを提供してくれた場合に発生しますが、謝礼による所得は年末調整の対象になるのでしょうか。 本記事では謝礼が生じるタイミングを解説し、注意点なども詳しく紹介します。
ビジネス上の謝礼が発生するタイミング
ビジネスシーンにおいて、謝礼は以下の4つのタイミングで発生します。
- 業務完了後
- 会食後
- 取引先や顧客紹介後
- 特別な貢献や協力があった時
謝礼が発生する、それぞれのタイミングを詳しく解説します。
①業務完了後
業務完了後には相手の貢献や協力に対し、感謝の気持ちを具体的に伝えるために謝礼を贈ります。 具体例として、講演会やセミナーの講師への謝礼、業務委託や調査協力などが時間や労力を提供してくれたことへの感謝の気持ちを表すため、謝礼を贈るケースが多いです。
謝礼を贈るタイミングとして、業務完了後1週間以内の早い段階に送りましょう。謝礼の金額や品物は、相手との関係性や業務内容、社会通念などを考慮して決定しなければいけません。 謝礼を贈る際には、感謝の気持ちを伝える手紙やメッセージを添えれば、より丁寧な印象を与えることができます。
②会食後
会食という特別な時間を共有したことへの感謝の気持ちを、具体的な形である謝礼として贈るケースも多く見受けられます。会食後の謝礼は、基本的には当日中、遅くとも翌日までには贈りましょう。 特に相手が遠方から来ている場合や、特別な配慮をしてくれた場合には、早めに感謝の気持ちを伝えなければいけません。
謝礼の形式としては、主に品物や商品券、現金などが挙げられ、品物を選ぶ場合は相手の趣味や好みを考慮し、ビジネスシーンに適した質の高いものを選ぶようにしましょう。 商品券や現金の場合は、相手に気を遣わせない程度の金額にすることが重要です。謝礼を贈る際には、会食で得られた学びや、今後の関係構築への期待などを含めた、感謝の気持ちを伝える手紙やメッセージを添えましょう。
③取引先や顧客紹介後
ビジネスシーンにおいて、取引先や顧客を紹介してもらった後の謝礼は、感謝の気持ちを伝えるとともに、今後の関係性を良好に保つために重要な役割を果たします。 紹介後の謝礼を贈るタイミングは、紹介によって取引が成立した後や、紹介を受けてから遅くとも1週間以内には贈るようにしましょう。
謝礼の金額や品物は、紹介によって得られた利益や、相手との関係性などを考慮し、あまりに高額な謝礼は相手に気を遣わせてしまう可能性があるため、注意が必要です。謝礼の形式として品物や商品券、または現金などが挙げられ、品物を選ぶ場合は相手の趣味や好みを考慮し、ビジネスシーンや関係性にふさわしいものを選びましょう。
商品券や現金を贈る場合は、相手に気を遣わせない程度の金額に設定し、謝礼を贈る際には、必ず感謝の気持ちを伝える手紙やメッセージを添えましょう。紹介によって得られた具体的なメリットや、今後の関係構築への期待などを具体的に述べると、より丁寧な印象を与えることができます。紹介後の謝礼は単なるお礼ではなく、今後のビジネス関係を円滑にするための重要なポイントになるので慎重に選択しましょう。
④特別な貢献や協力があった時
特別な貢献や協力があった場合には、できるだけ早い段階で謝礼を贈らなければいけません。時間が経ってしまうと、感謝の気持ちが薄れてしまう可能性があるので、協力や貢献後の遅くとも1週間以内には贈るように徹底しましょう。
謝礼の金額や品物は、貢献や協力の内容、相手との関係性や社会通念などを考慮して決定し、高額な謝礼は相手に気を遣わせる可能性があるため注意が必要です。謝礼の形式としては、品物や商品券、現金などが一般的で、品物を選ぶ際には相手の趣味や好みを考慮し、ビジネスシーンに応じたものを選ぶようにしましょう。
商品券や現金の場合は、相手に気を遣わせない程度の金額にすることが重要です。謝礼を贈る際には、具体的な貢献や協力の内容、それによって得られた成果、今後の関係構築への期待などに加え、感謝の気持ちを伝える手紙やメッセージを添えましょう。
特別な貢献や協力に対する謝礼は、単なるお礼ではなく、今後のビジネス関係を円滑にするための重要な要素なので、相手への感謝の気持ちを丁寧に伝え、良好な関係を築くことが重要です。
謝礼はどの税目?範囲や注意点

謝礼は感謝の意を表し、相手側に贈られる金額や品物ですが、具体的にどのような税目に該当するのでしょうか。ここからは謝礼が該当する税目や範囲、注意点も紹介します。
謝礼の税目
謝礼は税務上、主に所得税や消費税、源泉徴収の3つの税目として該当します。所得税では、謝礼は原則として「雑所得」に分類されますが、例外的に「一時所得」となるケースも多いです。
消費税では、謝礼の性質によって課税対象となるかどうかが異なります。個人に謝礼を支払う場合、源泉徴収が必要になるケースも少なくありません。基本的に謝礼の税務上の扱いは複雑で、状況によって異なるため、税理士や税務署への相談がおすすめです。
謝礼の範囲
謝礼の範囲は金銭や物品だけでなく、会食やサービス提供など多岐にわたります。具体的には講演やセミナーの講師への謝礼、業務協力や調査協力への謝礼、取引先や顧客の紹介に対する謝礼、特別な貢献や協力に対する謝礼などが挙げられます。これらの謝礼は、相手の貢献や協力に対する感謝の気持ちを表すもので報酬とは異なり、謝礼の形式は現金や商品券、物品や会食などさまざまです。
謝礼の注意点
謝礼を贈る際には、まず適切な勘定科目で処理しなければいけません。謝礼の性質によって、「支払手数料」「交際費」「広告宣伝費」など、適切な科目を選ぶ必要があります。 領収書を受け取って保管することも大切で、もし領収書がない場合は、銀行の振込明細などを保管しましょう。
謝礼を受け取った側は、原則として確定申告が必要ですが、雑所得などの金額が年間20万円未満の場合は不要な場合もあります。謝礼を支払う側は源泉徴収の必要性を確認し、適切な処理を行わなければいけないので注意が必要です。謝礼は社会通念上の常識の範囲内の金額であることが重要で、高額すぎる謝礼は贈賄とみなされる可能性もあるので注意しましょう。
謝礼は年末調整の対象

謝礼はケースによって、年末調整の対象となる場合やならない場合もあります。 ではそれぞれのケースを詳しく解説するので、謝礼受け取り時の参考としてください。
謝礼が年末調整の対象となる場合
給与所得して謝礼が支払われた場合には、謝礼は年末調整の対象となります。具体的には、会社員が業務に関連して受け取る謝礼や、国や地方公共団体の委員に支払われる謝礼などが該当します。これらの謝礼は、ほかの給与所得と合算して年末調整の対象となりますが、謝礼の性質や支払い方法によっては、年末調整の対象とならない場合もあるので事前に確認しましょう。
謝礼が年末調整の対象にならない場合
謝礼は一時所得や雑所得として支払われれば、年末調整の対象にはなりません。例えば、講演料や原稿料、謝金などは給与所得以外の所得として扱われるため、年末調整の対象外となります。
源泉徴収されない謝礼も年末調整の対象にはなりませんが、これらの謝礼は原則として確定申告が必要です。一方で雑所得などの金額が年間20万円未満の場合は、確定申告が不要な場合もあるなど、謝礼の税務上の扱いは複雑で状況によって異なるため、税理士や税務署に相談しましょう。
複雑な謝礼管理は専用ソフトで対応しよう
ケースによって年末調整の必要有無が異なる謝礼は、専用ソフトで管理しておくことをおすすめします。公益情報システム株式会社の謝金システムでは、謝礼金の支払いや報酬管理だけではなく、明細書・領収書の作成やインボイス対応、支払調書・源泉徴収票の印刷などが可能です。複雑になりやすい作業を謝礼システムで管理することで、業務効率化・コスト削減も目指すことができます。
まとめ
謝礼は基本的に雑所得となるケースが多く、年末調整の対象になる可能性は少ないですが、所得として支払われれば年末調整の対象となります。受給した謝礼の種類を見極め、正しい税務手続きを行って年末調整にも柔軟に対応しましょう。