支払調書は、企業や個人事業主が作成する書類の一つです。 税務処理に必要な書類であるため、正確に記載する必要があります。 そこで、本記事では、支払調書の基本的な内容から作成のポイント、提出方法まで解説します。 支払調書の書き方や見方を知りたい場合は、ぜひ参考にしてください。
支払調書とは

支払調書は、企業や個人事業主が税務署に提出する重要な書類です。 この書類には、1年間に支払った報酬や料金の総額と支払先の情報を記載します。
支払調書を作成する主な目的は、税務署が納税者の収入を正確に把握することです。 このように支払調書は法定調書の一種で、税法に基づいて提出が義務付けられています。 対象となる支払いは、弁護士や税理士への報酬、原稿料、講演料など幅広い報酬が含まれます。 また、不動産の使用料も対象となる場合があるでしょう。
支払調書の提出までの流れ
支払調書の提出は、法令で定められた重要な手続きです。 正確な情報を期限内に税務署へ届けることが求められます。以下、提出までの流れを解説します。
①提出対象を確認する
まずは支払調書の提出が必要かどうかを確認します。 支払金額が一定額を超える場合や特定の業種への支払いなどが対象となります。 そのため、年間の取引を振り返り、提出義務のある支払いを洗い出しましょう。
②提出書類の準備をする
次に必要な書類を揃えます。 支払調書の様式は税務署で入手できます。 また、国税庁のウェブサイトからダウンロードすることも可能です。 複数の支払先がある場合は、それぞれに対して作成が必要になるでしょう。
③電子申告を検討する
紙での提出以外に、e-Taxを利用した電子申告も選択肢の一つです。 電子申告では、データ入力の手間が省け、提出もスムーズに行えます。 初めて利用する場合は、事前に利用者識別番号の取得が必要です。
④提出先を確認する
支払調書は、原則として支払者の所轄税務署に提出します。 ただし、支払先の住所地の税務署に提出する場合もあるため、確認が必要です。 不明な点があれば、税務署に問い合わせたり顧問税理士に相談しましょう。
⑤提出期限を厳守する
支払調書の提出期限は、支払いを行った年の翌年1月31日までです。 この期限を過ぎると、加算税などのペナルティが課される可能性があります。 余裕を持って準備を進めましょう。
報酬の支払調書に書く内容
支払調書には、支払者と支払を受ける者の情報、支払金額などが記載されます。 各項目の意味と役割を理解することで、調書の内容をより深く把握できるでしょう。 以下、主な記載内容を解説します。
①支払者の情報
支払調書の上部には、支払を行う側の情報が記載されます。 具体的には、法人名や個人事業主名、所在地、電話番号などです。 また、法人番号も記入する欄があります。 これらの情報は、支払者を特定するための情報となります。
②支払を受ける者の情報
支払を受ける側の情報も詳細に記載されます。 氏名や名称、住所、個人番号(マイナンバー)または法人番号が含まれます。 この情報は、税務署が収入を正確に把握するために必要な情報です。
③支払金額
支払調書の中心となる情報が支払金額です。 これは年間の総支払金額を記入します。 通常は、源泉徴収税額も併せて記載します。 支払金額は、支払を受ける者の収入として扱われるため、正確な記入が求められます。
④支払の内容
支払いの具体的な内容も記載されています。 たとえば、報酬、料金、契約金、賞金などの区分があります。 この区分の記載があることで支払いの性質が明確になり、税務署は適切な課税処理が行えるわけです。
⑤支払年
支払調書では、支払いが行われた年も書かれています。 この情報は、課税年度を特定するうえで重要な役割を果たします。
⑥摘要欄
支払いに関する補足情報を記入する欄です。 たとえば、支払いの詳細や特殊な条件がある場合に使用します。 企業は摘要欄を活用することで、支払いの状況をより正確に伝えることが可能です。
報酬への支払調書の書き方と見方
ここからは、支払調書の書き方と見方で特に注意したい点を解説します。
書き方(企業側)
企業は支払調書を作成する際に情報の正確性を最優先に考える必要があります。 特に以下の点に注意しましょう。
- マイナンバーや法人番号の記載
- 支払金額と源泉徴収税額の記入
- 区分と細目の記載
マイナンバーや法人番号は右詰めで正確に記入してください。 支払金額には消費税を含めた総額を、源泉徴収税額は所得税と復興特別所得税の合計を記載します。 また、支払内容に応じた適切な区分と詳細な細目を記入することが大切です。
見方(受け取る側)
支払調書を受け取る側は、自身の収入や納税義務に影響するため、以下の項目を必ず確認してください。
- 氏名や住所などの基本情報
- 支払金額と源泉徴収税額
- 区分と細目
基本情報に誤りがあれば速やかに修正を依頼しましょう。 また、支払金額と源泉徴収税額が実際の受取額と一致しているかや、支払内容が適切に分類されているかを確認することが大切です。
支払調書の作成ポイント

支払調書を正確かつ効率よく作成するには、いくつかのポイントがあります。 これらを押さえることで、作業の質を高めつつ、時間も節約できるでしょう。
①最新の情報を確認する
まず、支払調書の様式や記載方法は年々変更される可能性があります。 そのため、毎年最新の情報を確認することが大切です。 国税庁のWebサイトや「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」を参照しましょう。
②未払金額を適切に処理する
支払調書を作成する時点で未払いの金額がある場合、特別な記載方法が必要です。 具体的には各欄の上段に未払額を内書きで記載し、下段には未払分を含めた総額を記入します。 この処理で正確な支払状況を反映させることが可能ですが、できるだけ記入内容が煩雑にならないように進めましょう。
③源泉徴収税額を正確に計算する
源泉徴収税額は、通常、消費税を含めた支払金額から計算します。 ただし、支払金額に源泉徴収税率を掛けた金額と、実際の源泉徴収税額が必ずしも一致しないことに注意が必要です。
④データの一元管理
年間を通じて発生する支払いを一元管理することで、年末の作業が大幅に効率化されます。 日々の取引データを適切に記録し、支払調書作成時にすぐに活用できるようにしておきましょう。
⑤効率的な作成ツールの活用
支払調書の作成を効率化するには、専用のソフトウェアやクラウドサービスの利用がおすすめです。 そのなかでも、公益法人限定の「WEBバランスマン」をおすすめします。 WEBバランスマンは、伺書からの入力が標準装備されており、支出伝票への引き継ぎもスムーズです。 また、本格的な予算管理機能も搭載しているため、支払調書の作成だけでなく、日々の経理業務全般の効率化が図れます。
それから、クラウド版とオンプレミス版が用意されているので、企業のインフラ環境に合わせて選択できるのも特徴です。 WEBバランスマンを活用することで、支払調書の作成はもちろん、会計業務全体の生産性向上が期待できるでしょう。 正確性と効率性を両立させた経理処理を実現したい場合は、ぜひ検討してください。
報酬の支払調書を正確に作成しよう
支払調書の作成と提出は、企業や個人事業主にとって重要な税務手続きです。 正確な情報記載、適切な金額集計、期限内の提出など、多くの注意点があります。 また、効率的な作成には、最新情報の確認やデータの一元管理が欠かせません。 その際は、WEBバランスマンのような専用ツールの活用も効果的です。 本記事の内容を参考に、正確かつ効率的な支払調書の作成と提出を心がけましょう。